映画館でめっちゃ予告を観たこの作品。それでもあまり興味はなく
スルーするつもりだったんですよね。
カンヌでパルムドールを受賞しても、やはり大して興味はなくて。
でも、この週は職場で肉体的にも精神的にも疲れたので、映画でも観て
気分転換をしてお休みに入りたいと思い調べてみたら、一番時間的に
タイミングが良かったのがこの作品だった・・と。

パラサイト「パラサイト 半地下の家族」
監督:ポン・ジュノ
出演:ソン・ガンホ、イ・ソンギュン、チョ・ヨジョン、チェ・ウシク
【あらすじ】
キム一家は家族全員が失業中で、その日暮らしの貧しい生活を送っていた。そんなある日、長男ギウがIT企業のCEOであるパク氏の豪邸へ家庭教師の面接を受けに行くことに。そして妹ギジョンも、兄に続いて豪邸に足を踏み入れる。正反対の2つの家族の出会いは、想像を超える悲喜劇へと猛スピードで加速していく……。≪韓国制作≫



さすがにカンヌで受賞したり、ゴールデングローブ賞で外国語映画賞を
受賞して話題になっていただけあり、金曜日の20時30分開映の割には
ミリオン座がめっちゃ混んでまして、20時15分頃はチケット売り場は
「今日は土曜日でしょうか?」と言うほどでした。
わー、これは平日に来ておいて良かったわ。
あと、どうせ観るなら、Twitterとかでネタバレを目にする前に観終えて
おきたいわ、というのもありましたし。

今日の段階でだいたい670本ぐらい映画を観ているんですが、私の記憶が
正しければ、これが初めての韓国映画なんじゃないかな、と思います。





なるほどねぇ。
カンヌで賞を取りそうな作品だな、という感じがします。
コミカルでもあり、スリリングでもあり、シニカルでもあるし、ちょっと
ホラー的な怖さもある、割と「全部乗せ」的な作品でした。

そういう「全部乗せ」にしても、上手く一つの作品にまとまっている、
というのが上手いなぁ、と思いましたけど、私個人としてはこの作品が
「臭い」に注目して、その「臭い」をキーに、差別と言うか格差を描いている
というのが、ポイントなのかな、と。
他人に言われて初めて気付く、自分に染みついた匂い。
映画だから匂ってこないんだけど、こんな匂いかな?なんて想像したりして。
自分が当たり前で気にもしていなかった事なのに、他人からはそれで
知らぬ間に格付けされている。染みついているのは匂いだけなのか?とか。

キム一家は、メチャクチャなんだけど、実はそれぞれにちゃんと「技」を
持っているんですよね。ギウは英語が教えられる、姉には美術の知識があり、
パソコンでの画像処理はプロ級で、父親は実は車の運転が上手いし、
母親も料理の手際がめっちゃいい。(ジャージャーラーメンだっけ?
あれ美味しそうだった)
なのに、全員失業している・・というのが、実際の今の韓国の失業率の高さを
皮肉ったものかもしれませんね。(若者の失業率は10%にも及ぶらしい)
かといって、正攻法な努力はしていない様子。恐らく、もうそんなステージは
超えてしまって、個人の努力でどうにかなる状態ではない、という事
なんでしょうかね、観ている方も無力感に苛まれそう(笑)。
あとは、よく言われる「格差社会」も露骨でした。
まあ、この失業率や格差の問題は韓国だけの話でもないですから、やはり
そこで共感を呼ぶのかもしれません。
(でもギウの最終的な目的というか解決方法は「大金持ちになって
あの家を買い取る」というのが、なんか空しいと思うのは私だけですかね)

映画としてはとても充実していた作品だったと思います。
ただ、残念ながら私の好みではなかったです。