今週は日曜日:刈谷、火曜日:刈谷、金曜日:東海市・・と、
たった1週間で、同じような場所での公演が続いてます。
何なん、この集中っぷりは・・・。

チョコレートドーナツ
「チョコレートドーナツ」東海市芸術劇場・大ホール3列(2列目)
開演:18:00  終演:20:20
脚本:谷賢一    演出:宮本亞門
出演 東山紀之、谷原章介、堀部圭亮、八十田勇一、妃海風、まりゑ、大西多摩恵、下総源太朗、エミ・エレオノーラ、矢野デイビット、丹下開登、穴沢裕介、佐々木崇、高木勇次朗、シュート・チェン、米澤拓真、モロ師岡、高畑淳子
【あらすじ】
シンガーを夢見ながらもショーパブのダンサーとして生活の糧を得るルディ。正義を求めながらも、ゲイであることを隠して生きる地方検事のポール。母の愛情を受けずに育ったダウン症のある少年マルコ。街の片隅で3人は出会った。マルコの母親が逮捕され、一人きりになったマルコを“いとこ”同士と偽り共に暮らし始める。まるで本当の両親のように、二人はマルコを大切に育てた。ある日、ポールの上司に誘われたハロウィンパーティで、ポールとルディがゲイのカップルであることが周囲に知られてしまう。二人の関係を偽ったことが原因で、マルコは家庭局に連れて行かれ、ポールは解雇。差別と偏見で奪われたマルコを取り戻すために裁判に挑むことを決心するが・・・


本日ノマルコ


この日は夕方からすごい雪になってきたので、万が一電車が
遅れたりしたらたまんないぞ・・と、予定を早めて16時半頃に
職場離脱して劇場へ。(ま、仕事もヒマですし・・・)

この作品は映画で観ています。


この演出家さんの作品はもう観ないかもな・・と思っていたけど
脚本が谷さんだったので。

 



幕が開くとポール(谷原章介)が立っていて、語り掛けます。
新聞に小さな記事が載っていた事、そしてその切り抜きを送ったこと。
その送られた人の名前を呼ぶと、順々にその人たちにスポットが
当たっていきます。

・・・あー、ラストシーンから始める演出なんですね。

この作品、映画でも観ているのでストーリーを追った感想は止めますが
概ね原作の映画のストーリーを追っていたと思います。
とはいえ、小さな違いは何か所かはありましたけど。
ただそういった相違点よりも、作品全体の雰囲気というか、捉え方が
結構違うなぁ・・と言う感じがします。

こういう感想は私が映画を観ているから感じる事かもしれないですが、
この作品ではルディ(東山紀之)が良くも悪くも感情的で、感情に
流されて問題の本質(マルコと生活する事)をよく見失い
事態を悪化させる側に居ることが多く(なので観ててイラっとする)、
ポールは冷静で、ルディを諫める側・・という関係性に描かれている
ように感じたんですよね。
映画では全くそういう印象を受けなかったので(むしろポールの方が
利己的に描かれていたかもしれない)そこはちょっと違和感かなぁ・・。

映画ではポールの上司宅でのパーティーにルディは招かれたのであって
押しかけたりはしていないし、ゲイカップルと匂わせるような事もしていない。
またマルコが施設を抜け出したのは、ルディと約束したせい・・
という表現があったけど、映画版では母親とその恋人がイチャつくのに
ジャマだったので「出ていけ」と追い出されたのがきっかけであって、
ルディは関係ない。
そういう面では、やっぱり映画版での描き方の方がしっくりくるんです。
逆にその感情的な部分がマルコに対する愛情の裏返し、ともいえるかも
しれませんが、ちょっと子供っぽく見えてしまって。
あと、ポールの上司(モロ師岡)がやたらモニカとくっつけようとする
あの日本的なお見合いババア的なエピソードは、異質感あるので
要らんと思う・・・。

ルディの役を演じるとしたら、やはりヒガシがしっくり来るなぁ・・と
思ってました。歌が歌えるっていうのもこの役を演じるにあたって
ポイントが高い。(チケ代高いなぁと思ったら、生演奏が入ってましたね)
足も綺麗にしてあって、50代半ばと思えないぜい肉のないお腹でした。
細くて綺麗な足だったけど、やっぱり筋肉の付き方は女性のそれとは
違うんだなぁ・・と、妙な事に感心したりもして(笑)。
ただ、これも申し訳ないが、映画版を演じたアラン・カミングが良すぎた。
彼のはにかむような笑顔や、微笑みや話し方・・どれもルディにぴったり。
ヒガシが悪い訳じゃないんですが、どうしても「ゲイを演じてる」風な
話し方が気になってしまうので・・・。でもラストの歌唱シーンは
とても良かったです。
まあ、こういう感想になっちゃうだろうな、というのは想像してました
すみません。

一方でポール役を演じた谷原さんは、違和感無かったなぁ。
もともと映画版でも強い個性がある俳優さんが演じていたわけではない
という事もありますが、この作品のポールとしては過不足ない感じ。
いつも思いますが、谷原さんは声が素敵だわ・・・。
そして、ヒガシがいつも5センチぐらいのヒールがある靴を履いているのに
それでもまだ随分身長差があって、長身ねぇ・・と思いました。
カーテンコール時のマルコ役の子役の子に「ありがとうございました、って。
(言ってね)」って小声で伝えていたり、子役の子がずっと谷原さんの事を
見ていたりしていて、パパの一面を見せてもらったような気がします。

あと印象に残ったのは、判事役の高畑淳子さんですかね。
くだらない質問が続いている法廷で「これは何の為の審理ですか、マルコの
ためじゃないんですか!」と熱く語るポールを見ているときの高畑さんの
表情がめっちゃよくて、目が釘付けになりましたよ。
ただ別れ際の「また法廷で会いましょう」ってどういう意味やねん(笑)。
(映画版ではこのシーンはない)

でもこの作品で一番キュンとしたのは、カーテンコールの時の、マルコを
演じた男の子の幸せそうな表情かなぁ。
実際にライトも当たっていたけど、キラキラして見えたもんね。
また彼を見守るキャストの表情もとても良くて、ホッコリさせてもらいました。

この作品の舞台は1979年。
今はここまでセクシャルマイノリティーに対しての偏見は露骨じゃない
とは思いますが、生き辛さは間違いなく残っていると思います。
この作品の原題は「any day now(いつの日か) 」。
「いつの日か、偏見のない日がやってくるように」
「いつの日か、制度の網からこぼれてしまう不幸な子供が居なくなるように」
「いつの日か、周りに偽らず堂々と自分が自分で居られる日が来るように」
いろんな思いがこもっている作品だな、と思いました。
(「チョコレートドーナツ」よりこっちの方がいいのにな・・)

東京公演が予定通りに初日を迎えられないと聞いた時、緊急事態宣言が
発出されると聞いた時、どうなっちゃうんだろうな〜と思いましたが
無事に観劇出来てよかったです。