どういう話なのかは全く分かりませんでしたが、キャストに惹かれて。
ちょうど生配信があった公演でした。
今まで観ていたカメラの向こう側に居る、と言うのが不思議な感じ。

ほんとうのハウンド警部「ほんとうのハウンド警部」シアターコクーン H列(9列目)
18:00開演、19:15終演
脚本:トム・ストッパード 演出:小川絵梨子
出演 生田斗真、吉原光夫、趣里、池谷のぶえ、鈴木浩介、峯村リエ、山崎一
【あらすじ】
若き舞台評論家ムーン(生田斗真)は、万年二番手の地位に悶々としている。今日もメイン評論家に代わり観劇にやって来た。そこで出くわした他社のベテラン評論家バードブート(吉原光夫)は、どうやらこの芝居に出演中の若手女優に入れ込んでいるらしい。それぞれの思惑と欲望が渦巻く中、とある別荘を舞台にしたミステリー劇の幕が上がる。やがて、誰もいない舞台上で思いがけない出来事が……。これは現実なのか? 虚構の芝居の話なのか?



客席は前方2列(XA列、XB列)を撤去し、その2列分の座席は
そのまま舞台上でセットとして使われていました。無駄がない(笑)。





 
開演前には舞台には客席を映す大きな鏡が。
こういうセットを見ると、蜷川さんを思い出しますね。
舞台の奥には客席で使われていた椅子が設置され、向こう側からも
ステージを観られるようになっており、「舞台を観ている人」について
描かれた作品・・という事になります。

そのステージの奥にある客席に来たのは、ムーン(生田斗真)と
バートブート(吉原光夫)。二人とも演劇評論家で、今日はその仕事で
観劇に来た、という事らしい。
ただ二人とも観劇態度が悪いのよ(笑)。恐らく上演中のはずなのに
べちゃくちゃしゃべってて、舞台なんか真剣に観ちゃいない。
これ、トム・ストッパードの評論家に対する嫌味かしら?って、思うよね。

ムーンは終始怒ってます。
同じ批評家のヒックスばかりが評価され、自分はいつも二番手だと。
ムーンは実力ではヒックスに劣らないはずなのに、いつも自分は
ヒックスの代打扱い。(この舞台も本来はヒックスが来る予定だった)
バートブートはこの舞台に出ている若手女優とデキているらしく
そういう意味で心ここにあらず。2人の会話がかみ合うはずもない。
突然、「いかにも」な劇評的な文章を語りだしたりもするんだけど、
単語は難しいものばかりを使っているけど、何だか内容は薄っぺらそう。

目の前の実際に舞台で上演されている「芝居」は推理劇みたい。
家政婦がたまたまつけたラジオで「精神異常者が逃げたしたらしい」
とアナウンスされ、ソファーの下に分かりやすく男性が倒れているけど
だ〜れもそれに気づかない。
大袈裟な動きに、少々あざといセリフまわしで、この舞台そのものの
出来も「うーん・・・」と言う雰囲気もある。劇作家の二人も
「いかにもだなぁ」と言っていたりする。
この段階ではまだ、演劇評論家とどう結びついていくんだろう・・と。

幕間の時にたまたま舞台に降りたバートブートが、何故か舞台の中に
取り込まれて、キャストの1名として舞台が進行してしまいます。
もともとこの舞台に出演していた女優(趣里)とデキていたバートブートが
この舞台の中で趣里が演じるフェリシティに二股をかけるサイモンに
なってしまうんですよね。「バートブート」なのに「サイモン」として
成り立って行ってしまう不思議。
あれ。舞台の向こうに居た人が、舞台の中に取り込まれちゃった・・。
その境界がぐにゃっとした感じ。

その後、舞台に飛び込んでしまったムーンにキャストは驚くことなく
キャストとして舞台が進んでいってしまいます。
ムーンは「ハウンド警部」として扱われていくにつれて、本人もその気に
なっていくのだけど、結局実は本当のハウンド警部は山崎一さんだった・・
という(かつシンシアの失踪した夫でもある)。
もう、何が何だか訳が分かるような分からないよ(笑)。
めっちゃあざといと思った舞台が、実はスリリングな作品なのか?と
思いきや、めっちゃあざとく終わる・・という。

舞台袖からすごい勢いで車椅子で飛び出してきて蹴りを入れる山崎さんを
笑ったり、笑えるところもあったのですが、なかなか難しい作品というか。
これ、不条理劇・・になるのかしら。
同じタイミングで観た「ダム・ウェイター」よりもこちらの方が、
圧倒的に“正体が掴めない”感じがしましたね。
剥いても剥いてもまだ剥ける玉ねぎみたいな舞台でした(笑)。
もう一度観てみたい気もするし、もう一度観てもやっぱりあまり
スッキリしないような気もするな・・・。