昼の部が終わって、中途半端な時間、何をしたらいいのやら・・
と思いながら、道頓堀界隈の人混みにウンザリ。
やっと入れるスターバックスを地下街で見つけて、小休止した後で
また松竹座へ舞い戻ります。

七月大歌舞伎「七月大歌舞伎 夜の部」大阪松竹座 3階2列
16:30開演 20:30終演
一、芦屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)
二、弥栄芝居賑(いやさかえしばいのにぎわい)
三、上州土産百両首(じょうしゅうみやげひゃくりょうくび)








夜の部は全部見た事が無い演目だなぁ・・と思っていたら
「弥栄芝居賑」以外は観た事があった(爆)。

帰りは頑張ればまた青春18きっぷで帰る事も出来たかも、
ですが、以前ひどい目にあってますので(笑)、二の轍を
踏まないように、おとなしくアーバンライナーで帰りましたとさ。
天候不順ですから、何があるか分かりませんしね。




一、芦屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)
  葛の葉
女房葛の葉/葛の葉姫・・・時蔵
安倍保名・・・萬太郎
信田庄司・・・松之助
庄司妻柵・・・吉弥

この演目を観るのは2度目かな?「葛の葉」で思い出しました(笑)。
二役を演じるのは時蔵さん。
お姫様と女房の早変わりは本当にお見事で、拵えは勿論ですが
話し方や所作も全然違っていて。全く知らな人が観たら
すぐには気付かないんじゃない?って思うぐらいでした。

前回観た時も面白く拝見したのですが、七之助丈の方が色っぽく
「女房」という言葉にフィットするのは、今回の時蔵丈の方かも。
そして前回は、曲書きにハラハラしすぎてしまっていた事ばかり
思い出されまして(笑)。
でもなぜか今回はあまりハラハラしなかったんですよね。
それだけ自然に筆を進めていらっしゃったからかもしれません。

でも、本来はお姫様と結婚の約束をしていた訳で、今の女房は
その時のお姫様と違うのだから、身を引くのは不思議ではない
(ていうか、そもそも人間でもないしな)のですが、いまさら
お姫様と暮らしても、幸せになれなさそうですよね。
だから安倍保名も何の迷いも無く、葛の葉を追う決断をする姿を見て
ちょっとホッとしたりして。
萬太郎丈が演じる保名も落ち着いていて、親子なのにしっかりと
夫婦に見えて良かったですね。

この子供が将来の安倍晴明が生まれたんですよねぇ、感慨深い。



二、弥栄芝居賑(いやさかえしばいのにぎわい)
道頓堀芝居前の場
仁左衛門 
時蔵
扇雀
孝太郎
菊之助
梅枝
萬太郎
壱太郎
隼人
橋之助
中村福之助
猿弥
竹三郎
進之介
彌十郎
芝翫
鴈治郎
秀太郎

これはストーリーがあるというより、関西・歌舞伎を愛する会
結成40周年を祝う舞踊と、ご挨拶と言う感じですね。
華やかで、関西での歌舞伎定着に対する役者さん達の想いが聴ける
ご挨拶でした。
私は関西人ではないので、そこに対する感慨は全くないのですが(笑)
一次は歌舞伎上演も難しい時期があったとは、とても今は思えませんね。
名古屋もどうしたら盛り上がるんでしょうねぇ・・。


三、上州土産百両首(じょうしゅうみやげひゃくりょうくび)
正太郎・・・芝翫
牙次郎・・・菊之助
宇兵衛娘おそで・・・壱太郎
みぐるみの三次・・・橋之助
亭主宇兵衛・・・猿弥
勘次女房おせき・・・吉弥
金的の与一・・・彌十郎
隼の勘次・・・扇雀

この演目は観た事ないなぁ・・と思っておりましたが、観てました(笑)。
2014年の浅草歌舞伎ですね。正太郎を市川 猿之助さん、牙次郎を
坂東巳之助さんが演じていらっしゃいました。

牙次郎を菊之助さんが演じるとはねー。
勝手に菊之助さんって、お品があったり、育ちのいい人を演じる
イメージがあったので、ある意味そのイメージから真逆というか。
なので、(3階で顔がしっかり見える訳ではないので)声は確かに
菊之助さんだけど、本当にか?と思ったぐらいです(笑)。
でも、ちょっと抜けたところがある、ドジで愚鈍だけど、素朴な
牙次郎も、違和感なく演じられていました

芝翫さん演じる正太郎はイメージ通り。
スリで悪事を働いてきたけど、良心は残っていて、面倒見がいい。
そんな人だから、料理人として成功出来たんだろうな、と思える・・ね。
でも、口が軽すぎるよ、正太郎君。
あそこで昔の仲間と再会したのが運のつきではあったけど、
あそこで「200両持ち歩いている」なんて口にしなければ、
たかられることも無く、人殺しをすることも無かったはず。

みぐるみの三次と対峙した時、ああ、これでもうどうやっても
正太郎は三次から逃れられなくなってしまったんだな・・と
絶望感を感じてしまいました。
そしてやっぱり彌十郎さん、素敵です♪
三次と正太郎が対決するシーンで(無理と知っていても)
わー、彌十郎さん、助けてあげて!!と思っちゃいました(笑)。

あんな状況での殺人でも、きっと当時の量刑でいったら斬首でしょ?
そうすると、あの二人で歩くシーンが今生の別れにもなるのか・・
と思うと、花道を去っていく二人の切ないこと・・。
私としては意外な組み合わせでしたが、堪能させて頂きまして
ホッコリした気持ちで、劇場を後にしたのでした。

毎年来ている訳ではないけど、やっぱり1年に1度ぐらいは
松竹座に歌舞伎を観に来るのもいいな。