相変わらず、私としてはいいペースで本を読んでおります。
今年は4月半ばの段階で、観た映画・舞台・読んだ本の数が
どれもほぼ同じぐらい、という奇跡のバンランスです(笑)。

名前探しの放課後
「名前探しの放課後(上)(下)」
著:辻村深月
【内容紹介】
依田いつかが最初に感じた違和感は撤去されたはずの看板だった。
「俺、もしかして過去に戻された?」動揺する中で浮かぶ1つの記憶。
いつかは高校のクラスメートの坂崎あすなに相談を持ちかける。
「今から俺たちの同級生が自殺する。でもそれが誰なのか思い出せないんだ」
2人はその「誰か」を探し始める。 (講談社文庫)
 


先に読んだ同著者の「ぼくのメジャースプーン」が気に入って
WEBでのレビューをみていたところ、どうやらこの作品は
「ぼくのメジャースプーン」と関連がある作品らしい・・
という事が分かったので、読んでみる事にしたのでした。




特別に辻村深月さんが好き、という訳ではないと思います。
「朝が来た」は私的にはイマイチだったりもしましたし。
ただ、これは面白かった。

そもそも「過去からタイムスリップしてきた」と言う設定が
「うわぁ、ちょっと苦手かも」と思ったりもしたのですけど
そのSF的な所を追及する作品ではなかったので、そこまで
抵抗感は無かったですね。

ただ、ある日突然同級生から「3か月後から来た」って言われて、
そんなにすんなり受け入れるかよ!という違和感は
最後まで拭えませんでしたけど。
ていうか、「俺、3か月前から来たんだ」ってすぐに
受け入れられるものですか?とも思いますし。
何となく「ソロモンの偽証」に似たところもあります。
学生が協力して真相究明しようとするところ、高校生とは
思えない程の冷静さや、頭のキレっぷりを披露する登場人物たち。

でも、下巻の8割ぐらいを読んだところで「あれ?」と思い始めるんです。
まだこれだけページ数が残っているのに、解決しちゃった・・?って。
そこからは「おおっ」と言う展開ですよ。
今まで「何故いつかがバイクの免許を取ろうとしたのか」とか
細かな伏線が回収されていくんですよね。

一通り「はぁ、面白かったな」と思って残りの数ページを
読み終えようとしているところで「ああっ!」と気づきます。
椿の下の名前が初めて明かされるんですよね。
椿は「ピアノを習っていた」「挫折しそうだった」って・・・。
友春ってトモって呼べるよね、友春と椿は同じ場所に居る
場面が無かったぞ、そう言えば。

ここに関しては「僕のメジャースプーン」を読んだ人しか分からない
所であり、そもそもこの本が「ぼくのメジャースプーン」の後日譚の
要素のある作品なので、この「名前探しの放課後」しか
読んでいない人には、分からないのがねぇ・・とは思いますが
私にとっては、何だかとてもビックリして「そうきたか」と
気持ちよく驚かされて読み終えた作品でした。

辻村さんの本は他にもいろいろ登場人物がリンクしているらしい
のですが、これ以上追いかけるのはどうしようかな・・と
ただ今、悩み中でございます。
(子供が主役の本が続いて少し飽きてきた、という事もある。)