今日は朝イチからジムに行って、それから劇場へ。
リニューアル後初めての観劇ですね、愛知県芸術劇場大ホール。

ピピン「ピピン」愛知県芸術劇場大ホール7列(2列目)
13:00開演、15:45終演
脚本:ロジャー・O・ハーソン 演出:ダイアン・パウルス
出演 城田優、CrystalKay、今井清隆、霧矢大夢、宮澤エマ、岡田亮輔、中尾ミエ他
【あらすじ】
不思議な技を次々に繰り出すサーカスのステージ。ここを率いる女優、リーディングプレイヤーは素晴らしい演技で面白い物語をお届けして最後には一生忘れられないエンディングを見せると観客に約束する。そこで登場するのは新人の男優。彼は今日が初舞台だという。彼が演じるのはピピンという名前の王子物語の舞台は、紀元8世紀後半のローマ帝国。"類まれな人生"を探すピピンはあらゆるものを体験するがどれも空虚で充実感が得られない。自分の身に降りかかる困難や戦争、王位継承などの体験を通して愛・平和・名誉・家族とは何かを考え始めるピピン…。果たしてピピンは、本当の幸福を見つけることが出来るのか? 最後に彼が手にしたものとは…?
 

昨日の作品はガラガラだったけど、今日は5階までお客が
入っていて大盛況。
私みたいに2日連続とか、1日2公演観るのが日常茶飯事であれば
両方観るけど、そうでなければどちらか1本にしよう、と思って
こちらを選んだ、っていう人もいるだろうな・・。

劇場展示
城田君の衣装かな、展示もありました。

パネル
このパネルの前に立って、記念撮影をするんですよね、本来は。
あまり自分の写真を撮る事に興味が無いので、パネルのみ(笑)。





全くストーリーを知らないまま観に行ったのですが、幕開きで
リーディングプレーヤーであるCrystalKayさんが語るセリフが
キーワードになっています。
今から客にピピンの物語を見せ、あっと驚くクライマックスがある、
と伝え、ピピン役を初めて務める俳優(城田優)を紹介します。
城田君はそのままピピンとして演技を続けていくので、うっかり
劇中劇という事が曖昧になったまま始まってしまう感じ。
でもここでいう「あっと驚くクライマックス」が後で効いてくるんだな。

CrystalKayさんの役どころは「カリスマ性が必要な役」っていうのを
目にしたことがあるのだけど、十分カリスマ性も感じられるし
歌についても問題なし、セリフの話し方も堂々としていて様になるし
筋肉のついたナイスバディで、アクロバットも危なげなくこなして
とても初舞台とは思えない!
なんかもう、この役はCrystalKayさんしか考えられないわ、って感じ。

ピピンは品行方正で、留学先でも勉学に励み、卒業後国に戻って
来たという王子様。でも王子様には悩みがあったのですよね。
「つまらない、ありふれた生活」ではなく「特別な、充実した生活」
を送りたい。でも、どうしたらその「特別な、充実した生活」を
送れるのかが分からない・・。

・・・これ、今の若者と同じだよね、自分探しってヤツか(笑)。

戦争に行ってみたり、女遊びに励んでみたり(笑)、反乱を起こして
王に即位してみたりと、色々な事をやってみるのだけど、どれも
自分の探している「充実した生活」ではない。

私事になりますが、昔から私は趣味が多く、忙しく過ごしていて、
当時付き合っていた男は無趣味。そんな私を見て思う所があったらしく
「趣味が作りたい」と口癖のように言い、「じゃあ○○やってみたら」
と提案すると「でもなー」と文句ばかり言うもんだから、キレて
別れた・・っていうのを思い出しました(笑)。

