池袋で観た舞台のインパクトが強すぎて、気分が悪くなって
しまったりしたのですが(笑)、のんびり地下街を散歩したり
珈琲を飲んだりしてクールダウンしてから、再度歌舞伎座へ。

八月納涼歌舞伎「八月納涼歌舞伎」第三部 歌舞伎座 3階2列
一、通し狂言 盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)





 




私は今回この第三部が一番観たかったんです。
でも、チケットの売れ方でみると、三部が一番チケットが残っている様子。
そうかぁ、やっぱり私は歌舞伎を観るセンスが無いのね・・。





一、通し狂言 盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)
薩摩源五兵衛・・・幸四郎 芸者小万・・・七之助 家主くり廻しの弥助・・・中車 ごろつき五平・・・男女蔵 内びん虎蔵・・・廣太郎 芸者菊野・・・米吉 若党六七八右衛門・・・橋之助 お先の伊之助・・・吉之丞 里親おくろ・・・歌女之丞 了心・・・松之助
廻し男幸八・・・宗之助 富森助右衛門・・・錦吾 ごろつき勘九郎・・・片岡亀蔵 笹野屋三五郎・・・獅童
浪人の薩摩源五兵衛は、芸者の小万に入れ込んでいますが、小万には笹野屋三五郎という夫がいます。源五兵衛は元は塩冶家の侍でしたが、御用金紛失の咎で勘当の身。源五兵衛は名誉挽回し、亡君の仇討に加わるため伯父が用立てた100両を借り受けますが、三五郎の罠により騙し取られます。自分が騙されたことを知った源五兵衛は、その晩三五郎夫婦が泊まった家に忍び込みますが、三五郎と小万はなんとか逃げ延び、源五兵衛はその場に居合わせた五人を手にかけるのでした。
 三五郎は騙し取った100両を父の了心に渡します。実は三五郎夫婦が源五兵衛から金を巻き上げたのは、父の旧主の危急を救うためだったのです。やがて、源五兵衛が三五郎夫婦の前に再び姿を現すと…。


この作品を最初に観たのは、コクーン歌舞伎でした。
ドロドロした展開と、歌舞伎らしい「それ、あり得る?」と思うような
偶然の一致で話が進んでいくもので、決して明るい話ではないけど
私は結構好きなんですよねぇ。

今回は小万を七之助丈、源五兵衛が幸四郎丈。
まあ、素敵な組み合わせ♪と、楽しみにしておりました。

七之助さん、綺麗だわぁ。
小万は悪女なんでしょうけどね、生粋の悪女と言う感じというより
あまり深く考えられないだけというか、ダンナの力になりたい、
と言う思いが強いけど、「そんなことしたら悪いわ」とか、
「とてもそんな事言えないわ」と言う感覚もちゃんとある感じですね。

そして「おっ」と思ったのは三五郎を演じた獅童さんでしょうか。
第一部での純朴な青年とは雰囲気が全く違っていて、この人は
根性が悪そうだな、と思わせますね。
でもそれが有無を言わせない感じでもあって良かったな。
2人して逃げ出す様子なんて、ああ、似た者夫婦かもね、という
印象も受けましたし。
あと、橋之助さんの八右衛門も好きでした。

五人斬のシーンでは、布団が避けて飛び出る赤い紙吹雪を
血に見立てたり、透明のフィルムに血を描いて、血が流れている
様子を表現したり。
このシーンはコクーン歌舞伎のグロい感じのインパクトが強くて
どうしてもそっちに引っ張られてしまうのですけど、これぐらいの
感じが丁度いいです、私は。

それにしても、幸四郎さん、静かに怖いです・・(笑)。
小万の首と共に食事をするシーンでは、源五兵衛を演じる方の
個性が出る気がしますが、コクーンで観たときは哀しさと共に
少し病的というか、サイコパス的な印象があったのですが、
(殺しのシーンが強烈でしたしね)今回私は、どうにも切ない
印象を受けたのでした。

やっぱり私はこの演目、好きだなぁ。
細かい点は突っ込みどころ満載ではありますけど(笑)。
第一部も楽しみましたが、第三部も充実しており、満足の1日でした!