もともとシェイクスピアは好物ですが、ジョン・ケアードが演出する
というのが気になって、チケットを取っていました。
「十二夜」はシェイクスピアの戯曲としても好きな方ですしね。

十二夜「十二夜」日生劇場 J列
12:00開演、15:10終演
原作:W.シェイクスピア  訳:松岡和子  演出:ジョン・ケアード
出演:音月桂、小西遼生、中嶋朋子、橋本さとし、青山達三、石川禅、壤晴彦、成河、西牟田恵、宮川浩、山口馬木也

【あらすじ】
双子の兄妹セバスチャンとヴァイオラ(音月桂・二役)の乗る船が遭難した。岸にたどり着いたものの、兄は溺死したと信じて絶望するヴァイオラは、護身のために兄の服に身を包みシザーリオと名乗り、オーシーノ公爵(小西遼生)に仕えることにする。そのオーシーノが恋をしているのは、父と兄の喪に服している伯爵家の若きオリヴィア(中嶋朋子)。彼を拒み続けるオリヴィアに想いを伝えてもらおうと、 オーシーノはシザーリオを使いにやる。主人であるオーシーノに恋心を抱くヴァイオラは切ない気持ちを抱えオリヴィアの元へ向かうが、オリヴィアはシザーリオを本当の男性だと信じて恋に落ちてしまう。一方で、ヴァイオラの双子の兄セバスチャンは奇跡的に生き延び、妹と同じ街に着き、そこで偶然にもオリヴィアと出会い……。そしてオリヴィアに密かに恋する執事マルヴォーリオ(橋本さとし)に仕掛けられた悪戯が、物語をさらなる狂騒へと駆り立ててゆく。 


でも、何といってもこのキャストの豪華さ!
そう言えば、西牟田さんや山口さんはお久しぶりでした。

でも、やっぱりミュージカルなのかストプレなのかよく分からない。
音月さん、小西さん、橋本さん、石川さん、成河さん、宮川さんなんて
バリバリに歌える方ですから、誰も歌を全く歌わないっていうのが
想像つかないというか。

感想は追記にて。



 
思った以上に、正統派な「十二夜」でした。
どこにもミュージカルとも音楽劇とも書かれていないのに、勝手に
「歌える人が多い=歌うに違いない」と思い込んでいたため
「いつ歌うんだ?」 と思って肩すかしを食らった感はありますが(笑)
これは私が悪いんです、誰も悪くありません。
でも、「十二夜」だったらミュージカルになりそうじゃないですか(笑)

でもそれだけ歌える人を台詞中心の舞台で使うって贅沢です。
ミュージカルのような壮大な作品を経験している方は古典作品に
向いているのかもしれないな、と思いました。


開演前から楽士たちが演奏を始め、オーシーノを演じる小西さんが
椅子に掛けて演奏を聴いてます。そしてそのまま客電が落ち、開演−。
なんか素敵な幕開きです。

ヴィオラ/ セバスチャンを演じたのは音月桂さん。
この方は「ブラック メリー ポピンズ」で一度拝見していますが、その時は
“心に傷を負った女の子”だったので、ヴィオラは想像がつくけど、
セバスチャンのイメージはあまりなかったのですが・・・ そこはもう
宝塚の男役トップスターさんだった方ですものね、心配したら失礼です(笑)。
すごく長身・・と言う訳ではなさそうですが、一人だと大きく見えるのは
やはり姿勢の良さと、舞台慣れしている賜物かもしれませんね。
可愛らしい、少し気の強いヴィオラと、凛々しい育ちの良い好青年の
セバスチャンを演じ分けていらっしゃいました。

そして、この作品の一番の要になるのは何といっても、道化のフェステ。
この作品では、成河さんが演じていらっしゃいました。
オリヴィアに気に入られるような愛嬌とウィットに富んだ会話ができる
だけ知性が感じられなければダメで、ただのお調子者では務まらない。
だから達者な役者さんでなければ・・と思う役どころですが、成河さんの
魅力が溢れてて、良かったです。ターを弾き、歌声も披露してくれました。
きっと、オリヴィアにもこうして音楽で楽しませたんだろうな、なんて
思えたりします。

橋本さとしさん。最初はオーシーノ侯爵かな?と思っていたのですが
なんとマルヴォーリオ役だったんですね。
さとしさんのコメディアンぶりは充分存じ上げておりますので(笑)
楽しませていただきましたよ♪
ただ、今まで何回か「十二夜」を観ていますが、今回が一番
マルヴォーリオが気の毒だったというか、可哀そうで仕方なくて。
確かにマルヴォーリオの仕打ちも酷かったのかもしれないけど、
「それはやりすぎじゃありません?」と抗議したいぐらいでした(笑)。
それがジョン・ケアードの演出によるものか、さとしさんの魅力から
くるものなのかは分かりませんけども。

そして、アントーニオ(山口馬木也)も気の毒すぎてね(笑)。
尽して、尽して、そして捨てられる・・と(爆)。
ある意味片思いだったので、仕方ないと言えば仕方ないですが。

小西さんの貴族感はハンパないし、何気にヴィオラの頭を
ポンポンしたりして、ヴィオラがきゅん♪となるのも分かるわー。
ただ、あんないオリヴィア、オリヴィア言ってたのに、すぐに
ヴィオラに結婚を申し込むとか、さすがシェイクスピア作品(笑)。

そして「十二夜」を観るときには「ラストシーンはどう演出するんだろう」
というのも楽しみの一つです。
ヴィオラとセバスチャンが出会ったり会話をするシーンですね。
誰も居ない所に「そこにヴィオラがいる体で」セリフを言った舞台もあったし
似た人を立たせた舞台もありました。

今回は、手法としては後者だったんですが、気づかなくてねぇ(笑)。
座席が後ろだった事もあるし、音月さんをよく存じ上げないのも原因で
“似た人”が先に出てきていたのに、全く分からなかったのです。
ヴィオラとセバスチャンは肩から掛けるたすきが赤と黒で見分けが
つくようになっていたのですが、ラストシーンだけは何故か
身に着けず、手に持って出てきたのに違和感を感じたのですが、
あれは二人が舞台上でたすきを受け渡しすることで、台詞のある方の
役を入れ替わって音月さんが演じていたのですね。
なるほどねー、面白いわ。

そして、カーテンコールでは全員で1曲歌ってくれました。
なんて贅沢な1曲なんでしょう♪
少しマイナーな感じの曲調が、耳に残りました。
うん、面白かったです。やっぱり好きですね、シェイクスピアとかの古典。