話を戻そう(笑)。

結局ピピンは未亡人のキャサリンとの生活に幸せを覚えるんだけど
「こんな平凡な生活は嫌だ」と逃げ帰っちゃうんですよね。
もうこの辺りになると、劇中劇の役と、俳優としての境界が何だか
とても曖昧になってきているんだけど、戻ってきたサーカスでは
「あっと驚くクライマックス」が用意されていて・・。
それは燃えさかる炎に飛び込む、というもの。
まあ…死ぬよね(笑)。
でもその「炎に焼かれて死ぬ」というのが「あっと驚くクライマックス」
というのだから、笑えない。
この舞台はもともとベトナム戦争の頃に書かれた話、という事なので
この「炎に焼かれて死ぬ」のが、何となく戦争の暗喩にも思えるし
結局サーカスに戻ってきてしまうピピンは、一度ショービジネスに
足を入れると、引き返せなくなるんだ・・という事を表しているようでも
あって、なかなか深い。

結局ピピンはこの「あっと驚くクライマックス」を拒否。
怒ったリーディングプレーヤーは舞台は中断、キャサリンと共に
放りだされる事になります。
そうそう、幸せはね、見つけるものでも、探すものでもなくて
そこにある事に気づく事なんですよ(私の持論。)
キャサリンとテオと共に去っていくピピン。
初演はそこで終わりだったようですが、今は更に続きがあります。

誰も居なくなった舞台上に戻ってくるテオ。
そして、テオがブランコに座り、リーディングプレーヤーも
戻ってきます。つまりテオが新しいピピンという事ですね。
役者が変わっても、若者は自分探しを繰り返す、という事かな。
これまた深いエンディングです。これ、嫌いじゃない(笑)。

でもストーリーが動き出すのは2幕から、と言う感じ。
1幕はもう「あれ、私は今日何を観に来たんだったっけ?ミュージカル?
シルクドソレイユ?」と思うほどです。
でもそれだけクオリティの高いパフォーマンスが観れた、という事でも
あるんですが、本当に生で観る迫力があるパフォーマンスばかり。
2幕最初には、城田君含めたキャストが客席に散らばって、マジックを
見せてくれたり、客席を煽ったりで、盛り上げてくれますし、
劇場全体が「お客様」の役を演じているような感覚。

城田君はちょくちょく観ていますけど、やっぱり舞台映えするし
歌もうまいし、とても素敵でした。
途中、(恐らく汗のせいで)衣装が着れなくなってしまって
焦ってしまっていて(笑)、やっと着れた時に拍手が起きたのですが
「要らない(笑)!」って笑わせてました。
CrystalKayさんも城田君も和風な顔立ちではないですが、キャストには
外国人パフォーマーも多いので、むしろそれがフィットしていて
良かったような気もします。

霧矢大夢さんのダンスが素晴らしかったなぁ、とか、久しぶりに拝見する
今井さんも素晴らしいなぁ・・と思って拝見していましたが、一番
「ひえぇぇ」と思ったのが、バーサ役の中尾ミエさんですね。
そりゃ歌は歌えるでしょう、と思っていましたけど、まさかあの衣装
(レオタード姿)でアクロバットを披露するとは思ってなくて。
調べてみたら、73歳ですってよ!?
とてもそんな年齢とは思えない脚線美。
確かにデコルテは歳なりかもしれませんが、全体に締まった体つきで
空中でポーズを決めるときも、自分の筋力でほぼ姿勢を保っていらっしゃって
素晴らしい!若者でも出来ない人、多いはず!
もうこのシーンの後の、中尾さんに対する拍手の大きいことと言ったら!
私も中尾ミエさんには及ぶべくもありませんが、頑張って体を鍛えなきゃ
と思わずにはいられませんでした。

「ミュージカルを観る」と思ってくると、ちょっと意外な印象になるかも
とは思いますが、生で観るライブエンターテイメントとしては、とても
お得感のある舞台だったと思います。
何気にストーリーも深い所があるので、何度か観ると、より感ずるところが
あるかもしれないな、とも思います。

一緒に観た元・同僚はすっかり城田君が気にいった様子(笑)。
私もまた、城田君の別の舞台を観たいなーと、思ったりもしましたよ。
(まあ、ミュージカルだと殆ど行かないけどね(爆)。)