歌舞伎座を出て、ランチして・・と思っていたけど、読みが甘かった!
劇場を出たのが既に12時15分頃。
13時開演だから、ボヤボヤしてられないじゃないか!
と、歩いて帝劇まで行く予定だったのですが、急遽日比谷線乗車。

二都物語「二都物語」帝国劇場7列目
13:00開演、16:10終演
原作:チャールズ・ディケンズ
脚本・作詞・作曲:ジル・サントリエロ
追加音楽:フランク・ワイルドホーン
翻訳・演出:鵜山仁
出演:井上芳雄、浦井健治、すみれ、濱田めぐみ、橋本さとし、今井清隆、福井貴一、宮川浩、岡幸二郎、原康義、塩田朋子、原慎一郎

【あらすじ】
イギリスに住むルーシー・マネットは、父ドクター・マネットが17年間バスティーユの牢獄で生きていたと知り、パリへ向かう。父娘でロンドンへ戻る際、フランスの亡命貴族チャールズ・ダーニーと出会うが彼はスパイ容疑で裁判に掛けられてしまう。そのピンチを救ったのはダーニーと瓜二つの酒浸りの弁護士シドニー・カートン。3人は親交を深め、ダーニーとルーシーは結婚を誓い合う仲になる。密かにルーシーを愛していたカートンだが、2人を想い身を引くのだった。ダーニーは昔の使用人の危機を救おうと祖国に戻り、フランス革命により蜂起した民衆たちに捕えられ、そこで驚くべき過去が判明、死刑を宣告される。そこでカートンはある決心をし、ダーニーが捕えられている牢獄へと向かうが…。



これは早く観たくて仕方なかった1本です。
仮チラシを観た段階で「行きたい」と思っていた作品で、浦井クンに
キャーキャー言う前から観たかったんですよ。もちろんStarSよりも前。
浦井クンと井上クンの共演が、その頃から興味あったんですよね。
帝劇入口










浦井王子&井上王子&橋本さとしさんという私好みのキャスト、
それに加えて、私の好きなフランス革命モノ!
「もし作品が良かったらリピートしよう」
と思って観はじめましたが、帰る時には「いつリピートしよう」
となっておりました(笑)。

うん、私好みです(笑)。やっぱ鵜山さんの演出は好きだな〜。
ちなみに今日は浦井君の32歳のお誕生日。
カーテンコールでは井上クンがクラッカーをこっそり持ってきて
くれていましたが、井上センパイがそんな心遣いをしていると
気付かず、浦井君は一人さっさとハケてしまって、井上クンが
クラッカーを鳴らした時にはもう袖に戻りかけ、という・・・。
↑終演後にFCイベントがあるので、早く引っ込みたかったんでしょうけど(笑)

その後もう1度出てきてくれたのですが、クラッカーから出た
紙テープを手に、飛び跳ねながら体で何かの英単語を表現。
多分・・・「H・A・P・P・Y」だったんじゃないかと思います(笑)。


もう1度観劇する予定なので、舞台全体の細かな感想はその際に
書くとして今回はザックリとした全体の感想と、キャストについて。
長いっす(笑)。興味のある方だけどうぞ。






この作品が私のツボにハマったのは、非常にストプレ寄りの作品
だという事が大きいと思います。
セリフで舞台が進む事も多く、細かな伏線が多く用意されている。
歌も多すぎず(笑)、抽象的なパネルを使った舞台装置も多分に
演劇的で色々と想像が膨らんでいいんですよね。
もう1幕が終わる時には「追加で観よう」って思っていましたね(笑)。
※実際の曲数の多寡は分かりませんが、多くない印象です。

ただ、裏を返せばミュージカルが好きな方にとっては「歌が少ない」
とか「セットに華やかさが無い(とは言ってもそういう時代設定じゃないけど)
とか「アンサンブルの迫力が・・」とか、「セリフが多い」とか、
私の好みとする点が、マイナス評価に繋がるのは想像出来ます。
これはもう、好みとしか言いようがないですからねー。

「カートンとダーニーが瓜二つ」は上演前には話題になりましたが、
実際はそこは全くと言っていいほど触れられていませんでした。
(井上君が浦井君の声マネをするシーンはありましたけど)。



飲んだくれで全てにおいてやる気の無い弁護士、シドニー・カートン
井上芳雄君。“プリンス”と言われるだけあって、「女性に振られる
役は珍しい」そうですが本当にいい役。主役なのに開演後30分近く
出てこないし、出てきても飲んだくれ状態なんですけどね(笑)。
StarSでの突っ込みぶりを見ていたので、こういう役も似合いそう
と思っていたけど、想像以上。
最初はひたすらダルそうだし、自発的に行動する事が無い人間
だったのが、ルーシーと出会ってから、どんどんと酒は飲んでも、
酒に飲まれる事が無くなって、自発的に行動する事が増えてくる。
そういう変化がとても自然かつ分かりやすい。
人(ルーシー)を大切に思うようになって、自分自身の存在意義を
意識し始めたと言う事なのでしょうね。
最後のダーニーとのシーンは本気でステキでした。
歌の上手さは言うまでも無いですが、主役になるべくしてなっている
というオーラと余裕を感じましたね、本当にセンターが似合う。


