ちょっぴり引きこもり傾向な今日この頃ですが、来週末は
名古屋に居ないので映画を観る時間が無い。だったら今週のうちに
観ておかねば・・。という事で1本観ることにしたのですが
開映まで3時間ぐらいある。どうするか・・何か観るか?
で、一番タイミングの良かったのがこちらです。

トールキン「トールキン 旅のはじまり」
監督:ドメ・カルコスキ
出演:ニコラス・ホルト、リリー・コリンズ、デレク・ジャコビ

【あらすじ】
3歳で父を失くし、イギリスの田園で母と弟と暮らしていたトールキンは、母親の急死により12歳で孤児となってしまうが、母親の友人で後見人となってくれたモーガン神父のサポートにより、名門キング・エドワード校への入学を果たす。そこでトールキンは3人の仲間と出会い、「芸術で世界を変えよう」と互いに誓い合う。16歳になったトールキンは年上の女性エディスと恋に落ちるが、神父からその交際を厳しく禁じられてしまう。そしてぼっ発した第1世界大戦がトールキンと仲間たちの運命を大きく変えていく。≪アメリカ製作≫





私はファンタジー系の映画を観ないですし、どちらかと言うと苦手
なのでこのJ・R・R・トールキンと言う方の事を全く知りません。
「ホビット」や「ロード・オブ・ザ・リング」も観ていないし。
なので、「ああ、作家さんの伝記的な映画か」ぐらいの知識で(笑)。




 
正直言って「たまたま観た」ぐらいの感覚だったので、全く
期待していなかったというか「つまらない作品でなければいいな」
ぐらいのハードルだった、というのが良かったのかもしれませんが
とても面白く拝見いたしました。

戦場で体調不良を押して、誰かを探しに行こうとする一人の男。
部下が止めようとしても聞く耳を持たない。
これがトールキンで、彼の回想という感じで差し込まれていく
彼のこれまでの人生と、何故そこまで探しに行こうとするのか
が徐々に分かってきます。

父親が亡くなり、母親も亡くなって、この兄弟はどれだけ
不幸な人生を歩む事になるんだろう・・と思っていたのだけど
そういう人生の悲惨さを描く作品なのではなくて、立場が違っても
続いていく友情の物語、っていう感じだったんですよね。

もちろんトールキンが語学に長けていた事、伝説などに
興味があって自分の作った言葉に挿絵を入れたものを書いていたり
ファンタジー作家になる片鱗を見せていた訳ですが、そこを
フォーカスしていたとしたら、私はあまり楽しめなかったかも。
彼の作品を知りませんから。
(彼の作品が好きだったら「なるほど!」と思う所は
きっとたくさんあったと思う)
ただ、そんな私でも、彼がファンタジー作家になったのは
必然だよね、と思える流れが良かったな。

徐々に打ち解けていく仲間たち、進学先が分かれても
戦地に行く事になっても変わらない友情。お互いをリスぺクト
していて、出自に関わらず才能を認めあっているのが清々しい。
だから、戦争で何名も友人を亡くした後の喪失感や、
残されたトールキン宛の手紙、友人の母との会話のシーンでは
もう、泣けて仕方なかったです。

あ、トールキンが文字を書くシーンはカリグラフィーをやっていた
身としてはなかなか見応えがあって、あのペン先が紙の上を滑る
音が懐かしいな・・と思いました。

うん、偶然の出会いではあったけど、観れて良かった1本です。