渋谷に向かうはずが、なぜか池袋に着いてしまい慌てて軌道修正(笑)。
余裕をもって移動していたからいいようなものの、それでもギリギリ。
気をつけなくちゃね。

迷子の時間「『迷子の時間』−「語る室」2020−」
PARCO劇場 F列(5列目) 19:00開演 21:00終演
作・演出:前川知大
出演:亀梨和也、貫地谷しほり、浅利陽介、松岡広大、古屋隆太、生越千晴、忍成修吾

【あらすじ】
田舎町、ある秋の日の夕方。人気のない山道で、一人の園児と幼稚園送迎バスの運転手が姿を消した。バスはエンジンがかかったままで、争った跡はなかった。手掛かりはほとんどなく、五年経った今も二人の行方は分からないままだ。消えた子供の母、その弟で最初に現場に駆けつけた警察官、消えたバス運転手の兄。それぞれが思いを抱えながら向かえた五年目のある日、三人が出会った人たち……奇跡を信じて嘘をつき続ける霊媒師、帰ることのできない未来人、父の死を知り実家を目指すヒッチハイカー、遺品から亡き父の秘密に迫ろうとする娘。彼らを通じて、奇妙な事件の全貌が見えてくる。



この作品は2015年の「語る室」で観ています。
あれも厳密には劇団公演ではなかったんですが、劇団員が
結構出ていましたので、割とイキウメ感はあったと思う。
ただ今回はキャストもあまり私的には萌えないし、作品も格別好き!
と言うほどではないので、少し考えてしまったのですが
春先のイキウメ公演が中止になってしまった(厳密には来年に延期)
ため、やっぱり観に行っておこう!と思い、劇場に足を運びました。

でも客席がすごく若いお嬢さんだらけ!で驚いちゃった(笑)。
そりゃそうだよね、亀梨君って人気ありそうだもんね。
久しぶりに、全席埋まった満席状態の劇場だったと思います。
亀梨君狙いの若い子ばかりが客席に居るとはいえ、別にマナーが
悪い訳でもないので、構わないんですけどね(笑)。
(10月にACTで観た某ミュージカルの観客の方が圧倒的にお客の
観劇マナーというか、感染防止に対する意識が残念だった)





今回、初演を観ているにも関わらず敢えて観に行った理由の一つが
前川さん作品の再演だという事。
前川さんの場合、再演する時には結末が変わっていたり、内容がより
練られていたり・・と、グレードアップすることが多いと言う印象です。
実際にどちらが面白いかは別として、やはり最初に観た作品の印象が
強く残っていて、それが面白かったから再演に来ているわけで、どうしても
初演の印象に引きずられがちで、それを超えられない事も多いなか
前川さんの再演なら、どう変えてくるだろう、と言う楽しみがあるというか。

結論から言うと、思ったより初演と変わってなかったと思います。
PARCOらしいというか、分かりやすくなっていたかなーとは思いますが。
(これは私が2度目だから思う事かもしれませんが)
なので、主に役者さんについての感想など。

観客の大多数がお目当てにしていたであろう、警官役が亀梨君。
別に何の文句もないし、すごく頑張っていらっしゃった、って言う感じ。
こんなカッコイイ警官が田舎の派出所には居ないでしょ、とは思うけど(笑)。
私はこの方の映像作品を観たことが無いので、なんとも言えませんが
まあ、想像通り・・・でした。
貫地谷さんの演じるお姉さんとの空気感は、悪くないと思います。
ただ、亀梨君がちょっと何かすると「きゃー」とか「かわいい」とか
小さなさざ波のようなものが、客席に沸き起こるのが面白いというか
不思議と言うか(笑)。
「え?これの何が面白いですか?」という程、些細な仕草に対して
反応してましたから。みんな純粋でかわいいな〜なんて思ってました(笑)。
モノローグが多い作品だし、客席に語り掛けることも多い作品なので
前方席に座っていたファンの方は堪らなかった事でしょう。

子供を行方不明で失う母親役を貫地谷さん。
「お母さん」と言うイメージじゃないなぁ・・と思って観始めましたが
3歳ぐらいの子供のお母さんだったら、こんな感じかもね、と、
観て逆に納得しました。
子供が居なくなっておかしくなっていく感じが良かったですが、恐らく
あれは振り切った演技なので、誰がやってもそれなりに見えそうな感じ。
それよりも、自分の子どもと一緒に行方不明になった送迎バスの運転手の
兄を交えた食事会、頭では「行った方がいい」と思うけど「体が動かない」。
そんな中、やっとの思いで参加する・・と言う所が、一番印象に残りました。
欲を言えば、成長した大輔と同じ車に乗り合わせた時に、もっと母性
のようなものが感じられると、じ〜んときた気がします。

送迎バスのドライバーの息子が松岡広大さん、かな?
うーん、この人、新感線で観ているみたいなんだけど、全く記憶にない。
演技自体は全然いいんだけど、突然前後開脚をしてみたり、アクロバット
やったりする意味がよく分からなくて、ちょっと引いた。
なんか前川さんらしくない感じがする。

送迎バスのドライバーの兄が忍成修吾さん。
テレビではよく拝見する気がしますが、舞台では初見かな?
どうしても悪役というか、腹に一物を抱えたようなクセのある役を
演じることが多い方、と印象が強かったのですが、とても良かったです。 
何だか、寂しさを背負った役がお似合いでした。

霊媒師役が古屋隆太さん。
ある意味この舞台のキーになる役であり、お笑いパート担当、
みたいなポジション。
全く問題はないし、この方の演技はまだまだ他の作品でも
拝見したいと思いましたが、ここは初演の印象が強すぎてね・・(笑)。
それと比べると、物足りないというか、ちょっと霊媒師としては
ノーブルな感じがする人だったかな、と思います。
この事象の真理というか仕組みを唯一理解している人で、ある意味
知的であり、胡散臭くもあり・・というふり幅が印象的な役だと
思うのですが、知的な人が胡散臭く装っている・・と言う感じでした(笑)。

浅利さんがタイムトリップしちゃった、幼稚園児のその後の姿。
妹との微妙な関係というか、空気感はさすが!っていう感じがしました。


今回は、良くも悪くも、クセのない座組だったと思います。
それが「観やすい」反面「インパクトが無かった」とも言えるというか。
PARCO劇場と言う場所を考えると、こんなもんかなぁーとも思いますが。
でも、ストンと腹落ちできたような気がします。
割と丁寧というか、補足されていたような気がしますから。
照明で虹(のようなもの)が再現されていて、あれは綺麗だったなぁ。。
と思ってスタッフを確認したら、照明は原田保さんでした。
役者さんが場面転換を手伝ったりして転換をスムーズに見せる辺りは、
前川さんらしかったな、と思います。

ああ、早く前川さんの新作が観たい!
劇団員の舞台が観たいです!


↓ 作品としての感想はあまり変わらないので、こちらにて。