遠征2本目はこちら。サンモールスタジオは何度か行ってますが
(迷いはしないものの)毎回違うルートで到着してしまう私。
でも今回の道順が一番良さそうだわ♪←決して駅から遠い訳でも
難しい場所にある訳でもないんですけどね。

タブーなき世界そのつくり方「タブーなき世界そのつくり方」サンモールスタジオA列
19:00開演、21:25終演
脚本・演出:アサノ倭雅
出演:松本紀保、星野クニ、鯨エマ、斉藤悠、江刺家伸雄、伊吹卓光、小笠原游大、羽杏
【あらすじ】
障がい者は結婚をすることも子供を産むことも禁じられていた、ましてや女性は市民権もなかったそんな時代に大学に行き、自分の家を持ち、結婚し、自分の意見をどんどん発信する。世界的な有名人、ヘレン・ケラーと、アン・サリバンの50年間のライフストーリー!



初めて聞く劇団です、アブラクサス。
舞台の内容とは似つかわしくない程の華やかなフライヤー。
(毎回こういう感じのデザインのようです)
いったいどんな劇団・・・・?と思ったのですが、過去作品は
ヘレン・ケラー、ジャンヌ・ダルク・称徳天皇、ハンセン病を
テーマにする硬派な作品を上演している・・・らしい。

うん、私の好みの路線よね。
それに冷静に考えると、「奇跡の人」の後のヘレン・ケラーの事は
「来日した事がある」ぐらいは知っているけど、逆に言えばそれぐらい。
それで俄然興味が湧いてきまして。
松本紀保さんも出演されるしな・・という事で、チケットを取って
いたのでした。





思ったよりも癖の無い舞台で観やすかったです。グイグイと引き込まれ
あっという間の2時間半でした。

舞台はダイニングルームのようなセットから。
あれ・・・これ、いわゆる「奇跡の人」なんじゃない?と
開演してすぐに思いました。話すことも、聞くことも、見る事も出来ない
動物のようなヘレンが、サリバン先生に出会って、言葉には意味がある、
という事を理解する、あの有名な「WATER!」までのお話。
今回は“その後”を描く話だと聞いていたので、「えー、そこから?」と
思ったのですが、そこはもう、グイグイ割愛して進んでいきます(笑)。
でも、ただ単に割愛するだけじゃなくて、その中でも当時の黒人差別
については、しっかりエピソードが残っていますし、ヘレンの家には
南軍旗が飾ってあったりして、しっかり後に繋げるためのエピソード
になっていました。

さあ、ここからが私の良く知らないヘレンとサリバン先生のお話。

ヘレンはどんどん知識を増やし、発声も学び、大学進学を希望。
当時は障害を持つ女性は大学進学などできなかったようですが、
ヘレンは自分で大学側に手紙をタイプして入学したいと伝えたり・・。
サリバン先生でも「一人じゃできないでしょ」と思うようなことを
グイグイやっていく、スーパー自立性の高い女子に育っていたんですね。
うん、ある意味私のイメージ通り(笑)。
でも、その頃にはヘレンの実家も裕福ではなくなってしまっていたし
ヘレンの事を見世物小屋で働かせる、と言い出してしまうんですよ。
最初は「はぁ?父親が娘を晒し者にするって・・・マジで?!!!」と
思ったのですが、結婚も出来ないであろう娘が、受け入れられる所
自分たちやサリバン先生が居なくなった後でも、生活出来る所は・・と
考えた結果だったのかな、と、思えたりもしました。

結果的には、「大学進学がしたい」と世論に訴え、支援をとりつけ
大学に進学を果たしたヘレン。うん、これもイメージ通り。

ただ、その後のヘレンはちょっと活動が偏って行ったようなんですよね。
政治活動(社会主義下での平等を訴えたり)に力を入れたり、
黒人解放運動に力を入れるようになっていったり・・。
家族はもちろんサリバン先生も心配し、嫌がらせなどで身の危険を感じる
ようになったり。
これはヘレンが障害者という事で差別を受けてきたために、差別で
虐げられている人へのシンパシーだったり、そういう人達を開放したい
という想いがあっての事なのだろうな、とは思うけど、やはり社会性が
高い訳じゃないから、忖度することも無くて。
何というか、青いと言うか、若いと言うか、学生運動に熱心になる
大学生のような一途な雰囲気を漂わせていましたね。

仕事を干されて生活に困窮し、エド・サリバンショーに出る事になったり
結婚しようとまで思った人が、実の父親の死の原因を作った人だと
分ったり、仲間だと思っていた人に裏切られている事が分かったり・・と
色々な苦難を乗り越えて、彼女なりのやるべきこと、進む道が
定まった時の、穏やかな表情は、とても印象的です。
日本にやって来たのは、この頃らしいです。
この舞台を観て知らないことがいっぱいあったな・・と思ったし、私も
ヘレン・ケラーを「奇跡の人」と美化していたな・・と気づきました。
彼女は確かに偉人だけど、失敗したり、悲しんだり、嘆いたりする
実在していた人だったんだなとも思ったのでした。
でもやはり、自分がやると決めた事には、躊躇なく進んでいく。
それがタブーと言われる事であっても・・・と言うのは一貫していて。
「見えない」から黒人に対する差別感情が無かったのかもしれない。
「聞こえない」から、偏見や先入観を持たなかったのかもしれない。
でもやはり、最終的には彼女が障害者だったからではなく、強い意志を
持った稀有な人だったからなんだろうな、と思える作品でした。

このヘレン役の方が、劇団の主宰の方(作者)の方なのかしら?
(すみません、よく存じ上げないもので。)
子供の頃のヘレンはまあ、置いておいて、大人になってからのヘレンは
本当にこういう雰囲気だったんじゃないかな、と思えましたね。
お目当ての松本紀保さんも、やはりとても良かったです。

アブラクサスは次は12月とか。
次の作品のテーマ次第ではあるけど、また観に来てもいいかも・・。
ああ、こうやってまた自分のスケジュール調整が難しくなるんだよ(涙)。