12月30日になっても、まだ普通に朝イチでジムに行ったり、
NTLiveを観に行ったり、年末感がまるでございません(笑)。

ジュリアスシーザーNTLive「ジュリアス・シーザー」
作: ウィリアム・シェイクスピア
演出: ニコラス・ハイトナー
出演:ベン・ウィショー、ミシェル・フェアリー、デヴィッド・モリッシー、 デヴィッド・カルダー







街中でアンコール上映してくれるのは嬉しいんだけど、
こんなに詰めて観なきゃいけないというのも、何だか追われている
ようで、落ち着きませぬ。
今回はもうお休みに入っているという事もあってか、お客さんは
15名弱ぐらい。まあ・・入ってる方じゃない(笑)?





「ジュリアス・シーザー」自体は観た事があるんですが、まるで
初めて観たかのような気になる程でしたね。

まず、上映が始まるとすぐにライブの映像。ええ、音楽のライブです。
舞台上で缶ビールを飲みながら歌うボーカルにギター、ベース、ドラム。
劇場内ではビールやコーラが売られ、プラカップに入ったビールを飲み
ながらライブを観ています。
(ちなみにビールは今のレートだと日本円で400円強ぐらいかな、
日本よりも少し安いかな〜なんて思ったり。)
一瞬「私は何を観に来たんだけっけ?」と思っちゃうんですが、きっと
それは私だけではあるまい(笑)。
でも、観てみるとジュリアスシーザーの写真のプラカードだったり
名前のプラカードを持つ人が居たりするので、ああ、これも演出なのか、
きっと最初の凱旋のシーンに繋がるんだろうな、と思いました。
(の割にはライブが長かったんだけどね(笑))

1階席はそういう意味ではお客さんがオールスタンディング。
作品の中のローマ市民役を演じると言う体になります。
私も、観客が群衆役を演じる・・と言う作品を観た事がありますが
(「FOUR」が一番印象が強いかな)さすがに座ってましたからね、
椅子は無かったけど(笑)。
この作品は立ちっぱなしなだけでなくて、場所移動も要求されますから〜。

しかし、この最初のライブから芝居に移行する流れがお見事です。
そして、こういう雰囲気どこかで観た事があるんだけど・・・と
少し考えて「あ、アメリカの大統領選挙だ」と思い至りました。

同じ作品を観た事があるとはいえ、殆どその時のことを思い出さない
と言うほど、受ける印象が違ったのは、キャシアスとキャスカが
女性が演じていた、という事もあるのでしょうが、全体にポピュリズムを
ターゲットにして描かれている、というか、ポピュリズムに対する強烈な
皮肉を感じたからかなぁ。
本当に市民の事を考えていたのは誰なのか?って言う事を自分で考えず
扇動され、その扇動を信じ込み大きなうねりを作ってしまう群衆の愚かさ。
もしかしたら、この作品が・・という事ではなくて、私が今の世情と
重ね合わせて観てしまっているから、そう感じるだけなのかもしれませんが。

最後のアントニーの「ブルータスだけは正義の精神によるものだったから
丁重に葬るように」というセリフの「お前が言うか!」感MAXだったな(笑)。
勿論その流れに至るまでのブルータスの演説も、それをひっくり返す
アントニーの演説も見事だったからこそ、なんですけどね。

私はブルータスって、ゴリゴリの軍人のイメージだったんですけど
ベン・ウィショーが演じるこのブルータスは、文人って言う感じですね。
でも、そのおかげでなんか納得感がありましたけど。なかなか死ねないとかね。

お客さんの中に俳優さんが紛れ込んでいて、俳優さんが群衆として
演じている訳ですが、他の観客も一緒に声を上げる時もあったし
その「慣れていない」感が、より声の大きなものに流されていく・・
という印象付けに、一役買っていたんではないでしょうか。
しかし、私だったらどこで観たいかなぁ。
でもやっぱり、1階でローマ市民として観てみたいかも(笑)。
また、場面転換なども非常に工夫されているし、シームレスな演出も
お見事でした。