もともとの公開がコロナウイルスの影響で10月に。
観たい1本だけど、10月は忙しいので仕事帰りにジムに行った後
ミリオン座へ向かいました。

フェアウェル「フェアウェル」
監督:ルル・ワン
出演:オークワフィナ、ツィ・マー、ダイアナ・リン
【あらすじ】
ニューヨークに暮らすビリーは、中国にいる祖母が末期がんで余命数週間と知らされる。この事態に、アメリカや日本など世界各国で暮らしていた家族が帰郷し、親戚一同が久しぶりに顔をそろえる。アメリカ育ちのビリーは、大好きなおばあちゃんが残り少ない人生を後悔なく過ごせるよう、病状を本人に打ち明けるべきだと主張するが、中国に住む大叔母がビリーの意見に反対する。中国では助からない病は本人に告げないという伝統があり、ほかの親戚も大叔母に賛同。ビリーと意見が分かれてしまうが……。



平日のレイトショーなので、満席ではないものの、
そこそこ入っていましたね。
ミリオン座は比較的、一人で観に来る人が多い(特に平日)ですが
この回に関しては、二人連れも目立っていた気がします。
 


いろんな意味で面白いなぁ、と思った1本でした。

まずは今の中国ね。本当に発展してきているよねぇ・・というのは
当然ですけど、中国ならではの風習かな。
中国での「披露宴」の位置づけや、豪華でにぎやかな披露宴。
そして何より、癌になった患者に対して告知するか否か。
今でこそ日本も、本人に告知するという事がスタンダードになって
来ていると思いますが、私が幼いころはまだまだ違っていて
胃がんの事を「胃潰瘍」と伝える・・というドラマをよく見ました(笑)。
何故告知しないか、という考え方の基本も当時の日本と同じかな
と思うと、これはアジア圏独特なのかもしれないな・・と。

後は、アメリカに移住したビリー一家。
その母親と親族との会話が、今の中国を的確に表しているような
そんな感じがしますね。
「今はも中国の方が仕事が多いから、アメリカら帰ってきたら?」
という中国在住の親族。
「だったらなぜ、あなたは息子をアメリカに留学させるの?」と問う
ビリーの母親。
発展してきた中国に対する自負はありつつ、一種のステイタスとして
アメリカ留学を捉えているって、これも一時の日本に似てる(笑)。

でもビリー一家はビリー一家で「中国人」なのか「アメリカ人」
なのか、微妙な立ち位置で、それが「パスポートはアメリカ」って
表現にもつながるんだとおもうけど、自分自身のアイデンティティに
悩んでいる様子が、良く伝わってきます。
アメリカに戻る時のその道程の映像はね、何だかちょっと既視感。
私がアメリカに短期留学をしていて、そこから日本に帰国する時に
車から観た景色を思い出しました。

しかし、あのエンドロールのオチはちょっと笑っちゃったけど、でも
そのおかげでハッピーエンドな作品になっていましたね。
単なる感動ものでもなく、考えさせられるところもありました。
ちょっと無理してでも観に行ってよかったです。