わざわざ夜行高速バスで観に来たのはこの作品でした。
平日でバスも比較的空いていたし、高速バスにも相当慣れたので
移動後の疲れも本当に少なくなりました。

ヴェニスの商人「ヴェニスの商人」天王州銀河劇場 5列
13時30分開演、16時45分終演
作:W.シェイクスピア  演出:グレゴリー・ドーラン 訳:河合祥一郎
出演:市村正親、藤原竜也、寺島しのぶ、京野ことみ、佐藤仁美、西岡徳馬 他

【あらすじ】
16世紀末のヴェニス。貿易商のアントーニオ(西岡徳馬)の元に、年下の親友バサーニオ(藤原竜也)が借金の申し込みにやって来る。 ベルモントに住む才色兼備の令嬢ポーシャ(寺島しのぶ)にプロポーズをするのがその目的。あいにく全財産が海を渡る船の上にあったアントーニオは、自らが保証人となり、ユダヤ人の高利貸しシャイロック(市村正親)から金を借りるように言う。シャイロックが出した条件は、「3カ月の期限までに借金が返せなかったら、アントーニオの肉1ポンドをもらう」というもの。アントーニオは船が帰還すれば問題なく返済出来ると信じ、この条件を承諾。 おかげで、金を手にベルモントへ旅立つ事の出来たバサーニオは、難しい結婚の条件をクリアしてポーシャと結婚。そんな中、アントーニオの所有する船が難破。借金返済の目処が立たなくなった彼と、約束どおり1ポンドの肉を要求するシャイロックの闘いは、法廷の場に持ち込まれることに……。


この作品を観たかった理由は
・藤原竜也、市村正親等のキャストが良かった事。
・天王州銀河劇場には行った事が無かった事(劇場フェチなので)
・蜷川演出以外のシェイクスピア作品を観た事が無かった事。

ただ、イマイチ乗り気になれないこともあって・・・。
それは、寺島しのぶ、京野ことみ。ちょっと苦手な女優さん達で。

劇場では、会場整理のお姉さん方がピエロなんかの扮装をしてる。
銀河劇場はホリプロのものになって、こんなサービスしてんのか?
と密かに驚いたりしたのだけど、開演前にはミュージシャン達が
演奏をしながらロビーを横切ってくれたり、道化達が会場内の
アチコチに出没し、空いた席に座ったり観客をイジったりしている。
だから、これはこの作品のみの演出なのかな・・(笑)。




市村正親さんは、本当に安心して見られる俳優さんですねー。
シャイロックは悪者なんだけど、“悪役らしさ”と言うよりも人種・及び宗教
によって言われなき差別を受ける者の辛さが何よりも強く伝わってきます。
犯罪を犯したわけでもないのに商売を邪魔され、娘には裏切られ、
差別を受け、貸したお金も一銭も戻ってこず、宗教までも改宗
させられてしまう。
シャイロックがああなったのは、もともと誰のせい?と思うと切なくて。
歌を口ずさむシーンと、法廷で皆に攻めたてられるシーンでは、
むしろシャイロックの味方をしたくなるほどでした。

藤原竜也さん
。ちょっとお久しぶりな気がしますね。
“軽薄だな”“お調子者だな”と感じたのですが、このバサーニオは
そういう役の設定なんですね。そういう意味でも好演されていたと思います。
私はその“軽薄さ”が何となく好きになれず信用できないやつ、と思って
観ていたのですが(笑)、アントーニオの窮地を知らせる手紙を読んで、
涙を流すシーンで「ああ、悪いやつじゃあ無かったんだ」と思わせられました。
そして何といっても、他の求婚者役!あんな弾けた役をするとは
思ってもみなかったので、笑いましたねー。
次は是非コメディとかに出て欲しい!と思うほど。おつかれさまです。

西岡徳馬
さん。舞台で観るのは初めてではありませんが、
最初のあたり、あまり声も通らず「どうした?」と思ってしまいました。
市村さんの演技のせいでもあるでしょうが、このアントーニオが
「人種差別をする嫌なやつ」に見えて仕方が無かった私です(笑)。
“ヴェニスの商人”が指す“商人”はアントーニオの事なんだそうです。

そして・・・・寺島しのぶさん。今まで私が避けていた事もあり
今回が初見です。うーん・・・・・・・・・・・。
芸暦も長いし、舞台も数多くやってらっしゃってる方なんですよね?
他の方の感想でも書かれていますが、声が細い!特に裁判官役
になったりすると(いつもの声とは違う声を出すと)とたんに
聞き取りづらくなる。こんなに声が出ない人だったとは意外です。
お芝居が下手とは思わないので、映像向きなのかな?
あとは、どうしてもポーシャって感じじゃないんですよねー。
寺島しのぶが演じると、“若いが聡明で徳高い”ポーシャではなく、
“小ずるく、計算高い人が聡明に見えるように努力する”ポーシャに
見えて仕方が無い(笑)。松たか子のイメージなんだよね、この役。

京野ことみ
さんは、今回はOK!きっと弾けた役よりもきちんと
演出をつけてもらえるような作品のほうがいい役者さんなのかも。
小林正寛さんは、怒るシーンでは何言ってるのか全く分からず。
もうちょっと何とかならないものか・・・と。

蜷川さんのシェイクスピアよりも、素直な感じの作りだったかな。
セリフも少し分かりやすいかも。
でもねー、この作品で何を重視して演出しているの?と言うのが
分からない感じなんですよね。
主役は誰?シャイロックは悪役?それとも差別を受ける悲しい人?
アントーニオは徳高い人?差別をする卑しい商人?
だから、自分の中で、ちょっと少しまとまらない感じ。
それは観る人に任せますって事なのかなあ・・・。

あとは「キリスト教は偉大」という考え方がベースにあるのは
海外演出家によるものだから?キリスト教徒ではない私が見ると
ちょっと鼻に付く感じもしました。気にしすぎ?
あとは、もうちょっと、市村さんが見たかった気もします。