GW唯一のお楽しみがこの公演です。
東京、大阪の緊急事態宣言による公演中止をかわし、
最終地名古屋での観劇です。
この時期、無事に全国公演で千秋楽まで迎えられるって、凄い事だわ。

waitressミュージカル「ウェイトレス」御園座7列
12:00開演、14:55終演
脚本:ジェシー・ネルソン  演出:ダイアン・パウルス
出演:高畑充希、宮野真守、宮澤エマ、浦嶋りんこ、渡辺大輔、おばたのお兄さん、勝矢、佐藤正宏、黒沼亮、田中真由、茶谷健太、中野太一、藤森蓮華、麦嶋真帆、渡辺七海、金子莉彩、御園紬、望月彩生
【あらすじ】
アメリカ南部の田舎町。ウェイトレスのジェナ(高畑充希)はダメ男の夫・アール(渡辺大輔)の束縛で辛い生活から現実逃避するかのように、自分の頭にひらめくパイを作り続けるが、アールの子を妊娠していることに気付く。訪れた産婦人科の若いポマター医師(宮野真守)に、「妊娠は嬉しくないけど産む」と正直に身の上を打ち明ける。ある日、店のオーナーのジョーが、ジェナに「全国パイづくりコンテストに出場し、賞金を稼いだらどうか?」と提案する。その言葉をきっかけに、ジェナは優勝して賞金を獲得できたら、アールと別れようと強く決心する。診察を受け、身の上話を語るうちに、ポマター医師に惹かれはじめるジェナ。ポマター医師もまた、ジェナへの想いを抑えられず、二人はお互いが既婚者と知りながら、一線を越えてしまうのだった。そして、ジェナの出産の日は、刻一刻と近づいていく……。



これはハリウッド映画の舞台化という位置づけですよね。
映画版は観ていませんが・・・。
公式HPを見る限り(これは全米ツアー公演の舞台写真だと思われる)
セットも衣装も全く同じなので、レプリカ公演なんでしょうね。
ウェイトレス


舞台の幕はパイ生地がど〜んとプリントされていて(チェリーパイっぽい)
舞台の両袖には透明な背の高いショーケースがあって、パイが陳列
されていました。(最上段の方のパイは形がおかしかったのがありましたよ、
溶けたみたいにでろ〜んとなってた(笑))
通常は日本語での注意事項のアナウンスが音楽になっていて、開演前の
予鈴が呼び出しベルになっていたのも、オシャレです。






舞台はジョーのお店。
主役のジェナはウェイトレスをしながらお店に出すパイを焼いている。
幼いころに母親にパイづくりを教えてもらい、パイづくりの名手らしいけど
世捨て人の雰囲気が漂うんだよね(笑)。
ちょっと気難しいオーナーのジョーともうまくやってるし、接客も問題ないし
同僚ともうまくやってるんだけど、前向きな活力が無いっていうのかな。
高畑充希ちゃん自身は溌溂としたお嬢さんと言う雰囲気だけど、この役では
どこか「諦め」の雰囲気を常に漂わせているのが印象的。
あまり自己主張をしないんだけど、彼女の作るオリジナルパイの名前が
その心情を表しているんだよね。(「アールの赤ちゃんは欲しくないパイ」とか
「自分の卵の裏切られたパイ」「ゲス野郎のチキンポットパイ」・・とか)

そんな自己肯定感の低いジェナが、ポマター先生に惹かれるのも、分からなくはない。
作ったパイを「美味しい、美味しい」と食べて、無条件に褒めてくれる人って
新鮮だったんだと思うんだ。アールも昔は「パイが美味しい、お店も出せる」って
言っていたらしいから、そういうのに弱いんだろうな。
だから「どうせ私なんか」と思っていただろうし、アールから逃げ出そう、って
思えなかったんだろうな。そんな未来に夢を描けないジェナがちょっと
観ていて歯痒かったりもする。
だからこそ、子供が生まれてからの変わりっぷりとの変化が大きくて
ハッピー感が高くなるのかな、と思いますけどね。
私は産後すぐにでもジョーがお金を出してくれて、コンテストに出場出来て
優勝するんだろう、と思ったので、ああいう最後はちょっと意外でした。
(「ルルの店」にはジョーの写真が飾ってありましたね・・・)

それにしても今回はキャストが雰囲気にピッタリ合ってましたね。
エマちゃんのオタクっぽさも可愛いし、浦嶋りんこさんの肝の据わった歌も
キャラにピッタリ合っている。
渡辺大輔さん演じるアールはもうぶん殴りたいぐらい嫌なヤツでありつつ
弱さもダダ洩れで、ああ・・・モラハラやDV夫ってこういうヤツだよなぁ・・
と妙に納得感がある(←誉め言葉)。
ポマター先生はまあ、とんでもないクズ男なんだよね。別れたくないとか
言いますが、自分の事ばかりですから。でもこれが宮野さんの陽の雰囲気に
いい感じにマッチしてました(笑)。

あとはご覧になった皆さん思っていると思うけど、おばたのお兄さんがいい!
「ミュージカルポテンシャルがめっちゃ高い」と言う噂は聞いていたけど
ハンパなかった(笑)。一緒に観に行った友人たちは「おばたのお兄さん、
もともと何やってる人だったの?」って言うぐらいですから。
体育教師の資格は持っているようなので、バク宙とかはもともとできるような
身体能力の高い方だったようですけど、歌も全く遜色ないですし、お笑いを
やっているだけあって、セリフの間もいいから、きっちり舞台の空間を埋められる。
この方、今後もどんどんミュージカルに出たらいいと思う。

それにしても、とーってもアメリカンな作品でもありました。
ここに出てくる女性3名、オープンだよね。
ジェナは主治医の産婦人科医とデキちゃうし、ベッキーは看護が必要な
ダンナが居ても働いているお店の料理人であるカルとデキてて、でも
「夫は愛しているから別れない」って言う。
何というか、女子会でのトーク内容を地で行く感じ(笑)。
あとは、どうしてもアメリカ人ではないので、合衆国憲法の制定劇・・
と言われてもピンとこなかったのは、海外作品あるある・・です。

この舞台「ウェイトレス」はBW版でも「WAITRESS」のようなのですが
ジェンダーなどに厳しいアメリカで「ウェイトレス」って表現アリなの?
というのがちょっと引っかかっていたんですよね。
その後、この作品はオリジナルのブロードウェイ版のクリエイティブ
スタッフは全員女性だったと聞いて、ちょっと腑に落ちたというか。
「子供が出来ても他の女の人みたいに喜べない」とか、妊娠検査薬を使うシーン
とか、女性クリエイティブならでは、なんじゃないかなーなんて思ったり。
敢えて「ウェイトレス」と言う表現を使う所に女性の閉そく感や自虐も感じつつ、
そんな事を跳ね返すような陽のパワーがあるというか、女性を応援するような
舞台だったな、と思います。

ただ・・レプリカ公演だったのなら仕方ない(独断で変更ができないだろうから)
と思うのだけど、小麦粉を客席に向かって「ふぅ〜」って吹きかける演出。
あれはねぇ、コロナ禍の今だと、ちょっと観てて抵抗があったかも。
飛沫が可視化されているようで・・・。