昔は1年に40〜50冊ぐらいは読んでいたものですが、「大人の目」
になってからは、すっかり読書ペースが落ちており、時に読書熱が
上がっても長続きしなかったのですけど、今年は今のところ、
いいペースで読書できております。(3月末で12冊)

火の粉「火の粉」幻冬舎
著者:雫井脩介
≪内容≫
元裁判官で、現在は大学教授を務める梶間勲の隣家に、かつて無罪判決を下した男・武内真伍が越してきた。愛嬌ある笑顔、気の利いた贈り物、老人介護の手伝い…武内は溢れんばかりの善意で梶間家の人々の心を掴んでいく。






この作家さんは初めて読むかなー。
持ち運びに便利な文庫本を買ったはずが、単行本を買っており
(ネット通販の怖いところ)、大きくてジャマなので、
さっさと読んでしまおう、と思い、積み本の中からチョイスしました。





この作品を読んでいて「何だか、読んだことがあるような・・・」と
何度も何度も思ったのですが、どうしても思い当たらず。
じゃあドラマとかで観たのか?と思って調べたところ「大人の土ドラ」
枠でドラマ化されていたようですが、私はドラマを観ないしなぁ。

何となく既読感が拭えなかったのですが、ラストまで読んで
「これ、読んだことない」と確信を持ちました(笑)。
何だったんだろう、あの既読感の正体は・・・。
私は思い入れを持って本を買う事が少ないので、同じ本を気づかず
3度買ってしまった事もある女ですから、自分が信用できない(爆)。

で、感想です。

怖いっていうか、恐ろしいっていうか、おっかない話です。
でもその一方で、ここまで常軌を逸した人じゃないものの、
やたら他人に親切な人っているし、勝手に親切にしておいて
自分の期待通りの反応が返ってこずに怒る・・っていうのも
「あり得る」って思う事象ですよね。
あと、自分がその場に立たされたとしても、これは防げないわ・・
というのも、怖さにつながっているのかもしれない。
なかなか最後まで勢いが衰えない作品だったな、と思います。
最期の展開はなかなか怒涛でしたし。

ただ言えるのは、私だったら、事件が解決し家族の誤解が
解けたとしても、あんなダンナの元には絶対に戻らない。
自分の事を全く信じようとしなかった、底浅い男だって
分っちゃったから、慰謝料をしっかり貰って、自立する方向で
考えると思うなぁ。まあ、専業主婦をしていて、小さな子供がいて
あまり仕事をしていなかったようなので、諸条件が私とは違うし
現実的には難しいのかも・・とは思いますが、どうもこの点だけが
最後までスッキリしなかった私です。