朝はのんびり自宅を出て、刈谷まで・・。
刈谷というと仕事で来ることが多かったので、どうも落ち着かない(笑)。

八犬伝「八犬伝」
刈谷市総合文化センター大ホール1列目
13:00開演、16:00終演
原作:滝沢馬琴  台本:青木豪
演出:河原雅彦
出演:阿部サダヲ、瀬戸康史、津田寛治、中村倫也、近藤公園、尾上寛之、太賀、辰巳智秋、二階堂ふみ、田辺誠一、増沢望、佐藤誓、内田慈、前田悟、横山一敏、河原雅彦 ほか
【あらすじ】
安房国里見家の領主・義実の娘、伏姫(ふせひめ)は敵将の首を獲ってきた愛犬・八房(やつふさ)と夫婦となり、山中で暮らしていた。しかし、清らかな体のはずだった伏姫は八房の気を受けて妊娠してしまう。犬畜生の子を孕んだ事を恥じた伏姫は自害、その腹から出てきた「気」は彼女が持っていた数珠の八つの大玉と共に各地に散らばっていく。そして、犬で始まる名前・体に牡丹の痣・文字が浮き出る珠を持つ八人の若者がこの世に生を受ける…



久しぶりの阿部サダヲさん。
そう言えば、ここ2年ぐらいで“八犬伝”は歌舞伎で何回観たか。
おかげで、結構予習できている感じ(笑)。
今回もまた1列目かあ・・と思ったのですが、愛知県芸術劇場と
だいたい同じぐらいの高さの舞台のため、そこまで観づらい、と
思うほどではありませんでした。

開幕直後から、「え〜?血まみれ?何故の血まみれ?」とか
サダヲちゃん節全開で思わず笑っちゃいます。
私もいきなり血まみれで「あれ、八犬伝ってこんな話だっけ?」と
少々混乱してしまったのですが、徐々に思い出してきました。
というより、一旦バラバラにした原作を短時間に納めるために
再構成していたため、時系列で進んでいなかったと言う事でした。

でもね、なんかうまい具合にちゃんと“八犬伝”なんですよ、終盤まで。
浜路(二階堂ふみ)って序盤で死ぬんじゃなかった?って思ったけど
全体に忠実に再現してあったんじゃないでしょうか。

でも犬坂毛野(中村倫也)が犬田小文吾(辰巳智秋)を刺した瞬間
驚いたというか、いきなり目が覚めたような衝撃(寝てなかったけど)。
え?死んじゃうの?小文呉が死んだら七犬伝になっちゃうじゃん!
ここからは“青木豪さんの現代版八犬伝”って感じかな。

馬琴の“八犬伝”の主役が犬塚信乃(阿部サダヲ)が主役であれば
青木さんの“現代版八犬伝”の主役は犬坂家野ですね。
今までの人生から、全てを恨み、人間であることすら否定する。
「動物は自分が生きるためにしか、ほかの命を奪わないのに
 人は意味もなく殺し合いをする」と言って。
この毛野と言う人もアイデンティティをどこに求めたらいいのか
分からないような育ち方をしているので、気の毒と言えば気の毒
なんだけどね。“犬になりたい”というよりも、人を懲らしめられれば
何でもいい、って言う感覚の方が近いよね。
でも家野の苦悩はジェンダーの問題だけではないはずだけど、
どうしてもその点だけに焦点が当たりがちなのが残念かなあ。

“大義”に熱中する犬士達をシニカルな目で見る毛野の視点は
作家の青木さんの視点と重なるものを感じます。
例えばマスコミの報道やネット世論、そういったものに安易に流され
自分自身で考え、判断しているのか?と言われているようで。
全てが終わった後に道節(津田寛治)が言う「お前、浜路が死んで、
自分が生き残るように刺したんじゃないか?」という後味の悪いセリフ。
本来なら「悪い奴を倒せて良かったね」というシーンですから
あんな本心丸出しのセリフって凄く印象的。
でも、人の心なんて、結局そんなものだと思うんですよね、実際は。
その上での信乃のセリフが活きてくるんだと思います。
原作のように「悪者を倒して、みんな幸せになりましたとさ」という
のもいいんですが、こういうちょっとビターな作品、私は好きです。

青木豪さんと言えば、私的には「IZO」。
とにかく、この作品の印象が悪いものですから(何度も書いてますが、
作品と言うよりも演出が嫌い)
青木さんの印象まで悪くなって
いたのです。でも、佐藤健クンが出たロミジュリの脚本は私も好き
だったし、「往転」の演出も好きだったので、今ではかなり印象が
変わってまいりました。青木さん、ごめんなさい<m(__)m>

キャストも皆さん良かったですよ、サダヲちゃんは言わずもがな。
中村君は何度も拝見していますが“華奢な男の子”のイメージが
強かったのに、思いのほかガタイがしっかりしていたので
「これ、内田君?」と思っちゃいました。
津田さんは舞台では初見。舞台も楽しそうに演じていらっしゃい
ましたし思った以上に舞台でも素敵な方でした。
二階堂ふみさんは初舞台なんですってね。
着物の着方が雑だし、所作がなっていない感じでイマイチ・・と
思っていたら、最後の憑依された時の演技はすごく良かったです。
そして、瀬戸康史クンの顔の小ささには思わずのけぞりました(笑)。

観るまで知らなかったのですが、今回アクションクラブの前田さんが
ご出演なんですね!「ZIPANG PUNK〜五右衛門ロック掘繊廚
出演されていらっしゃらなかったので寂しかったんですよ(笑)。
2幕最初に荘助を処刑するシーンで、どんなにこの処刑が正当かを
体全体を使って訴える場面で、私に向かって「なあ!?」と
同意を求められました(笑)、1列目のどセンターの席だったので。
もう嬉しくてブンブン首を縦に振ってしまいましたよ(笑)。

前田さんが出ているし、途中で一度剣がぶつかる音がしたので
(実際は木製だそうで、ぶつかると金属ではない音がする)
その音でああ、殺陣は新感線と同じだな、と思いました。
新感線の殺陣は、実際に刀を合わせないそうですから。
スタッフを見ると効果音は大木裕介さん、映像は上田大樹さん、
小道具は高橋岳蔵(インディ高橋)さん、特効は南義明さん。
皆さん新感線の常連スタッフばかりじゃないですか。
なので、新感線っぽい所も多分にありましたが、そこを狙った
という感じでもなかったため、それ程違和感はありませんでした。
迫力も、笑いも、和太鼓なんかのエンタメもありの楽しく観やすい舞台。
そんな印象でした。
正直、それ程期待していなかったので、ちょっとラッキー♪

そして、この「八犬伝」という馬琴の原作を中島かずきさんが潤色し
いのうえひでのりさんが劇団☆新感線でやったら面白そうだなあ
と、つい考えてしまいました。