渡辺謙さんが舞台に出演されると聞いて、もうそれだけで
行きたかった舞台です。なんと最前列!
パルコ劇場はステージの高さが低いので、1列目でも比較的
観やすいので好きなんですよね〜。

ホロヴィッツとの対話「ホロヴィッツとの対話」パルコ劇場1列目
14:05開演、16:15終演
作・演出:三谷幸喜
出演:渡辺謙、段田安則、和久井映見、高泉淳子
音楽・演奏:荻野清子

【あらすじ】
その天賦の才能を「ピアニスト」として芸術を表現するホロヴィッツ。天才が「神に選ばれた者」とするならば、その選ばれし者に従事する者は、「神に雇われた者」。調律師としてピアニストの演奏を支え続ける調律師と天才ピアニスト。彼らの芸術に人生を捧げるそのエネルギーの源泉とは、彼らは何のために身を削り、芸術に奉仕をするのか。あるいはそこから何を得、何を失っているのか。




三谷さんの作品だから、また開演前に三谷さんのウケ狙いの
アナウンスか何かがあるんだろうなぁ・・・と思って構えていたら
今回は何もなく、普通に開演しました(笑)。

上記の「あらすじ」の部分は公式HPからの引用なのですが、
ぶっちゃけこれだけでは全く分からない、っていうか、
実際の舞台と全く雰囲気が違いましたねー(笑)。
国民の映画」みたいなエッジの効いた舞台なのかな、と勝手に
思っていたのですが、ゼンゼン違ってました。



天才ピアニストで、偏屈もののホロヴィッツが派手好きの夫人ワンダ
と共に、調律師フランツの家に食事を摂りにやって来る。
その一晩のお話です。

細かく神経質で、出された料理の食材の鮮度が信じられず、
パッケージまで見せろと迫ったり、家の匂いが気になると消臭剤を
ぶっかけたり、水はエビアンしか飲まない(実際にエビアンと
それ以外をちゃんと判別する)とか、もうウザイ程の神経質男を演じた
ホロヴィッツ役の段田安則さん。この方は本当にさすが!です。
笑わせる部分、しんみりさせる部分、どちらも魅せてくれます。
多分、この舞台を引っ張っていたのは段田さんじゃないでしょうか。

そして段田さんと共に舞台を引っ張っていたのは、ホロヴィッツの妻
ワンダを演じられた高泉淳子さん。初見かしら?と思っていたら
私は「アラカルト2」で拝見した事がありました!
でも全然イメージが違うのにビックリ。だってあの時はむしろ少年
っぽいイメージだったのに、今回は傍若無人で、おせっかいで、
ハデ好きで、自慢したがりっていう超オバチャン(笑)。
でもこの方も良かったですね〜。歩き方がどうもぎこちなかった
のですが、それがオバチャンぽさにもなっていたんですよね。
カーテンコールでは普通に歩いていらっしゃいましたし、そもそも
アラカルトの時はもっと激しく動いていたので、あれも役作りかなあ。

そして、多くのピアニストから信頼されている調律師のフランツ・モアは
今回のお目当ての渡辺謙さん。以前観た「ピアノマニア」という
ドキュメント映画を思い出しました。
控えめで誠実、っていう役柄は謙さんのイメージに合っています。
この方、以前ドラマでコメディなんかもなさっていたのを覚えていますが
この舞台のコメディ部分も違和感ありませんでした。
いい意味で映像のイメージそのまま、ですね。

そしてフランツ・モアの夫人エリザベスは和久井映見さん。
声の出し方が少し独特な感じですが、別に聞き取りづらいと言うほど
でもなく、思った以上に馴染んでいました。
最近はドラマを全く観ないので彼女をを拝見するのは“おひさしぶり”
なんですが、相変わらず可愛らしい方ですね。
姑にいびられる嫁、みたいな役どころで、突然ブチ切れたり、
なかなかいい味だしていらっしゃいました。

役者さんは皆さん良かったです。でも作品としてはちょっとどうかなー。
つまらない訳ではないのですが、あまり記憶に残らない作品というか。
確かに前半のホロヴィッツとワンダの傍若無人ぶりに振り回される
フランツとエリザベスはコメディとして、とても楽しめました。
でも、振り返ってみると、何が言いたい舞台だったのかしら?と
少々首をかしげてしまうような・・。
ホロヴィッツとフランツの仕事を通した信頼関係?
それぞれの夫婦の絆の話?
子供の教育の話?
もしかして、それらを全部詰め込もうとして失敗しちゃったとか?
ホロヴィッツ夫妻の子供の件も、だいたい途中から想像出来た
というか、ああいう展開しかないよなーって感じで、意外性が無いし。

「あなたは自分の子供に死なれたことはあるの?」とワンダに言われ
フランツが弟の話を始めるのですが、あれ、どうも噛み合っていない
と思ったのは私だけでしょうか。
いっそ終始ドタバタコメディだった方が、ブレなくて面白かった
んじゃないかしら?なんて思っちゃったんですけど。

三谷さん、今後は作品の発表ペースを落としてもいいので、
「コンフィダント」とか「国民の映画」のようなピリっとした作品を
書いてくださると個人的には嬉しいんですけどねー。