今年3本目。今月は3本だけなんですよね。
仕事をちょっとだけ早めにあがって、金山へ。

グッドバイ
KERA CROSS「グッドバイ」名古屋市民会館 う列
18:30開演、22:05終演
原作:太宰 治(「グッド・バイ」)
脚本:ケラリーノ・サンドロヴィッチ  演出:生瀬勝久
出演: 藤木直人、ソニン、真飛聖、朴璐美、長井短、能條愛未、田中真琴、MIO、YAE、入野自由、小松和重、生瀬勝久
演奏:杉田のぞみ(Vn.)
【あらすじ】
戦後の混乱から復興へ向かう昭和のニッポン。文芸雑誌の編集長の田島周二は、単身東京で気がつけば何人もの愛人を抱える始末。このままではいけないと愛人たちと別れる決心をしたものの、優柔不断な田島は、彼女たちを前にすると別れを切り出すことができないでいる。そこで田島は、金にがめつい担ぎ屋・キヌ子に、女房を演じてくれと頼み込む。実はキヌ子は、泥だらけの顔を洗うと誰もが振り返る絶世の美女。男は、女と別れるため、女は、金のため―こうして、二人の“嘘(にせ)夫婦”の企みが始まるのだった。
 

 
KERA MAPの「グッドバイ」も観ていますが、2015年上演だったとか。
もうそんなに前なんだ・・と感慨深いですね。
「フローズン・ビーチ」も面白かったのですが、オリジナルを観ていなくて
比較のしようが無かったのですが、今回はオリジナルを観ているので
ケラさん以外が演出されたらどうなるか?が分かりやすいかな、と。





オープニングの映像とかはなくて、ああ、ケラ演出じゃないのよねー
と思ったりしましたが、緑の映えるセットは美しかった・・!

初演から比べると、田島の子供が双子になっていたりとか、
電車に忘れてきたオベリスクの原稿を拾った人が編集部にやって来る
と言うエピソードが無くなったり・・とか、設定が変わったところは
何か所かありましたが、概ね同じ戯曲だな、と思います。
あとは、キャラ設定もちょっとずつ違っているように思われますが
それは役者さんに合わせてのことかもしれません。

生瀬さんが演出しても、戯曲としての面白い作品はやっぱり面白い
という事が分かったのが一つの収穫。
その一方で、舞台の肌触りというか、雰囲気というものは、やはり
キャスト・演出が変わると変わるものなんですね・・とも思います。

やっぱりキヌ子と田島の雰囲気が、この作品の雰囲気になって
いくな・・と思います。
そういう点で、ソニンのキヌ子と藤木さんの田島は、今一つフィット
していない感が後半まで拭えなくて、ちょっと「据わりが悪い」感じが
続いたな、と言う印象です。

ソニンちゃんはストプレもお上手だと思うし、「フリック」を観た時は
何の違和感も感じなかったのですが、今回はとても「デフォルメしてます」
感が強いというか、力みを感じてしまったというか。
声の出し方も、「あれ、ソニンってこんな声だっけ?」と思いましたし。
それに対して藤木さんは元々、知的な感じ、スマートな演技をする
方だと思うので(まあ、個人的には映像向きという感じだけど)何だか、
ちょっとバランス悪く感じてしまったのですよね・・。
ただ、二人とも都会的な雰囲気を醸し出していたな、とは思います。
それがあまり「昭和感」を感じなかった理由かもしれません。

例えば、田島を慕う清川に屈折した感じが少なく、単純な熱血漢
みたいな感じになっちゃっていたりとか、「愛人たち」もちょっと
小粒感があって、全体にこじんまりしちゃってた感じもあります。

ただこの感想が客観的なものかどうかは、私自身も疑わしいと言うか
自信が無いと言うか。
それ程に、初演のキヌ子を演じた小池栄子さん、田島を演じた仲村トオル
さんが良かったし、それ以外のキャストの皆さんも本当に個性が活きていて
その印象が強すぎちゃったので、無意識のうちに比べてしまっている
のではないか・・と思ったりもしてしまうのです。

そんな中でも、演出だけでなく出演もしている生瀬さんはさすが!ですね。
全体をグイグイ引っ張っていっている、という感じがします。
あとは、田島の妻を演じた真飛聖さんも、とても良かったな。
適宜生演奏が入る演出も面白く、何度も笑って楽しく観劇致しましたので
これはこれで面白かった、と思うのですけどね。