今日は久しぶりの観劇〜♪うれすぃ〜♪
もう15時くらいからソワソワして(笑)、定時ダッシュで職場離脱。
それにしても、アートピアへ行くときはいつも天気が悪い気がする。
「オセロ」アートピアホール4列目
原作:W.シェイクスピア 構成・上演台本・演出:白井晃
出演:仲村トオル、山田優、赤堀雅秋、高田聖子、加藤和樹、水橋研二、有川マコト、近藤隼、谷村実紀、白井晃
【あらすじ】
「オセロ」を演じる俳優を客席から見つめる演出家。主演俳優を取り囲む嫉妬の目。やがて演出家は“芝居”を通し“舞台”でも“現実”でも、彼を破滅に至らしめようと目論む…。劇場を使って仕掛けられる罠は、二重構造で心情をシンクロさせ、やがて観客はその事件を目撃する。
この舞台は情報が公開された時から観たいと思っており、Septまで
行くつもりでいたのですが、思いがけず名古屋公演があってラッキー!
原作の「オセロー」も好きですが、出演される俳優さんも好きな方が
多いし、シェイクスピアを白井さんが再構成するなんて、どんな感じに
なるんだか興味あるじゃないですか。
ちょいちょいネットでつまみ読みする限りでは評判も良いようだし、
とても楽しみにしておりましたが、色々と意表を突く演出もあって、
最後まで緊張感を持って観る事が出来ました!面白かった♪
あ。有川さんが当日本番直前でお腹を壊して大変だったようですが
そんな事、全く感じませんでした、さすがプロ(笑)。
まあお席も4列目通路側という非常にオイシイ席だったという事も
ありますが、とても好きです、この舞台。観に行けて良かった!
俳優さんも良かったのですが、特筆すべきは白井さんの台本と構成
そして演出かなあ。
改めて、舞台っていいよなあ・・と思う作品でした。
事前に「これはシェイクスピア劇“オセロー”の劇中劇らしい」
という事は知っていたのですが、実際に始まってみるとあまり
“劇中劇”らしくない。もちろん演出席なんかが客席の中にあって
演出家らしき人が居て・・だったんですが、いったん始まると途中で
止まる事も無く、基本的には普通に“オセロー”でした。
最初は「どういう感じに劇中劇にするんだろう」なんて思って
観ていたのですが、そういう面では肩すかし(笑)。
でも、途中からシェイクスピア劇としても引き込まれていきます。
単純に「オセロー」としても短時間でよくまとまってます。
この芝居では“境界”が曖昧にされているなっていうのが印象的。
まず役者と観客の境界。突然「ご起立願います」と言われ、
私たちもエキストラのキャストとして参加したりします。
私は後から知ったのですが、客席に起立を求めるチラシが入場時に
配られていたのですね。どうりでみんな素直だと思った(笑)。
また観客席の中に、役者さんたちの席があるので、「出番を待つ」
役者さんたちが客席に座って他の役者の演技を観ているんですよね。
この役者さんの席が私の席に近くて、もう気になって気になって(笑)。
あとは芝居と現実の境界。
シェイクスピア劇の「オセロー」における嫉妬と、現実の役者としての
嫉妬がシンクロしていく。
あれは戦場でオセロ将軍と離ればなれになったデスデモーナを
慰めるシーン。シーン冒頭はエミリア役の高田聖子さんを始め、皆が
凄い冷たい目をしていたんですよ、怖いぐらいの目。
それがデスデモーナに話しかける瞬間にコロっと表情が明るくなって
そのあまりの違いに「見間違えた?」と思うほどの落差。
あれが現実と演技の境界だったんでしょうね。
出番待ちの役者として客席で観ていた有川さんが、(笑うシーンでは
無いにもかかわらず)突然笑い、席が近かったので振り返って観たら、
ちっとも顔が笑ってないの。そもそも笑えるシーンじゃないし。
ああ、面白くて笑った訳じゃないんだって思ったら、ちょっと怖かった。
