仕事が終わると超特急で職場を飛び出し、向かったのは金山。
やはり18:30開演は厳しいものがあります・・・。

わが闇ナイロン100℃ 40thSESSION
「わが闇」名古屋市民会館 7列目
18:30開演、21:55終演
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:犬山イヌコ、峯村リエ、みのすけ、三宅弘城、大倉孝二、松永玲子、長田奈麻、廣川三憲、喜安浩平、吉増裕士、皆戸麻衣、岡田義徳、坂井真紀、長谷川朝晴

【あらすじ】
〜三十余年前、柏木家は小さな村「御五色村」に引っ越して来る。小説家である柏木伸彦には3人の娘がおり、長女・立子は齢10歳にして文壇デビュー。同業者として立子に嫉妬の念を抱く伸彦。一方で妻の基子が情緒不安定になり、ある事柄をきっかけに自らの命を絶ってしまう。 月日は流れ、現代。病床に臥せた伸彦のドキュメント・ムービーを製作する為、2人の男が柏木家を訪れる。一見、さしたる悩みもなく日々を過ごしているように見える柏木家の三姉妹だったが、それぞれが人に言えない「事情」を抱えて暮らしていたのだった。〜



初演は5年以上前。
初めてナイロンを観たのが「犬は鎖につなぐべからず」だった
のですが、その次の公演が「わが闇」でした。
「犬は〜」は面白かったなー、ナイロンまた観たいなーと思ったのに
地方公演は無く、そのまま見送っていたのですが、今回は
20周年企画の一環として再演&名古屋公演。
とても楽しみにしておりました。ナイロンは2011年に観た
ノーアート・ノーライフ」以来ですしね。

ふと思い立ってDVDを漁ってみたら初演のDVDがありました!
録画だけして観ていなかったんだなー。
オリジナルキャストでのの再演だったんですね。


今日は大千秋楽。
最期にはKERAさんからもご挨拶がありました。
「名古屋・・・暑いっすね」だそうで(笑)。イヌコさんもTwiterで
「スーパー猛暑」と呟いていらっしゃいましたが、
今日はそこまで言うほど暑くないかと。
名古屋の暑さ、本気になればこんなもんじゃありませんから(笑)。
そして「30年も続けたい」と言うようなことをおっしゃっていましたが
30年と言わず40年でも(笑)。
そして、是非これからも名古屋公演をしてください!

「クロニクル」=「年代記」。まさに柏木家の年代記。

父譲りの文才があり、幼い頃から大人びていた長女立子(犬山イヌ子)
素直で優しいが目立った才能に恵まれなかった次女艶子(峯村リエ)
奔放で自分の意見や好き嫌いを遠慮なく表現する三女類子(坂井真紀)。
その3人が階段に座って思い出話をするシーンで開幕。
本編全体が回想シーンのような内容になっています。
そんな長女立子が書いた代表作が「わが闇」。
でも「『わが家』に」にも聞こえるんですよねぇ・・・。
・・・“我が家の闇”。

まあ、毎回書いていますがケラさんの舞台の映像
(今なら“プロジェクションマッピング”と言える(笑))の使い方の
スタイリッシュなこと。でも単純に「キレイ」なだけではなく、
不安を煽る効果も大きかったのが印象的です。
またお父さんが「人間そんなに簡単に死ねるもんじゃない」
と言った後のシルエットの演出もまた印象的。
ちょうど、同じような言葉を教師に言われて、学生が自殺したと言う
事件があったばかりなので、より強く印象に残ったかも。

どこかであのセット、よく洋室にいる人は柏木家に馴染めない人
という設定になっていると読みました。
そうなんですよね、寅夫(みのすけ)とか飛石(松永玲子)とか、
柏木家にとっては“異物”っていう感覚だから。
寅夫は確かに嫌なやつ(この人の過去に同情すべき点はあるし
以前からあんなヤツだったのか?という興味はある)なんだけど
飛石さんって、私はそんな嫌いじゃなかったな。
言い方はキツいけど、実際は本質を尽いているように思うから。
そんな飛石さんが異物として見えるのは、それだけ柏木家が
本心を露にしないで生活しているという事なのかもしれない気がする。
だからこそ、録画で父親の本音(?)を聞いた時の立子はショック
だったと思うし、観ている私まで痛々しくって。

切り倒されてしまったという墓地にあるソメイヨシノの大木。
古い木だからもう花を咲かせる事は無い老木。
「あの木が無いだけで、なんか変わって見えるよね」
あの桜の木は父親のオマージュなんでしょうね。
今となってはただの寝たきり病人で、娘の成功を喜ぶどころか
妬んだり、自分を慕ってきた未完を下男扱いにしたり、心を病んだ
妻を追い出して、新しい女と再婚したりする人でなしでも
それでも生きているのと死んでしまうのでは違う。
結局、みんなを結び付けていたのは、実は父親だったのかも。

長い間、微妙な壁に悩んでいたのは、立子だけではなく、
この父、三姉妹とも同じだったことが分かります。
写真の裏にメッセージを残すという形でしか本心を語れなかった
父親もまた気の毒な人ではあるんでしょうね。

ケラさんの作品らしいと言えばらしいのですが、登場人物が
どれも一癖も二癖もあって、どこかダメダメな所を抱えている。
今後どうなるか、は観客に委ねられて終演を迎えたわけですが
「大変な事もあるだろうけど、どんな人にもその人の人生がある、
 そして人生悪い事ばかりじゃないよ」
と思えるエンディングに、少し希望が感じられます。

キャストは初演とほぼ同じようですが、松永玲子さん、凄かったー。
圧倒されてしまいましたよ。
そう言えば、真っ暗な中でのオープニングは、失明した後に
3人で語り合っているようにも思えたのでした。

あ。“ダバダ〜”は意外ときれいなハーモニーで驚きました(笑)。