美味しい楽しいランチの後向かったのはシアタードラマシティ。
豊橋公演に振られたのでこちらに来ましたが、蜷川シェイクスピアは
かなりの本数をこの劇場で観ているため、なんか落ち着きます(笑)。

ヘンリー四世彩の国シェイクスピア・シリーズ第27弾「ヘンリー四世」
シアタードラマシティ 22列
13:00開演、17:10終演
演出:蜷川幸雄 作:W.シェイクスピア
出演:吉田鋼太郎、松坂桃李、木場勝己、立石涼子、星智也、矢野聖人、冨樫真、磯部勉、たかお鷹、辻萬長、瑳川哲朗他

【あらすじ】
リチャード二世から王位を簒奪したヘンリー四世は、自らの罪の意識を贖うためにエルサレムへの遠征を計画していた。しかし一方で、周辺諸国との争いは収まらず、国内貴族の間の王への不満も、次第に深刻なものへとなりつつあった。世継ぎであるハル王子(松坂桃李)は、大ボラ吹きで呑んだくれの騎士フォルスタッフ(吉田鋼太郎)達と自由奔放な毎日を送っていたが、謀反が起きた時、父王より鎮圧軍の指揮を命じられる。歩兵隊長となったフォルスタッフと共にシュールズベリーへ出陣したハルは、激戦の末にこれを鎮圧、ゴールトリーの戦いも王軍の勝利に終わる。ヘンリー四世より王冠を託されたハルが新たな国王となり、喜び勇んだフォルスタッフだったが・・・

 


このシリーズも観はじめて既に15本めになります。
観た本数の方が、残された(未上演)作品数より多くなりました。
今回は歴史モノかあ・・。確かヘンリー四世って2部モノでは?
と思ったら、やはり上演時間が4時間越え。
ソワレのチケットを取っていたら、帰れなくなってたところだよ(笑)。

豊橋公演が全く取れなかったので、何でそんなに取りづらいのか?
と思っていたのですが、桃李クン人気が原因かもしれないなあ・・
と思うようになりました。周りは桃李クンファンが一杯です(笑)。
いいんだ、どうせ私は鋼太郎さん狙いさっ♪



シェイクスピア作品の中では史劇になる、2部構成の作品。
書かれたのは「ヘンリー6世」の方が早いようですが、時の流れ
としてはこちらの方が先になります。

古い順に「ジョン王」「リチャード2世」「ヘンリー4世」「ヘンリー5世」
「ヘンリー6世」「リチャード3世」「ヘンリー8世」。
結構観てきたなあ、と思ったけど、書き出してみたら“まだまだ”
って事が分かりました(笑)。

この作品、タイトルロールはその名の通り「ヘンリー4世」ですが
主役はフォルスタッフ。この作品を観たことのない私でさえ、この
フォルスタッフという名前は知っている位、有名なキャラクターのはず。
確かこの作品以外でも、フォルスタッフって登場したような気が・・
と思って調べたら、「ウィンザーの陽気な女房たち」でした。

そんなスピンオフ作品(?)が出来ちゃうのも分かるような気がする
のはこのフォルスタッフという登場人物の個性が際立っているから
なのではないかな。
そしてその個性の際立つ役を魅力的に、チャーミングに演じている
吉田鋼太郎さんが素晴らしかったです。
口が上手くてホラ吹きで、物事を真剣に考えるのが苦手。
でもなんか憎めない。酒場のおかみの気持ちが分かる気がする。
鋼太郎さんはまさに体当たりの演技で(あれ、暑いだろうなあ)
アドリブ感満載で目が離せません。

2幕開幕前の客席イジリも楽しかったなあ。
近くのお客さんがおしりの辺りを触ると「あ、勝手に触らないでください」
なんて言ったりするし。桃李クン目当ての観客も多いはずなのに
すっかり客席を引き付けていました。

でもそんなお調子者が最後の最後にハルに「お前なんか知らない」
と言い渡されるシーン。
後ろ姿しか見せていないのだけど、その力の無い後ろ姿が
本当に印象的なんです。この落差が俳優・吉田鋼太郎の真骨頂
なんではないかしら。

あとは印象的なのはタイトルロールのヘンリー四世を演じた
木場勝巳さん。若いころには野心マンマンで思い切った事も
一杯やったのに、歳を重ねるつれて、そういう争いごとに対して
疲弊感を感じている、少し疲れた王って感じがします。
過去の野心のかけらを見せながらの老王、さすがですね。

そして何といってもハリー・パーシーを演じた星さん!
前に拝見した時もきっと書いていると思うのですが、本当に、本当に
声が素敵です。凛としていて、力強くて、良く通る声で。
ヘンリー4世が「うちの息子がハリー・パーシーだったら」と羨む
という設定にも納得できるような、優秀な若者って感じです。
あまりにも通り過ぎる声なので、現代劇よりもこういう古典の方が
似合う方なのかもしれませんね。

あ、忘れていましたが、ハル王子を演じたのは初舞台の松阪桃李
クン。彼は「つなぐ」を拝見した事があって、朴訥とした真面目な
好青年と言う印象だったものですから、金髪ロン毛で出てきた時
「あれは本当に桃李クンなのか?」と目を凝らしてしまいました(笑)。
ただそういう「真面目な青年」のイメージが強かったので、ハル王子
ってイメージじゃない・・と思っていたんですよね。
けど、なんか似合ってました(笑)。
金持ちで、地頭はいいし、いい大学に通っているのに、目的もなく
日々、ただバカ騒ぎをして遊び倒している学生って感じ(笑)。
ただこういう大学生って、一旦目標が定まると、すごい能力を発揮
したりする事も少なくなくて、ハル王子もまさにそんな感じ。
オープニングのフォルスタッフとの悪ふざけも楽しそうだし、
桃李クンに対する印象がかなり変わったのは事実です。

どうせならこのまま次は桃李クン主演で「ヘンリー5世」を上演したら
いいのに、って思いましたが、まだ少し若いかもねー。
でも何年かしたら、本当に桃李クン主演で「ヘンリー5世」やってくれ
ないかなあ。


平たく言えば、放蕩王子が国王として目覚め、
調子モノの飲んだくれが、その報いを受ける・・という単純な話ですが
思った以上に楽しめました。
舞台を斜めに使って、奥行きを感じさせるセットも良かったですね。
えっと次は・・ベニスの商人でしたっけ。
これも是非観に行きたいと思います!!