折角「観劇三昧」に入ったので他にも何か観ようかな、と思いましたが
400以上の劇団があって、どこから手をつけたらいいモノか・・と。
であれば、自分が過去に一度でも観た事がある劇団ならば、イメージが
つけやすいので、まずはそこから観るか!でチョイスしました。

hedge
風琴工房「hedge」2013年作品 ザ・スズナリ
作・演出:詩森ろば
出演:佐藤誓、井上裕朗、根津茂尚、多根周作、杉木隆幸、酒巻誉洋、三原一太、金成均、佐野功、藤尾姦太郎、金丸慎太郎
【あらすじ】
人間が編み出した最高のコミュニケーションの産物であるはずの貨幣経済。金融とはそれを流通させること。なのに、結果としてコミュニケーションを分断する皮肉と、しかし今なおそこに確実にある可能性。経済を考えることは人間を考えること。これは企業再生ファンドにかける男たちのドラマです。



今はserial numberと名前が変わっていますが、まだ風琴工房という
団体名だったころの作品ですね。
風琴工房としてもserial numberとしても舞台を観た事があったので、
とっつきやすかったのと、舞台で企業再生ファンドを扱う作品って
何だか珍しい・・と思った事、単純に真山仁さんの「ハゲタカ」
という作品が大好きだった事が、この作品を選んだ理由です。





あらま、想定外に面白いじゃないですか(驚)!

私が「ハゲタカ」シリーズが大好きで全部読んでいたので、その時に
MBO(マネジメント・バイアウト)とか、TOB(株式公開買い付け)を
知っていたり、個人的に「ロング」「ショート」「レバレッジ」っていう
用語を知っているので、前半は正直まどろっこしいです。
ちょっと話が進むと、その用語の説明に時間が取られてしまって
その度にストーリーが止まってしまう。
(「株」や「上場」とかまで説明要りますか?って思うんですけど・・)
ただ、用語を知らない人にとっては、あれぐらいやってくれないと
分からないのかな・・とも思ったりして、その辺りのさじ加減は
難しい気もしますが、経済用語を完璧に知っていないと物語が全く
分からない・・という訳ではないでしょう?とも思うので、その辺りは
もう少しストーリーに取り込んで、ブツブツ切れた感じでない方が
私の好みではあります。

同じ経済を扱った話でも「ハゲタカ」ほど生々しいというか
ギスギスした話ではなくて、企業再生に真摯に取り組むバイアウトファンドと
自分の会社・従業員を守りたい会社の社長、自分の会社に愛着を持つ
社員たちの、青臭いほどの真っ直ぐなお話です。

「そんな、上手くいかないでしょうよ」と思う気持ちも無くはない。
でも、「こうだったらいいな」が描かれていて、ある意味とても
カタルシスを感じられる、経済の青春物語って言う感じかな。
確かにね、「貨幣」って不思議なものですよね。
どうして今まで、こういうジャンルの舞台があまりなかったんだろう?
と思うぐらいでした。
まあ、突然「え、インサイダーで逮捕ですか?」とか、ビックリするような
展開を最後に語りだけで済ませるって、何だか勿体ないような気も
しなくはないですけど、そこでこういう金融の世界の得体の知れなさを
出したかったのかもしれませんね。

けど、風琴工房さんって、頭おかしいんじゃないですか(笑)?←褒め言葉。
「penalty killing(初演)」もこの「hedge」も凄く立派なセットを作ったり
空間をすごく大きく使ってるので、もっと大きな劇場かと思ったら
両方ともスズナリなんでしょ?あの劇場でこれ作りますか?って言うか
作ろうと思いますか?・・という・・・ね(笑)。

私はあまりこの劇団を数多く観てきている訳ではないですけど、概ね
どの作品も面白いな、と思います。
なかなか生の舞台を毎回拝見する・・という訳にはいかないのですが
(スケジュール的に。)でも機会があれば、今後も観ていきたい劇団の
一つではありますね。
観劇三昧ではこの劇団の作品がもう1つ観られるようなので、ぜひ
そちらも観ておきたいと思います!