土曜日は朝イチで映画。えーっと、数時間前までここ、ミリオン座に
居ましたね、私(笑)。 昨日のうちに予約して、逃げられないように
しておいたのでした。

エンテベ空港の7日間「エンテベ空港の7日間」
監督:ジョゼ・パジーリャ
出演:ダニエル・ブリュール、ロザムンド・パイク、エディ・マーサン
【あらすじ】
1976年、イスラエル・テルアビブ発パリ行きのエールフランス機が乗っ取られるハイジャック事件が発生した。500万ドルと50人以上の親パレスチナ過激派の解放を要求する犯人に、多数の国民を人質にとられたイスラエル首相は交渉の道を探りながらも態度を保留する。犯人との交渉に反対の意向を示す国防大臣は、士官らとともに秘密裏に人質奪還計画を進めていくが……。≪イギリス・アメリカ合作≫


これは実際に起きたハイジャック事件の映画化、とのこと。
我ながら、こういう「重い」社会派の作品が好きですね、私。





これは・・・好み(賛否)が分かれるかもしれませんね。
少なくとも私は「賛」側なんですけど。
そして、この映画を楽しむにはイスラエル・パレスチナ問題や
ナチスドイツ等についての知識が、どれだけあるのか・・
という事にも左右されるかもしれません。

と言う私自身も、中東の情勢に詳しい訳ではありません。
ただ、「あの記憶の記録」という劇団チョコレートケーキの公演が
イスラエルに住むユダヤ人のお話だったので、イスラエルの人の
建国に対しての想い、そこに住むユダヤ人の想い
「自衛のためならば先制攻撃すら許される」とするマインド等
(実際に「全世界に同情されながら滅亡するよりも、全世界を敵に
回して戦ってでも生き残る」という事を国是としているらしい)
について、知っていたので、それがとても助けになりました。

ハイジャックが分かった時に、とっさにダビデの星のペンダントを外す人
パニックを起こす老婦人の腕に彫られた数字が表す意味
(ユダヤ人収容所に入れられて居た事を表す)
そしてその腕の数字を観た時のドイツ人のハイジャック犯の表情
ユダヤ人乗客が乗った飛行機をドイツ人がハイジャックする事の意味
私が観た舞台はイスラエル側の人の話だったけど、パレスチナ側にも
当然言い分はある訳で。
全く関係のない民間人を危険に晒すハイジャックは、当然非難されるべき
事なんだけど、その歴史まで見ていくと、切なくなってしまいます。

この映画は、ハイジャック犯、人質、イスラエル国家側、客室乗務員・・
と様々な立場の人を描いていて、単純な人質救出のためのサスペンス
ではないんですよね。
元々は自分の政治信条や仲間の救出のためにハイジャックを企てたのに
そういった目的から外れて自分たちの手に負えなくなっていく犯人達。
空港での電話のシーンは、すごくそれを良く表していますよね。
人間臭さがあって、私はその事でちょっと救われました。
そしてこの二人が、イスラエルの国防軍が攻めてきたときに人質を
殺さず、むしろ助ける側に回った事も。
ちなみに直前に観た「プライベート・ウォー」の主演女優さんと
同一人物とか、全く分からなかったです。

この作品の特徴はオープニングからクライマックス、エンドロール
まで差し込まれるコンテンポラリーダンス。
イスラエルはダンスが有名なんですよね?森山未来君も留学していた
のはイスラエルだったと思いますし。
これが・・私的には凄く良かった。
レビューを観ると、何故ダンスを差し込むんだ?という批判的なものも
ありましたが、私は舞台を観てきているので、そういった演出についても
違和感も無かったですし。
まず、ダンスそのものが素晴らしいんですけど、何度倒れても、倒れても
立ち上がってくる様子は、救出シーンでは意味もなく涙が出てきました。
エンドロールの走っているけど全く前に進まない女性と、同じ場所で
クルクル回って、決して交わらない二人・・というダンスも、とても
雰囲気に合っていました。

単純に「面白かった」で片づけられない作品でした。
スリルを味わいたい人にとっては、物足りないかも?とは思いますが
私は観て良かったと思います。