その表情はどちらの顔?という境界が入り組んでいて面白い。
休憩時間も休憩のような舞台の続きのような、線引きが曖昧な感じ。
オセロ役の中村トオルさんの役者としての怒りが休憩なのに続いて
いたりとか。
舞台と客席の境界も曖昧よね。客席も舞台として使っているから。
そして、アナログ感を大切にした、人の想像力を刺激するような
演出も素敵でした。大がかりな照明ではないけど、蛍光灯の明かり
を効果的に使い、プロジェクターの明かり、工事現場で使うライトも
使ったりもする。
効果音は楽器が奏でる生音で、不安感をあおり、一斗缶を叩く音
で衝撃を表す。こういう演出は生で観る舞台ならでは。
こういう実験的なというか、意表を突く演出の作品はここのところ
何本もあって、それらは全部世田谷パブリックシアター制作のもの
なんですよね〜(南部高速道路、4 four、K・ファウスト)。
意表の突きかたは「4 four」には及ばないけれど、とても印象的。
いい仕事してますね、世田谷パブリックシアターさん(笑)。
役者さんも皆さん本当に素敵。キリがないので全員は書きませんが
その中で一番印象的だったのが、イアゴーを演じた赤堀さん。
赤堀さんってTHE SHAMPOO HATの方ですよね?と言う事と
「その夜の侍」を書いて監督された方ですよね?ぐらいには
存じてましたが役者さんもなさっているとは。
私にとってのイアゴーは蜷川さんの舞台に出ていた高橋洋さん
だったのですが、赤堀さんのイアゴーも本当に良かった。
ネチっこくて、陰湿で。私のボキャブラリー不足で説明できない
のが残念なんですが、本当に人の心をザワっとさせる。
マイクを持って話すときは、彼の本心なんだと思うのだけど、
穏やかに話すがゆえに、怖いというか、不気味と言うか。
またこの役に赤堀さんの声がピッタリなのですよ。
あと、高田聖子さんがデスデモーナ(山田優)の死の場面で
「誰か!誰か来て!」と叫ぶのを観て、シキブがオオキミを殺した
シーン(朧の森に棲む鬼)を思い出したのは私だけではないはず(笑)。
最期の銃撃のシーンはあまりにショッキングで友人は泣けてきた
って言ってました。私も一旦拍手を始めていたので、あまりの
衝撃に手がそのまま硬直。
あの時の殺された二人以外の表情、怖かったもの・・・。
オープニングで真っ白の塗料を顔に塗りあったオセロとデスデモーナ。
そしてエンディングでは、オセロゲームの駒が裏返されたように
状況が一転。“仲間”に打ち殺されて、真っ黒の塗料を顔に
塗りつけられる二人。すごく象徴的で、すごく怖いシーン。
ある意味、この部分がこの「オセロ」のオリジナルというところ。
な・の・に!
ここで笑いが起きたんですよねぇ。「なぜ笑う!なぜ笑える!」と。
あまりにそれがショックで、その事をツイートしたところ、有川さんが
リプライを下さいまして、そこには「笑いが起きた時には冷や汗が
でそうでした」とありました。
「そういう反応も含めて生の醍醐味」とおっしゃってくださいましたが
やっぱりあそこは笑う所じゃないでしょうよ。
まあさすがに、すぐに「シーン」ってなりましたけど。
まあ、そういう客席の反応は少し残念な気もしますが(とはいえ、
他の方は“笑えちゃった”んだから、仕方ないんですけど)
本当に見応えのある舞台でした。2度目のカーテンコールで
スタオベが始まり私も素直に、すぐに立ち上がりましたよ。
こんなに素直な気持ちでスタオベするのは久しぶりかも(笑)。
キャストのうちの加藤君が何故かカーテンコールに頻出していたので
(3度目のカテコは加藤和樹クンおひとりでした)
何故だ?と後から調べてみましたところ、この方は名古屋のご出身
だったんですね〜。
いやあ、こういうクオリティの舞台が名古屋で観られるとは!
非常に満足でございました。