まあダッサい邦題だなあ・・と思いましたが、私自身がずいぶん前に
調香に興味があって、ちょっと習っていた事もあったりしたので
興味があった1本です。(ちょっと習っただけで自分には100%
センスが無い事がすぐに分かったので、それ以上追求する事は無かったです)

パリの調香師「パリの調香師 しあわせの香りを探して」
監督:グレゴリー・マーニュ
出演:エマニュエル・ドゥボス、グレゴリー・モンテル、セルジ・ロペス
【あらすじ】
世界中のトップメゾンの香水を手がけてきた天才調香師アンヌ。しかし4年前、仕事へのプレッシャーと忙しさから嗅覚障害になり、地位も名声も失ってしまう。嗅覚が戻った現在は、なじみのエージェントから紹介される地味な仕事だけを引き受け、パリの高級アパルトマンでひっそりと暮らしていた。そんな彼女に運転手として雇われたのは、離婚して娘の親権を奪われそうな上に仕事も失いかけていたギヨーム。彼はわがままなアンヌに振り回されながらも正面から向き合い、彼女の心を少しずつ開いていく。ギヨームと一緒に仕事をこなすうちに、新しい香水を作りたいと再起への思いを強くするアンヌだったが……。《フランス製作》


 
本当はもっと早く観に来たかったんですが、緊急事態宣言のせいで
レイトショーをやっていないので、仕事帰りには観られない。
(今までレイトショーで観ることが多かったので、非常にイタイ)
一応、こんな私でも土曜日は基本的に外出自粛DAYと決めているので、
土曜日に観に来る事は無いし、日曜日だって時間が合わなければ
観られないので、今は映画を観るハードルがとても高いのですが
今週の上映スケジュールはドンピシャだったのです、良かった・・。





具体的なメゾン名や商品名(Diorとか、J'adoreとか)が出てくるので
途中で「まさか、実話?」と思ったのですが、フィクションですよね。
メゾン側の協力は得ているようですが。

単純にフレグランスに興味があれば、面白いな〜と思う所もありますし
調香師なんていう、あまり取り上げられない職種の「お仕事映画」
という側面も興味深いですね。
私も「調香師」と言うと、香水を作る人・・のイメージが強かったけど
公害(臭害)の対策や、カバンの匂い消しとかの仕事もあるんだなぁ・・
とか、ニオイにはちゃんと科学的なバックグラウンドもあって、
感覚だけの世界ではないんだ・・とか、「なるほど」と思いました。

ストーリーとしてはそんなに緻密でもないですが(なぜ一度その存在の
話を聞いていただけで、臭覚障害に対応できる先生の連絡先など
運転手が知っているのさ?)、この手の映画でありがちな、主演の
2人が恋愛関係になって・・・という側面が無いのは、良かったな。
恋愛要素がキライという訳ではないですが、この作品でこれを入れたら
もっと薄っぺらいというか、下衆っぽくなっていた気がします。

自分の仕事にプライドと誇りを持って、それにすべてをかけてきたけど
ある意味コミュ障な妙齢の女性、アンヌ。
いい年して「Mademoiselle」と言わせるんて、ちょっとイタくないすか(笑)。
私は大学で先生から(フランス学科でした)相手が若いと思っても、
迷ったら「Madame」を使え、と教わった(Mademoiselleは「お嬢ちゃん」
というニュアンスになる事もあるので)んですけどね、違うのかな。
でもそのチグハグさが分かるような、不器用さが分かってくると、
アンヌがカワイイというか、ちょっと気の毒と言うか、守ってあげたい
と思うようになってくるんですよね。
臭覚障害は心因性なんじゃないかな・・。
しかし、そんなに臭覚が敏感だと、人混みとか行くのが辛そうだな・・。

運転手もいい加減で、その日暮らし・・みたいなところはあるけど
自分に自信が持てないだけで、最後の娘の学校での講義の様子を見ると
全く醸し出す雰囲気まで違っていて、お上手だなぁと思いますね。


コロナ禍でメイクもいい加減になり、フレグランスもインテリアと
化してしまっていたのですが、明日からは久しぶりにJoMaloneの
コロンをつけようかな、定番じゃない香りのコンバイニングでも
しちゃおうかな・・と思った1本でした。
お休みに観るには、程よい1本だったと思います。