配信疲れというか、映像に飽きたというか、せっかく時間あるのだから
もっと配信を観たり、録画を消化するために時間を使えばいいのに
全くその気にならない、StayHome。劇場に行くには躊躇しないのにね。
・・・で、そろそろ日常生活が戻ってきたな、と言う頃になって
やっと録画してあった映像を観始める・・という、効率が悪い私。

喝采加藤健一事務所「喝采」2017年作品@本多劇場
作:クリフォード・オデッツ  演出:松本祐子
出演:加藤健一、竹下景子、浅野雅博、林次樹、寺田みなみ、山路和弘、大和田伸也
【あらすじ】
プロデューサーのクック(大和田伸也)、演出家のバーニー(山路)、作家のアンガー(浅野雅博)は、初日を間近に控えた舞台の主演俳優がいなくなったことに困っている。バーニーは酒浸りで落ちぶれていたが、代役としてかつての名優フランク(加藤健一)を推す。若手女優のナンシー(寺田みなみ)らと稽古を始め、フランクの妻ジョージー(竹下景子)も献身的に夫を支える。さて・・・。



確か、二兎社の作品を録画したときに一緒に録画したものです。
これは初演のキャストですね。
加藤健一事務所の公演については、興味があるものの、なかなか
観劇に至らず。これは俳優座や青年座の公演にも言えることなんですけど
「観よう!」に踏み切るまでの一歩が、なかなか踏み出せないというか。
興味が無いわけではないんですが、どうしても後回しにしてしまい
結局、スケジュールの都合がつかなくて終わる、の繰り返し。






そうなんですよ。俳優座も青年座もそうですが、観てみると面白いんですよね。
はい、お芝居として大変面白く拝見しました。

いわゆるバックステージものの作品ですね。
酒浸りになってしまったかつての俳優が、再びショービジネスの世界に
戻ってくるまでの話と、夫婦の話が絡み合って進行していきます。

最初のインタビューにもありましたが、やはり加藤健一さんが演じる
フランクにどれだけリアリティが持たせられるか、という事なんだと
思いますが、枯れた老人っぽい所も、どうしようもない飲んだくれの姿も
役になりきって演じる「落ちぶれた実力派俳優」の様子も、ピッタリです。
何となく、平幹二郎さんを思い出したりもしてね。声がいいからかなあ。
本当にダメダメのクズ男なんだけど、こりゃ奥さんは離れられないわなぁ・・
と思わせられます。あの外面の良さには本当にムカつくんですが(笑)。

後はもう、山路さんでしょう、と個人的に思います。
山路さんってあの声とお姿から、冷たい・嫌な男を演じさせたら絶品
だと思っているんですけど、そのムカつく男っぷりが堪能できます(笑)。
まあ、単細胞な男なんだと思いますよ。
フランクの言葉だけを鵜呑みにして自分で相手の人となりを見ないとか
フランクの演技にほれ込んで、一途な所とか。
でも「なぜ気づかぬ?」とは思っちゃうよねぇ(笑)。
なので、最後にオロオロとしている姿がキュートに見える。

アメリカのショービズの世界が興味深かったりとか、役者さんの熱演とか
演劇としては面白かったんですが、観ていて、まぁまぁ不愉快になります。
70年以上前に書かれた本だから、さもありなん・・と言うところですが
女をバカにしてるよねぇ、と思うところが、あちこちに。
特に、やっとバーニーが真実を知り、「NYに残ってくれ」と言うのに
ジョージーが頑なに拒否し続けるとき、突然キスしたでしょ。
あれ、何なん?
女はキスすれば何でも受け入れるとでも?
・・・結局、実はバーニーはジョージーが好きだった、という事らしい
のだけど、あまりの唐突感に、女をバカにしてんのか?と思っちゃうわ。
まあ、フランクの奥さんの扱いも、大概酷いから、尚更そう思う。
ラストシーンはもう、フランクもバーニーも捨ててしまえ!と
思ってしまったわ。

作品としては好かんが、演劇的には面白かったです。
うむ。やっぱり一度は観に行ってみてもいいかな、加藤健一事務所。