朝ランして、映画見て、やってきたのは長久手です。
藤が丘駅から25分ほど、テクテクテク・・・。
豊橋で観ても良かったのですが、「スルース」やら他の舞台やらの
スケジュールと重なってしまっていたので、こちらをチョイスしました。

ザ・空気3二兎社公演44「ザ・空気 ver. 3 そして彼は去った…」
長久手市文化の家 森のホール(G列)
14:00開演、16:45終演
出演佐藤B作、和田正人、韓英恵、金子大地、神野三鈴
脚本永井愛
【あらすじ】
ここは某テレビ局の9階会議室。政治評論家の横松が1人、イライラしながら歩きまわっている。そこへ1人の女性が入ってきた。局のBS番組「報道9」のチーフ・プロデューサー・星野だ。 横松は今夜、ゲストコメンテーターとしてこの番組に登場する予定だった。しかし、ある「ゆゆしき事態」が発生したため、出演が難しくなってしまう。問題ない、自分は出演すると言い張る横松に対して、否定的な見解を述べる星野。普段から対立することの多い2人のやりとりは、ちょっとした口論に発展していく。そんな中、星野がこの部屋にまつわる「怖い話」を語り始める。それを聞いた横松にある変化が訪れて……



知ってはいたけど、来たことが無い劇場、長久手文化の家。
何となく、武豊と雰囲気が似た劇場ですね。
豊橋も遠いけど、こっちも遠いんだな、私的には・・・。
長久手も豊橋も地元の人がいっぱい来ていると思いますが、
観客のマナー面では、断然豊橋の勝ちですね。

「ザ・空気」シリーズも3作目ですが、私は今回が一番好きでした。
これが完結編という事になるのかな。。




お、観た事があるぞ、これ。と言うのが第一印象。
そうそう、1回目の「ザ・空気」と同じセットですね(完全に同じかは分からない)。
「ザ・空気2」は記者クラブでの話でしたが、今回はまた
テレビ局での話という事のようです。
1作目でも、テレビ局で自殺をした局員が居た・・と言う話でしたが
今回とリンクしているかどうかまでは、ちょっとわかりません。

ここに案内されてきたのは、ぷんすか怒っている、コメンテーターで
呼ばれた横松輝夫(佐藤B作)。入館時の体温測定で「37.4度」という
微妙な体温だったため、会議室に隔離されている状態。
横松は「俺は感染してない。局長とも仲が俺にこんな事をするなんて」と
ADに絡んでいる所ですね。ああ、面倒くさいオヤジだね、これは。

そこに呼ばれて来たのは、この横松が出演する予定だった「報道9」の
チーフプロデューサー星野礼子(神野三鈴)。
どうやら横松と星野は仲がよろしくないらしく、横松は「今日が最後だってね」
と、「アーカイブ室」という閑職に異動になる星野をあげつらい、
星野は「この部屋、昔、あなたを慕っていた後輩が自殺した部屋なんです」
と脅すんですよね、横松への仕返しに。

この横松はいわゆる政権側にポジティブな意見を言うことが多い人で
私のイメージとしては田史郎氏かな、ジャーナリスト出身だし。
永井さんの意図は知らんけどね(笑)。
ただ元は、気骨あふれるジャーナリストだった。何故今のように
なってしまったか・・を語るセリフがね、凄いなぁと思ったのですよ。
亡くなったサクラギが横松の事を「落とし穴にはまってしまい気づいていない」
と言ったと聞いた時の横松と星野の会話ね。

ああ、そうか。
横松をはじめ、主義主張が変わってしまった・・と思う人も居るけれど
本人は「独自の視点で話している」と思っていて、空気を読んだり、
忖度しているという意識は、そんなにないのかもしれないね・・。

