観たいと思ってはいたけど、レイトショーが無いからタイミングが合わず
(土日しかチャンスが無い、と言う事になりますから)半ばあきらめて
いたのですが、今週末は奇跡的にタイミングが合いました!

ある人質「ある人質」
監督:ニールス・アルデン・オプレブ
出演:エスベン・スメド、ソフィー・トルプ、アナス・W・ベアテルセン
【あらすじ】
怪我で体操選手の道を断念し、ずっと夢だった写真家に転身したダニエル。戦争の中の日常を撮影し、世界に伝える思いを抱き、24歳のダニエルはシリアの非戦闘地域を訪れた。しかし、現地の情勢が変わり、ISに誘拐されたダニエルは拷問と飢えに苦しみ、地獄の日々を送ることとなる。ダニエルの家族は要求された巨額の身代金を用意するために奔走するが、犯人側はさらなる要求を突きつけ、家族たちに追い打ちをかける。《デンマーク・スウェーデン・ノルウェー合作》



このオレンジの服装、覚えています。
以前、日本人のジャーナリストがイスラム国を名乗る過激派たちに
拉致されて、殺害されましたよね。
拉致されていた間に撮影された写真で、被害者の方が着せられていた
のがこんな服だったと覚えています。
きっとヘビーな内容だろうな・・と思いつつ。

ミリオン座の中では一番小さなスクリーンだけど、ほぼ満席。
久しぶりに映画館が人でいっぱいな状態を観たよ・・・。






 
ふぅ・・。重いというか、痛々しかったなぁ。

誘拐って本当に「ビジネス」なんですね、ある意味。
もともとダニエルが捕らえられたのは、本当にCIAと疑われたのか
それとも、単に外国人だったからなのか・・。
でも、首をつって死のうとしたところを助けられているから、もう
金蔓だと思われているって思って間違いない気がする。
日本における営利誘拐って、殆ど成功しないし、人質が殺されて
しまう事も多いから、「誘拐」の感覚が違うんだな。

このケースの場合、本当に「無知で無鉄砲な若者」が自分探しの途中で、
捕らえられてしまうんですよね。
すごくポリシーがあって報道カメラマンをしている訳でもなく、
危険地帯に行く為の勉強や準備をしっかりしている・・と言う感じでも
ないように見えてしまうので、捕まったことは気の毒だと思うし
助かって良かったね・・とは思うけど、なかなか複雑。
本来なら、ボスがもっとしっかり指導してやれよ、と思いますが。

あと主演のエスベン・スメドがね、どうしても「23歳」に見えない。
欧米人の方が年上に見えるだろう・・と言うのを割り引いても。
だからどうしても「いい歳して、何やってるのよ」みたいな気持ちに
なってしまいました。
実際にエスベン・スメドは1984年生まれらしいので37歳なんですって。
舞台ではそれぐらいの年齢差はどうってことないけど、映画ではちょっと
無理がある気が・・・。(ただ37歳の割には若く見えるとは思う)

救い出すための専門家もいたり、身代金を払う・払わないという
国ごとのスタンスも明確に違うんだね。。
これも難しいよね。人命は大切だけど、テロリストの資金源になる
という事もあるし、そもそも国が出すお金は国民の税金なんだし。
身代金を払ったり、死刑囚との交換をしたり・・という相手の
要求に応じずに解決できる方法があればいいのにね・・・。
あとは、誘拐に備えて報道関係者が基金を設立するとか。

でも口伝で受け取ったアメリカ人ジャーナリストの「遺書」が
読み上げられた時、さすがに泣けた・・。
殺されたこのジャーナリスト、素敵だったよね。
あの環境下でも明るく、周りを気遣って。
ああなっちゃって、助かるのと助からないの差ってなぁ・・・。
彼の場合は、アメリカ人だったのがかなりマイナスだったよね。

ただ、ダニエルは救出されてまた報道カメラマンになったとか。
紛争地域に行っているとは限らないけど、身内は堪らないよな。
あれだけの経験をして、まだ各地を旅する報道カメラマンになるって
それだけ「強い」とは思う。
(私だったらもう自国でも一人で出歩けないかも)
確かに私がこういう紛争地域の情報を知れるのも、危険を顧みず
伝えてくれる報道の人が居るおかげなので、有益な仕事だとは思います。
「報道写真展」なんかも観に行っちゃうしね。
でも・・・あんな状況に追い込まれて、自分だけじゃなくて
家族にも心配・迷惑をかけたのに、それでも辞められないんだね・・
と言うのが、凡人の私の理解を超えているわ。