昼の部が終わったのが15:50で、夜の部の開演が16:00。
大慌てでお弁当の買い出しに行き、本来お目当てだった
夜の部の観劇となりました。

四月大歌舞伎「四月大歌舞伎」歌舞伎座3階4列
16:30開演、50:55終演
一、実盛物語(さねもりものがたり)
二、猿翁十種の内 黒塚(くろづか)
三、二人夕霧(ににんゆうぎり)
  傾城買指南所






もともと「実盛物語」が好きなのにそれを仁左衛門丈が!
あとは、一度観てみたかった「黒塚」。
慌てて買い物から戻ってきたので、若干息があがりつつも
夜の部、開幕です−。






一、実盛物語(さねもりものがたり)
 斎藤実盛 仁左衛門 
 小万 孝太郎
 葵御前 米吉
 太郎吉 寺嶋眞秀
 九郎助 松之助
 小よし 齊入
 瀬尾十郎 歌六 

歌舞伎の演目の中でこれは好きな演目なんですよね。
バカバカしい所もあるけど、許せちゃうというか(笑)。
でも、そのぶん実盛には素敵な俳優さんに演じてもらいたい!
今回はその役を仁左衛門丈が演じると聞いて「わ、観たい!」と
思っていたのでした。
当日まで知らなかったのですが、太郎吉を寺島眞秀君が演じて
いらっしゃったんですね。舞台上に長く出ずっぱりの役ですので
大変だと思いますけど、お声も出ているし、歳なりのヤンチャさも
感じられて、とても良かったです。

あと、太郎吉が葵御前のお産のシーンを覗こうとして、それを
実盛が咎めるシーン、「もういいから!」ぐらい、しつこくやる
事もあると思うんですが、これ位が良かったな。

楽しみにしていた仁左衛門丈の実盛はやっぱり素敵でした。
私がこの実盛物語が好きなのは、以前蜷川さんが演出された
「わが魂は輝く水なり」を観たのがきっかけ。
髪を黒く染め、合戦で手塚の太郎に討たれるお話です。
だから、やはりそのシーンを思い浮かべつつ観てしまう、という事があって。
だから、優しさや懐の深さ、慈愛のようなものを実盛が醸し出していると
もう・・・!って思ってしまうのですが、仁左衛門丈には何となく
哀しさを秘めた優しさを感じるので、もう・・・。


二、猿翁十種の内 黒塚(くろづか)
老女岩手実は安達原の鬼女 猿之助
 山伏大和坊 種之助
 山伏讃岐坊 鷹之資
 強力太郎吾 猿弥
 阿闍梨祐慶 錦之助

この作品が澤瀉屋の家の芸だという事は知っていて、いつか観たい・・
と思いながらも、機会を逸したままだったので、今回は思わず
飛びついてしまいました。
とはいえ、どういう作品なのかは全く分からないまま・・(笑)。
猿之助丈は岩手という老女。お品は良さそうですが、どうも人を
寄せ付けない雰囲気。

「仏の教えに従えば、来世は救われる」という言葉にウキウキする老女。
こういう様子を見ると、この老女は鬼女であったとしても、救われたい、
と思う気持ちがあったんだ、と思うし、身近な感じもするし、何よりも
踊る様子が可愛らしいんですよね。

なのに、「覗くな」と言われていた部屋を覗いてしまう強力。
まったく、鶴の恩返しもだけど、ダメと言われると覗きたくなっちゃう
っていうものなんでしょうか(笑)。
阿闍梨たちを信じよう、と思っていた老女はその事実を知って
「聖職者ですら約束が守れないんだから」と怒り狂って鬼になってしまう。
あー、除いたのは阿闍梨たちじゃないんだよ・・誤解だよ・・と
仲裁したい気持ちになりますが、もう老女は止められない。
もう、老女が気の毒で、気の毒で・・・。

猿之助さん、とても素敵でした。観れて良かった・



三、二人夕霧(ににんゆうぎり)
  傾城買指南所
 藤屋伊左衛門 鴈治郎 
 後の夕霧 孝太郎
 いや風 彌十郎
 てんれつ 萬太郎
 小れん 千之助
 三つ物屋四九兵衛 團蔵
 おきさ 東蔵
 先の夕霧 魁春
   
「廓文章」は観た事がありますが、その後日譚とのこと。
何だかちょっとイメージが違うんですけど・・。パロディみたい(笑)。
「傾城買い指南所」って、割と最近問題になった「ナンパ塾」を
思い出させますが(笑)、いつの世もそんな「塾」ってあるんだなぁ
というのが興味深いですね。(教えている事は大したことない)

しかし、伊左衛門は借金で身ぐるみ剥がれても、何だか
オットリしている所とかは大店のボンボンぽくて、いい雰囲気。
憎めないヤツって感じです。鴈治郎さんのはんなり感というか
セコセコしない鷹揚な雰囲気が出ていて良かったですね。
やっぱり借金のカタに家財を全部持っていかれて、紙衣を着ていても
育ちの良さ、品がなくちゃ!って言う役だと思いますし。
二代目の夕霧が傾城の衣装のままで米を研いでいる場違い感もいいけど
米の炊き方も知らなさそうな伊左衛門とはいいコンビと言う感じです。

伊左衛門は結局、初代と二代目の夕霧どちらかを選ぶとかではなく
「一緒に仲良く過ごしましょう」みたいになるし、突然勘当が許されて
小判が撒かれるし(この生活のどこに勘当を解く理由があるのかは
私は全く分かりません)何だかいろいろ突然でバカバカしいけど、
明るく終わって、なんかいい感じ(笑)。そんな舞台でした。
すみません、大した感想が書けない(笑)。


昼の部も楽しめたけど、やっぱり私は夜の部の方が楽しかった。
いやー、歌舞伎座の昼夜通しは疲れる・・・拘束時間が長いだけに。
二人夕霧の後半は頭が痺れてきちゃって、ボーっとしてました。
歳ですかね(笑)。