今回も平日公演ですね。職場をフレックスで15分だけ早く出て
余裕をもって劇場へ。

子午線の祀り2「子午線の祀り」名古屋市民会館 か列(4列目)
18:30開演、21:45終演
脚本:木下順二   演出:野村萬斎
出演:野村萬斎、成河、河原崎國太郎、吉見一豊、村田雄浩、若村麻由美、星智也、月崎晴夫、金子あい、時田光洋、松浦海之介、岩崎正寛、浦野真介、神保良介、武田桂、遠山悠介、森永友基
【あらすじ】
歴史上名高い源平の合戦。次第に平家の旗色は悪くなるばかり。兄・平宗盛(河原崎國太郎)に代わり平家軍を指揮する平知盛(野村萬斎)は、一の谷の合戦で、源義経(成河)の奇襲を受け、海へ追い落とされる。以来、武将となって初めて自分に疑いをもちつつ、知盛は舞姫・影身の内侍(若村麻由美)を和平のため京へ遣わそうとする。平家を支える四国の豪族・阿波民部重能(村田雄浩)は、三種の神器を楯に主戦論を唱え、知盛を立てて新しい日本国の存立を画策しようとする。知盛は平家滅亡を予感しながらも、後白河法皇の過酷な要求を拒絶し、徹底抗戦の道を選ぶのだった。一方、源義経は、兄頼朝から目付役として遣わされた梶原景時(吉見一豊)と対立しながらも、源氏方の先頭に立って慣れぬ海戦も乗り越えますます勢いづいていく。そしてついに両軍は壇の浦の決戦の日を迎える――。

 
最近は名古屋市民会館での公演が多いなぁ(助かるけど)。
コロナ禍で公演が減って借りやすくなっているのかしら?
これは以前の公演時に「観に行けば良かったなぁ」と後から思ったもの。
前回の公演はランタイムが4時間程度の作品だったと思うのですが
今回は内容を再構成して、少し短くなっているとのこと。
これもコロナ禍の影響という事なのでしょう。






ちょっと感想を書くのが遅くなってしまったので(既に今は5月)
全体のざっくりした感想だけ。

美しい舞台だな・・・と言うのがまず最初の感想。
セットはとてもシンプルです。
三日月が向い合せになったような、傾斜の付いた盆がある程度。
でも、お花で言ったら「フラワーアレンジメント」ではなく「生け花」
を連想するような、凛とした雰囲気。

お話は平家物語をベースに、一ノ谷の戦いから壇ノ浦の戦いまでの平家を
描いたもの・・と言う感じかな。
私個人は歴史がたいそう苦手なのですが、平家物語(と言うか源平の争い)
に関しては、それをテーマにしたお芝居が非常に多い事もあって、嫌でも
何度も目にしており、苦手とはいえ、まだ比較的マシなほうです。
いずれちゃんと勉強したい・・と思い、「平家物語」の現代語訳を張り切って
買ったはいいが、まだ読めていない体たらくではありますけど。

まず、影身の内侍を演じた若村真由美さんがいい。
そんなに前方の席ではなかったので、お顔は良く拝見できなかったけど
声と言い医、品のある出で立ちといい、聖母のようなイメージ。
直ぐに殺されてしまうので「まじか」と思いましたけど、逆にそれからが
巫女としての本領発揮でもありますよね。
「「天」の視点から人間たちの葛藤を描く」作品を一番分かりやすく体現
しているのが、この影身の内侍と言う気がします。

義経を演じた成河さんも素晴らしい。
義経はヒーロー的に描かれている作品が多い・・という印象がありますが
私がこの作品から受けた印象は、兄に何とか認めてもらいたい若者であり
勝つためなら、少しぐらい卑怯な事でもやっちゃうような人。
お兄さんである頼朝に認められたい信用してもらいたい・・という、
健気さがちょっと痛々しかったりもする。

知盛を演じたのは野村萬斎さん。
何だろう、その出で立ちだけで漂うこの「品」というのは。
萬斎さんは現代劇などを演じると少しセリフ回しに独特な抑揚が
感じられることもありますが、こういう作品だと全くと言っていい程
違和感が感じられないんですよね。
セリフもとても耳に入ってきやすかったです。

この作品は群読が特徴で、歴史だけではなく古文も苦手だった私は果たして
大丈夫なんだろうか・・と思って臨みましたが、結論、意外と平気だった(笑)。
ちょこちょこ歌舞伎を観ていた事もあるかもしれませんが。
今回はコロナ禍でキャストが減っているので、以前ほどの迫力はない・・と
書いていらっしゃる方もあったので、余裕があれば、録画をしてある2017年版を
見返して観たいな・・と思ったりしますし、何ならちゃんと読めよ「平家物語」!
と自分に突っ込みをいれたりしたのでした。