新しい歌舞伎座が開場して2度ほど観に行きましたが、いずれも
3等B席やら幕見席で、しかも途中で出なければいけなかったりして
ちゃんと通しで観た事が無かったんですよ。
なので今回が初めて歌舞伎座でちゃんと舞台を楽しむ機会となりました。

陰陽師新開場記念 新作歌舞伎
九月花形歌舞伎 夜の部「新作 陰陽師」
第一幕 都大路
   「晴明、百鬼夜行に遇いしこと」より
第三幕 貴船山中
   「将門復活。最後の戦いと大団円」まで
歌舞伎座14列、16:30開演、20:30終演
出演:市川染五郎、尾上松緑、尾上菊之助、市川海老蔵、片岡愛之助、中村勘九郎、中村七之助、坂東亀三郎、片岡亀蔵、坂東亀寿、坂東新悟、片岡市蔵、河原崎権十郎、市川團蔵

【あらすじ】
平安の都では、謎の怪事件が次々起きる。ある晩、若き陰陽師の安倍晴明は、源博雅とともに百鬼夜行に遇い、その中にいた美しい姫に目を奪われた。晴明と博雅は、平貞盛が患った原因不明の瘡(かさ)を調べるうちに、最近の奇怪な事件や出来事が、20年前に討伐された平将門に関係していると考え、将門を討伐したかつての将門の盟友、俵藤太とともに、その死の謎を追ううち、将門の遺灰が盗まれたことを知る。謎の姫の正体が将門の娘、滝夜叉姫であることがわかり、20年の時を越えた恐ろしい陰謀が、ここに明らかになる−。



平日公演なのに、14列。もっと前方でも取れるかな?と思っていたので
意外でしたが、一般発売直後あっという間に売り切れてしまって、
その人気の高さにすごく驚いたんですよね。
とはいえ、今回は敢えて花道脇を選んだので、相対的にとても
満足度の高いお席でした♪


そして、今回イヤホンガイドを借りたのですが、機械がリニューアル!
イヤホンガイド
ダイヤルが無くて探しちゃった(笑)。デジタルっぽくなってましたよ。

先日お話を伺った、おくだ健太郎さんが解説を担当しているという事で
聞いてみた訳ですが、イヤホンガイドの解説は要らなかったですねー。
まあ想定内ですが(笑)。






夢枕獏さん「陰陽師」シリーズから「陰陽師 滝夜叉姫」が原作。
私は原作も読んでないし、映画も観ていないので大丈夫かしら?
と思いましたが、その辺りは心配ありませんでした。
とにかく贅沢なキャスティングで、またこれ以外考えられないなあと
思うぐらい、配役もピッタリ。

染五郎さんの美しさは陰陽師の持つ妖しい雰囲気に合ってます。
途中、通路から登場するシーンがあったのですが、わお・・と思わず
思ってしまう位でしたから。

勘九郎さんの演じた源博雅は、素直で誠実な雰囲気がピッタリ。
この人の奏でる笛の音だからこそ、あのような力があったのかしら
と納得できるような。
帝を「あの人」と言っちゃう晴明と、それに慌てる博雅がその個性の
違いを良く表していた気がします。清明が唯一心を許していた相手
という二人の関係性もほのぼのしていい雰囲気。

個人的にあまり得意ではない海老蔵さんですが、この役は実に
合っていたと思います。自分の子供の亡骸を食い散らかすシーンは
「ドラクル」を思い出しちゃいましたね(笑)。
ただ、もう少し、将門が誠実で正義感や愛に溢れた人だったからこそ、
ああいう事態になってしまった・・と言う点が強調されていた方が、
滝夜叉姫の行動や納得度が高くなるんじゃない?・・なんて思ったり。
今は「ダメな親でも親は親」みたいな想いだけで復活させようと
しているっていうか・・ね。

でも一番ピッタリで印象に残っているのは、興世王を演じた愛之助さん。
とことん悪意に満ちて、最後に改心したりしないヒール役が良かったです。
七之助さんや菊之介さんも良かったですよ。いずれも気の毒な女性
なんですけどね。
今回は花道脇の席だったのですが、花道を通る菊之介さんが美しい事と
音も立てずに、滑るようにスーッと通り抜けていくのが、人間離れしていて
すごく印象に残りました。歌舞伎役者さんって脚力がすごいのね。

このお話自体は知らなくとも、安部晴明自体は有名ですから、
色んな舞台でチョイチョイ観ていて(まあ殆どが新感線だが)、蠱毒とか
戻り橋とか道満とか、なんか結構知ってるじゃん、って(笑)。

良くも悪くも歌舞伎らしくない分かり易いエンターテイメント作品でした。
暗転が多いし、BGMがあったり、映像を使ったり、「○年前」なんて
説明が映し出されたり・・。いわゆる伝統的な歌舞伎に拘らない作品
といったところでしょうか、私は普通に面白かったです。
ただ、こういう“伝統的な手法に拘らず”って、突き詰めると結局は
劇団☆新感線のいのうえ歌舞伎に近づいちゃう気がするんですよね。
逆に新感線に慣れ過ぎて、ゆったりしたペースに「長い・・」と思ったりも。
いっそ、新感線で観たいなあ、この作品(笑)。
あるいは、再演の演出をいのうえひでのえりさんがやるとか。
でも、そうなるとそれは“歌舞伎”なのか?“いのうえ歌舞伎”なのか?(笑)