昨日あたりから嘘みたいに歯の痛みがひいて、痛み止め薬から離脱。
病院では点滴も投薬も無くなり、口を開けるストレッチを自分でも
するようにという指示が出ただけでした。
(平たく言うと、筋肉が固まらないよう、無理やり口をこじ開ける)
病院も短時間で終了したので、病院から名演小劇場に直行しました。

geki×cineゲキ×シネ「けむりの軍団」
作:倉持裕  演出:いのうえひでのり
出演:古田新太、早乙女太一、清野菜名、須賀健太、高田聖子、粟根まこと、池田成志 ほか
【あらすじ】
 軍配士の真中十兵衛は、ある日、賭場でテラ銭泥棒騒ぎを起こした美山輝親のとばっちりで、子分をヤクザに人質にとられ、五日の間に輝親を捕まえて来いと脅される。 一方、目良家では当主のもとに正室として嫁いでいた厚見家の紗々姫は、家臣の雨森源七らと共に目良家脱出を試みる。とある木賃宿で十兵衛は輝親を発見。そこに紗々姫と源七も居合わせる。目良家の追っ手を十兵衛の機転、輝親の口八丁ぶりと無謀な行動で追い払う様子を見た紗々姫から、厚見の城まで自分を送り届けてほしいと頼む紗々姫。 追われる紗々姫と源七。互いを警戒しつつも利用し合う目良家と夭願寺。 子分の命の刻限まであとわずか。果たして十兵衛と輝親が取る驚くべき奇策とは!?



この公演は東京と大阪で各1回ずつ生で観劇しています。
個人的に、中島かずき&いのうえひでのりコンビのいのうえ歌舞伎が
新感線では一番のお気に入りのため、生で観てもこの作品については
「すごく好き」という程でもなく、おそらく何もない時期であれば
ゲキシネでまで観に行く事は無かったかな、と思います。

ただ、自分が2月から舞台が観られていなくて演劇に飢えているし
新感線の応援にもなるだろうから、観に行こうかな・・と思ってました。
どうせ観るなら、名演小劇場も応援したいので、ミッドランドではなく
名演小劇場の方へ。お客さんは10人ぐらいだったかな
「え、新感線ですよ?いいですか?」と言いたくなるような年齢層の方
の方が多くて驚きました。




お芝居そのものは、前半の東京と、後半の大阪公演を観ているので
特に新発見が凄くあった!という事は無かったのですが、単純に
「ああ・・舞台だぁ・・」
という事に訳もなく感動してしまいました(笑)。
東京公演は最前列だったから、ラストの紅葉が降ってきてGETしたな
とか、大阪公演は誕生日に合わせて観に行って、土砂降りの中で
道に迷いながらホテルに帰ったな・・なんて思い出したりしつつ。

やっぱり、古田さんは舞台の真ん中が似合うなぁ、一人で立ってても
断然絵になりますもんね。
そして、生で観た時にも思ったけど、清野さんのまわし蹴りは素敵(笑)。
女性で「アクションやってました」って言う人でも「そうなん?」
っていうような人もいるけど、清野さんは惚れ惚れする蹴りっぷりです。
ご結婚おめでとう。
そして、早乙女太一さんの殺陣の素晴らしさは、映像でも変わらず。
「これ、早送りしてませんからね、生で観てもこのスピードですからね」
と周りのお客さんに言って回りたくなるような気持でした(笑)。

ふと手を握り締めて力が入る様子、着物の柄、役者さんのアイコンタクト
ちょっとした顔芸(笑)など、映像だから観られるものもあって、
ゲキ×シネも楽しめました。
観客席の声(笑い声とか)がサラウンドで聞こえるのもいいですね。

でも・・・それと同時に、「ああ・・・この作品は今は無理だな」と。
舞台上に入り乱れるキャストに、密になって殺陣で戦う役者さんたち、
古田さんの水吹き(笑)、等、今の感染予防を守って上演するとなると
新感線と言うジャンルの公演は、当面無理なんじゃないかな、と。
たとえ上演できても、これだけコストのかかる舞台、定員の半分以下で
上演したら、絶対にペイ出来ない。
「神州無頼街」が早々に公演中止になった時「判断早っ」と思った
のですが、今となれば、ステージより密になる稽古場での稽古も難しく
今の感染者数増の状態では、本当に予定通り幕があけられるかどうか
だれも断言ができない状態ですから、先見の明があったとしか・・。
早く中止の判断をすればするほど、主催者側のダメージが小さくて
済みますものね。

頭では分かっていても、「もしかしたら」と思っていたところが
無くはなかったのですが、このゲキ×シネを観て、このスケールの舞台を
再び劇場で観られる日は、すぐにはやって来ないだろうな・・と
いう事を実感し、結構精神的に凹んで帰ってきたのでした。