「其の女」を観ようと思った時に見つけた公演です。
結局、「其の女」はチケットを取ったものの公演中止になってしまい・・。
そんな時に、こちらは配信があると知って、観てみるか!と思いました。

シェア「シェア」中野ザ・ポケット(7/20夜公演)
脚本:松本哲也   演出:寺十吾
出演:浜谷康幸、松本紀保、瓜生和成、安藤瞳、関口アナン、葉山昴、祁答院雄貴、北原帆夏、依田啓嗣
【あらすじ】
そこはどこだ。東京の外れか。ほとんど千葉か埼玉か。よく分からない。どこでもいい。とにかく古びた一軒家。草臥れた大人たちが共同生活をしている。行き場のない者たち。つまらない毎日。危うい関係。いつまで続くか雲隠れ。これは、2019年12月から2020年2月までの物語。



松本紀保さんや安藤瞳さんが出演されているという所に
興味を持ったんですよね。




かなり雑然とした家、「シェアハウス」の“じゅんちゃんハウス”が舞台。
家の持ち主のナカネジュンとその幼馴染の男性と女性、カップルが
住んでいるが、ここに、“留学費用を貯めたい”と若い女性が内見に
やってくるところから始まります。
とてもこの家を選んで住みたいと思わないような、今風の若い女子で
違和感ありまくり。(彼女にもここを選んだ目的があったんだけどね)

どうもここの住人はなんか「欠けている」人ばかりなんだな。
その欠けている所の凸凹が何だかピタッとハマって、絶妙な
バランス感覚で生活していたんだろうな・・と思われるところに
新しい住人が入ったり、突然の居候が出てきて、そのバランスが崩れていく。
厳密には「崩れていく」というよりは、色々なことが露見してく・・
っていう方が近いよね。
「やったらだめだ、血が出る」って分かっているので、気になるけど
触らないようにしていた“かさぶた”を、結局は引っ掻いちゃって
血が出ちゃったよ・・っていう、そんな感じ。

凄くいい加減そうに見えたシェアハウスのオーナーのナカネだけど、
実は彼がある意味一番ノーマルだったのかもしれないな、と
今となっては思います。
でも、ナカネのお兄ちゃんの話は彼のトラウマっぽいのだけど、
微妙に明確にならないままで、全体的に謎が多い印象でした。

登場人物の誰にも共感が出来ないんだけど、嫌悪感と言うよりは見ていて
痛々しいとしか言いようがない作品だったな。
最後にはそれぞれが新しい旅立ちを迎え、明るい未来を描くのかと
思いきや、そうでもなくて。苦いものを噛んでしまって、その苦みが
残ったまま終わった・・と言う感じ。
アミが今まで信頼していた男の子に急に関係を迫られてしまったり
昔起きた子供への犯罪行為の犯人が分かったり、若いモモカがこの
シェアハウスにやってきた本当の理由とか、苦かったわあ。。。

2020年春に「日本と北京を行ったり来たりしていて」いる人が
体調悪く、呼吸が苦しそう。エナジードリンクを飲んでもどうやら
味覚異常がありそうで、コロナウイルスに感染をしているっぽいとかも
どよ〜んとしたままのお話でした。
カーテンコールでは皆がマスク姿で登場し、コロナウイルスを
想像させて終幕です。今後、コロナウイルスや感染拡大を扱った舞台が
続々と出来てくるんだろうなあ・・・。

演劇作品としては面白い作品でなのだけど、勧善懲悪でもなければ
分かりやすいオチがある・・と言う感じでもない。
配信で観ると、良さが伝わりにくいタイプの作品だな、とは思いました。
でも生で観ると、こういう作品が面白かったりするんだよね〜。
それにしても、松本紀保さんのガラッパチぶりにびっくりしたし、
安藤瞳さんは相変わらず儚げで、声が素敵だな・・と思いました。

たとえコロナウイルスが無くても、なかなかこの作品の為だけに上京
するのは難しかったと思うので、配信であっても興味のある作品に
触れることができたのは、ラッキーだったと思います!
いつか、NANAプロデュースの作品、ちゃんと観に行きたいですね。