結局、学術会議のメンバーを採用しない事に決めた、独自の採点シートを
横松が提供してくれる事になり、スクープを放送出来る事になる「報道9」。
現場でADやチーフディレクターがボコられたりする中でも「真実を
伝えよう」と言ってくれたのに、もともと「報道しましょう!」と
盛り上がっていたサブキャスターは、土壇場で逃げる事になってしまう。
それだけじゃなく、結局は星野も「報道はする、でも今じゃない。」と
番組で取り上げる事を諦めてしまうのが・・・生々しすぎる。

そしてその様子を見ていた横松は「結局、君が正義派で居られるたのは
僕みたいな人間が居たからだ。君の方が既に落とし穴にはまっている」
と言い残して、去って行ってしまうのね。
このセリフもねぇ、ガツンときました。

星野は理想は高いし、「正しい事を報道しよう」と確かに行動しては
いたけど、今まで周りに止められたりして、それに至らなかった。
だから、「自分が犠牲を払っても正義を貫く」事をする必要が無くて
重大な決断から目を逸らしていても、それは星野の決断力が無かった
ではなく、抵抗勢力が原因だと、本人も周りも思っていた。
でも今回のような局面で、結局「報道する」を選べなかった事で、その
状態が露呈しちゃったんだよね。
自分の体(癌が転移してしまっており、発熱はリンパ節への転移が原因)
の事を考え、捨て身で情報提供をしてくれた、今まで見下していたはずの
横松から言われた事で、星野も自分自身が「落とし穴にはまっていた」事に
気づき、愕然としてしまうのだけど・・・。
これねぇ・・・いろんな局面で、いろんな人に言えるんじゃないかな。
もしかしたら、私を含めて大多数の人が当てはまるんじゃないかと思うわ。
とはいえこれは、星野が悪いというよりも、そうせざるを得なくしていく
「忖度」というか「自主規制」という「空気」を描いているのよね。

なかなか最後、ガツンときたし、シリーズ最後に相応しい締めだったな、と
思わずにはいられません。

あと、劇中で「動画を再生するシーン」があって、横松の若いころの
講演シーンがあります。
ここね、Twitterで少し揉めていたのを事前に見ていたんですよね。
「自称 公演プロデューサー&演出家」という方があのシーンを「映像だ」
とツイートしたら、二兎社のアカウントから速攻で「生でやってます!」と
何度もツイートされて。
何度でも言います。『ザ・空気 ver.3』では映像は一切使用していません。全て実際に生で演じています。映像っぽく見せているので、そのように思われる方がいるのはわかりますが、誤解に基づいて批判されたら、必死で演じている俳優が報われません。
でも、それほど素晴らしい演技だったんですよね、佐藤B作さん。
だからすぐに「ああ、このことか!」と思ったんですけど、ド素人
でもない人があれを「映像」と思うって、ちょっとお粗末なんじゃないの?
(しかも確認せずにツイートしちゃうとか)
と思っちゃった私は、ド素人だからなんですかね(笑)。

でもこのツイートで、二兎社さんが役者さんを必死に守ろうとしている
という事が分かって、嬉しかったりもしました。
(件の自称公演プロデューサー&演出家さんも、ちゃんと謝罪されています)

このシリーズはずっと観続けてきているので、見届けたいという気持ちも
当然ありつつ、お目当ては神野三鈴さんでした。
神野さんのおっとりとした話し方と、最後のシーンの差がすごくて
さすがだよねぇ・・・と思わずにはいられませんでしたね。

周りの人の笑いの沸点が異常に低くて、「えっ、そんなに笑う?」と
思うような反応だったりはしましたけど、シリアスだけではないコミカルさ
(その笑には微妙に皮肉のスパイスが効いている)もあって、非常に
楽しく拝見出来た作品でした。
まあ、この内容が「あるある」なんて状態ではいけないんですけど・・・。

次はどんなテーマで書かれるんでしょうね、永井さん。
二兎社さんは地方公演も積極的にしてくださることが多いので、ぜひ今後も
観続けていきたいと思います。