フランスの亡命貴族、シャルル・デブレモンドは浦井健治クン。
父方の叔父を嫌って母方の姓を名乗り、英語読みをしているので、
劇中ではチャールズ・ダーニー。また「シャルル」だよ(笑)。
人はいいけど、世の中の事が全く分かっていないボンボン。
「労働する」と言っても、当時のフランス貴族が出来るはずないし、
フランス革命の真っ只中、貴族と言うだけで逮捕、死刑。平民でも
「貴族に親切にした」だけで(事実は別として、そう思われただけで)
まともな裁判もなくギロチンに掛けられた時代。のこのこフランスに戻り
自分に誰かが救えると思ってるなんて、バカというか浅はかというか。
でもねー、この純粋で、正直な真っ直ぐバカっぷりは、浦井健治の
醸し出す雰囲気にとても合っていて、キュンキュン来ます(笑)。
でもある意味、とても強い人でしょうね。あの時代で貴族自身が
貴族制度に否定的だったなんて。周りからも変人扱いでしょうから。
カートン程目立たないし、そもそも、ソロナンバーが1曲も無いという、
ちょっと地味な役だけど、“こいつなら、仕方ない”と思えるような
キャラクターだからこそ、カートン、ルーシー、ダーニーの関係が
成り立っているともいえます。
カートンと違って、最初から最後までこの人は変わりません。
浦井君、低音が良く出ていて歌も良かったですね。先日のFCのイベントで
他の人も「本当に歌が上手くなった」って言っていましたが、井上クンと
「今は子供のままで」を歌っても、ちゃんと成り立ってますから!
牢獄でのカートンとのシーンでは、貴族らしい品の良さも感じるし、
カートンの真意を知った時の演技もすごく良かった。
お茶目なシーンも“らしく”て良かったです。


厳しい生い立ちにグレる事なく、素直に育ったルーシー・マネットは
すみれさん。天真爛漫で素直な雰囲気がすみれさん自身と
オーバーラップします。そういう点でも浦井ダーニーとピッタリで、
この二人がくっつくのは必然だったんだなあ、と思えますよね。
ただ、歌はちょっと残念。想定内ですが。高音も出てはいるんだけど
どうにも不安定で・・。
そして“一生懸命歌ってます”オーラが出過ぎてるように思えるんです。
だから歌の所だけ他の演技とはブツっと切れてしまうという感じ。
あと、セリフに微妙な英語訛りがある時があって、気になっちゃう。
「さよならは言わないで」はとてもいい曲なので、もっと歌える方が
歌っていたら・・と思うと残念。演技自体は嫌いじゃないんですし、
雰囲気はとても合っていたと思うのですが。


貴族を憎み、その生い立ちから執拗にエドモンド一族を憎む
激しい女性マダム・ドファルジュを演じたのは濱田めぐみさん。
黙々と編み物をする女って、怨念まで編みこんでいるようで怖ぇぇ。
すごく過激な女性と映るかもしれないけど、当時のフランス平民
としては特別過激と言うほどでもないんじゃないかな。
自分で自分の感情をコントロール出来なくなった哀しい人です。
この人の歌も揺ぎ無い安定感が素晴らしいです、相変わらず。


革命派ではあるけど、冷静な目も持つドファルジュは橋本さとしさん。
派手さも無く、この人こそ地味なんだけど、人間としての器の広さを
感じさせて、いい味出してます。ラストのマダムとのシーンは切なかった・・。


さんの演じるエブレモンド侯爵はもう歌に全く隙が無く、だからこそ
冷徹で不気味な雰囲気3割増し。ただ当時の貴族は、自分たちの
特権を「神から与えられた」と本気で信じて育っているので、
人としては残念な人に違いは無いのですが、この人だけが“悪人”か
というと、ちょっと悩ましい気がします。まあ、悪い奴なんですが(笑)。


ルーシーの父ドクター・マネットは今井さん。バルジャンに見える(笑)。
今井バルジャンは観た事が無いというのに。
前半の包容力のある父親役よりも、終盤のフランスで髪を振り乱して
いる方が人間臭くて印象的でしたねえ。
この人は一連の事件の元凶ではあるのだけど、ちょっと可哀そう。


小悪人のバーサットは福井さん。「ジェーン・エア」で拝見した事が
あるのですが、全く雰囲気が違って驚いちゃった。
小悪人と言うよりも小市民って感じかなあ。何気にいい役なんですよ。
最後のカートンの気持ちを知ってからのバーサットには、何だか
救われた気持ちになるんですよね。
しかし、福井さんが歌っていた記憶があまり無い(笑)。


ストーリーや演出についても語りたい事がありますが、もう十分
長いのでこれは2回目を観た後で書きたいと思います♪