オフィスコットーネの作品は出来れば観に行きたかったのですが
上演期間は短いし、予定の詰まった10月はもう、余裕がありませんでした。
という事で、11月に入って配信が始まりましたので、配信チケットGET。

ブカブカジョーシ ブカジョーシ
オフィスコットーネトライアル公演「ブカブカジョーシ ブカジョーシ」
作:大竹野正典   演出:佃 典彦
出演:高田恵篤、野坂弘

【あらすじ】 
中間管理職として働く「モモチ コウゾウ」は、ノイローゼを患い1年間休職した部下「アメミヤ」との関係に悩んでいた。そんななか、会社からモモチに理不尽な命令が次々と下される。会社の圧力に耐えながら働くモモチにアメミヤは…。



「ブカブカジョー ブカジョー」だと思っていたら、
「ブカブカ(部下)ジョー(上司)ブカジョー(部下上司)」
だったんですね、なるほど。
これも大竹野さんの作品という事で。




大竹野さんの作品だから、実際にそんな事件があったんだろうな・・と
軽く調べたところ、やっぱりありました。「上司バット撲殺事件」が。
もちろんこの事件がベースになった作品です。

この事件が起きたのは、1973年。
私ですらまだ未就学児の頃。
世の中はギリギリまだ高度経済成長期に含まれる頃です。
きっと世の中が凄い経済成長してきていて、「モーレツ社員」なんて言葉も
普通に使われていた頃でしょうね。
私はまだ何となくイメージできる所もありましたが、私よりも若い世代の
子たちは、この舞台で描かれる「不条理」がフィクションぽく見えたんじゃ
ないかな、なんて思ったりします。

舞台は温厚な課長の元に、メンタルヘルス不全で休職していた社員が
復職してくるのだけど、この二人が上手くいかずに殺人事件に至る・・
と言う点が軸になっています。

でも、それだけじゃなくて。
会社の経営陣が無茶苦茶な要求をしてきたり(靴を舐めろとかね)
会社の損失をお前の残業代で埋めろ、とか、今だったら100%パワハラで
アウト認定のような事も「会社員である以上逆らえない」という状況で
でも、その事に納得は出来なくて・・で悶々とするような、組織での
不条理や生きづらさのようなものも、一杯描かれています。
経営陣はいつも3人セットで出てくることが多く、また訳の分からない
ダジャレで笑いを要求してきたりして、息が詰まる様子が次々と。
程度の差こそあれ、昔はこういう雰囲気、あったよなぁ・・と思います。

イガラシは基本的にはメンタルヘルス不全なので(現実では統合失調症
の認定がされたらしい)直接的には彼の不調が悪化し、犯行に至った
のが原因だと思うけど、病状を悪化させたのはそういった閉塞感でも
あるでしょうね、新鮮な空気を一杯に吸う事ができない程、彼なりに
追い詰められていたという事で。
そして同じく追い詰められていたのは、上司も同じ、って事だよね。
自分も休職していたから気持ちがわかるよ、とイガラシを受け入れて、
これ以上の出世は望めないけど、将来は妻と一緒に旅行がしたい・・と
語っていた、小心者だけど温厚で善人の課長、と言う感じも良く出ていました。

本来は8人の舞台なのだそうですが、「紙で作ったお面」を利用する事で
2人芝居になっていました。
演出の佃さんって、「半沢直樹」で有名になった方ですよね?
名古屋の劇団であっても、拝見した事は無いので普段どういう作品を
作っていらっしゃるか分かりませんが、面白い演出でした。

うーん。面白かったけど、なかなかこれ1本の為の上京は難しいよね
と思っていたところだったので、映像配信有難かったです。
(生配信ではなかったけど、1800円と安かったし)
次の作品こそ生の舞台で観たいものです。2月かあ・・・。