この作品は映画化されたものを観た事があります。
あれが舞台になったら、どうなるのかな、と言う興味でやって来ました。
まあ、このチラシの写真も意味は分かりますが、何だか仮チラシみたい
ですねぇ。

キオスク「キオスク」名古屋市民会館 う列(2列目)
18:30開演、21:30終演
脚本ローベルト・ゼーターラー  演出:石丸さち子
出演:林翔太、橋本さとし、大空ゆうひ、上西星来、吉田メタル、堀文明、一路真輝、山路和弘
【あらすじ】
1937年、ナチスドイツが台頭するウィーンに、自然に恵まれた湖畔で母親と二人暮らしだった17歳のフランツがやって来る。母の経済的後ろ盾の男性が落雷事故で急死し、働きに出されたのだった。フランツはタバコ店の住み込み見習店員となり、母の知人である店主からさまざまな事を学ぶ。また、店の常連客である精神分析学者フロイト教授との出会いは、無垢なフランツの心にさまざまな影響をもたらし、教授は彼に人生を楽しみ恋をするよう忠告を与える。時代の激動にのみ込まれていくオーストリア・ウィーンの厳しい世情の中フランツは思いもかけなかった経験を重ねていく……。


この作品は2012年に書かれたベストセラー小説が原作とのこと。
割と最近に書かれた作品なんだな、と言うのが意外でした。
ナチスドイツ系のお話だったので、もっと以前からの作品だろうと
勝手に思い込んでいたので。

ちなみに映画では「キオスク」と言うタイトルではないんですよね。
「17歳のウィーン フロイト教授の人生レッスン」という邦題でした。

原題では「Der Trafikant」だそうですが、(Trafikantと言う単語
そのものはないみたい。ドイツ語は分からん)「Trafik」という
「(新聞・雑誌なども扱う)タバコ屋」を表す言葉から派生しているみたい。
欧州やロシアでは小さな売店を「キオスク」と言うとwikiが教えてくれました。




 


オープニングでいきなりキャスト全員が出て、歌い踊りだしました。
しかも、結構な明るいトーンで。
あれれ?そんな陽気なストーリーじゃなかったよね?・・とビックリですよ。
それにこれ、音楽劇だったの?

でも陽気なのはオープニングだけでした(笑)。
何故にそんなに陽気にしたのか分かりませんが(その後とのコントラストを
狙っているのかしらねぇ)。
演出の石丸さち子さんは初めて作品を拝見する演出家さんです。
来歴を確認すると、もともとNINAGAWAスタジオの俳優さんで、それから
蜷川さんの演出補をした後で独立された方だとか。
手がけた作品を拝見すると、ミュージカルが殆どなので、その関係なのかな
なんて想像したり。

映画が先とか舞台が先とかは分かりませんが、映画で観た内容と
限りなく同じ内容だったな、と思いました。
ちょっと映画は「フランツとフロイト教授」のやり取りにフォーカス気味で
舞台では、フロイト教授についてはあまり重きを置いていない(というか
全体をまんべんなく描くという感じ)という違いはあった気がしますが。

木でできた枠を「窓」に見立てた演出だったり、扉が開くように開閉する
キオスクの舞台セットだったり、舞台ならではの演出もあって、それは
なかなか面白な〜と思って拝見しました。

ただ、私は一度映画を観ているので内容は分かりますが、あのオープニングで
フランツが働きに出なければならなくなった経緯って伝わるのかなーとか
心配しちゃいました。「後ろ盾」を失うという事の意味とか。
普通、湖で泳いでいて、落雷で死ぬとか、あまり無くないですか(笑)?

私はフランツは湖に沈んで(潜って)一人でいるのが好きな、孤独と静寂を
好むような少年だと思っていたんですよね、そしてそれが作品全体の雰囲気を
決めていた、とも思っていたし(いつも曇っているような感じ)。
舞台では、林君の演じるフランツは「ちょっと人見知りだけど、前向きで元気な
うぶな少年」であり、舞台全体もちょっと明るい感じがする。
それが悪い訳ではないんですが、映画版の方が好みだったかなぁ。
出身地の湖が静かに水を湛えている・・と言う雰囲気が合っていると思ったので。

あと、キオスクの主人が逮捕されるに至る原因も、ちょっと唐突感がね・・。
それに至るまで、ナチスが徐々に生活に浸透してきて、今までの生活が
送れなくなってきたり、懇意にしているフロイト教授が(ユダヤ人なので)
日に日に迫害されてく様とかがあまり描かれていないので・・・。
もともと、フランツの成長譚としての要素と、ナチスドイツの台頭、
フランツと教授との交流に、フロイト教授の国外亡命、初恋と失恋、
自分の母親との関係・・・と、色々な要素が詰め込まれた作品なので、
映画でもちょっと散漫な印象を受ける作品だったのですが、舞台だと
もっとその傾向が強かった感じがする。
ま、あくまで私の好みなので悪しからず。

久しぶりのメタルさんと、橋本さとしさんがセリフを交わしている姿に
「おお、新感線と元新感線だ」なんて思ってクスっとさせて頂きました。
あと、山路さんのフロイト教授は良かったなぁ。
山路さんってもっと鋭い・怖い役で拝見する事が多かった気がしますが
こういう役もお似合いんですね。さすがです。

何にせよ、地元公演ありがとうございます。