同じテーマの舞台が赤坂/RED THEATERでも上演中という事で
出来れば観比べてみたかったのですが、スケジュール的に無理
だったので、こちらだけでも。

メアリ・スチュアート「メアリ・スチュアート」世田谷パブリックシアターD列
作:フリードリヒ・シラー   演出:森新太郎
出演:長谷川京子、シルビア・グラブ、三浦涼介、吉田栄作、山本亨、青山達三、青山伊津美、黒田大輔、星智也、池下重大、冨永竜、玲央バルトナー、鈴木崇乃、金松彩夏、鷲尾真知子、山崎一、藤木 孝
【あらすじ】
16世紀末、政変により国を追われ、遠縁(父の従妹)にあたるイングランド女王エリザベスのもとに身を寄せたスコットランド女王メアリだったが、エリザベスはイングランドの正当な 王位継承権を持つ メアリの存在を恐れ、彼女を 19 年の長きにわたり幽閉し続けていた。その間、二人の女王は決して顔を合わせることはなかった。そして時は今、エリザベスの暗殺計画にかかわったのではないかという嫌疑がメアリにかけられ、裁判の結果、彼女には死刑判決が下されたのである。


へええ、この二人がメアリとエリザベスですか!?
シルビアさんはいいとして、長谷川京子ねえ、しかもメアリ?
正直・・・聞いた時には違和感(笑)。






舞台は少し変わった形状ですね。
花道があって、その花道が中央にある、T字型の舞台です。
4列目の花道脇の席でした。
舞台模型

幕が開くと、その花道から登場する人の後ろからライトが当たり
影が舞台上に映し出されるのですが、歩くほど影が大きくなり
それが、暗喩的に使われているようで、すごく象徴的でした。
暗喩と言えば、裁判で死刑が決まった後は緞帳が閉まりかけて
いる状態で、命の終わりを表していたりしましたね。

メアリがスコットランドからイギリスに逃げてきてから、処刑される迄を
描いた作品。自分自身の裁判結果を待ちながらも、従妹のエリザベスに
会わせて欲しいと訴えるシーンからです。
メアリは黒い服を着て、顔も黒いベールで覆ったままです。

この作品はメアリとエリザベスの二人を描いたものなのですが
なかなかエリザベスが出てこないどころか、それ以外のキャストが
とても多くて、二人芝居というのではなく、二人の周りの人から
描き出される、メアリとエリザベス・・という感じもあって
面白いなあ、と思いました。以前上演された、中谷美紀、神野三鈴
のお二人の舞台とは全く違うアプローチ。
(まあ、作者も違うので、別の作品なのは間違いないですが)

私のメアリのイメージは品があって知的で女性的・・というもの。
恐らく映画『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』の影響が強いと
思われるのですが(笑)(この映画はとても分かりやすかった)、
メアリを演じた長谷川京子さんは、舞台開演前のインタビューなどの
受け答えでも、お世辞にも品があるとは言い難い受け答えをなさって
いた印象が強くて、素直に受け入れられませんでした(スミマセン)。
普段はそれ程気になりませんが、ちょっと声を張ると急にムリヤリ感が
出てしまうというか、平坦になってしまうのも、ちょっとね・・・。
確かにお綺麗なんですが、威厳・・とはちょっと違いますし。
カーテンコールでシルビアさんと並ぶとただの“綺麗な小娘”にしか
見えなかったです(笑)。

それに対してシルビアさんのエリザベスは圧巻でしたねー。
今一つキャラが掴めないメアリとは対照的でした。気まぐれさや
傲慢さ、弱さ・・と、緩急自在ですから。まあ、ただでさえ
あのメイクはインパクトありますけども。
だから、本来はメアリに共感するべきなんだろうな・・と思う反面
何故かエリザベスに共感してしまって、そのエリザベスが最後は
(彼女の傲慢さが招いたものではあるが)周りに誰も居なくなり
一人ぼっちになってしまう所では、ちょっと「かわいそう」と思って
しまったりしました・・・。
何で長谷川さんをキャスティングしたんだろう。エリザベス役の人と
同じぐらいの力量を持つ方でなければ、見劣りしてしまうのに。
まあ、こうなるだろうと思った通りの結果でした。

それ以外のキャストの皆さんも手練れの俳優さんばかりでしたから
見応えバッチリでした。だからなおさら、メアリ役が残念でならない。