弥次喜多シリーズは歌舞伎座で何作か観ております。
楽しいとは思うものの、「笑い」というもののプライオリティが決して
高くない私にとっては、そこまで刺さる演目ではありませんでした。

図夢歌舞伎 弥次喜多図夢歌舞伎「弥次喜多」
監督・脚本・演出:市川猿之助
原作:前川知大「狭き門より入れ」
構成:杉原邦生  脚本:戸部和久  監督:藤森圭太郎
弥次郎兵衛:松本幸四郎   喜多八:市川猿之助
時枝浅之助:市川中車    伊月梵太郎:市川染五郎
五代政之助:市川團子    葉刈五郎:市川猿弥
彼方岸子:市川笑三郎    鳩:市川寿猿
口上人形:市川弘太郎(声の出演)
【あらすじ】
これまで様々な珍道中を繰り広げてきた弥次郎兵衛と喜多八。数々の騒動を経て 弥次郎兵衛は出世して歌舞伎座の経営再建担当となり、相棒の喜多八もリストラしていた。路頭に迷う喜多八を拾ったのは万屋(よろずや=コンビニ)「家族商店」を営む弥次郎兵衛の父。喜多八は真面目に働き今は店長だ。「家族商店」には同じく歌舞伎座をクビになった元役者の時枝、弥次喜多と珍道中を共にした梵太郎、政之助が入り浸っているが、流行中の謎のウイルスによる不況の影響か、皆以前とはどこか変わってしまった様子。そこへ、歌舞伎座を追い出された弥次郎兵衛が、退職金を大事に抱えて帰ってくる。その手には「世界の終わりと始まり 更新の日は近い」と書かれた意味深なビラが握られていた…



ただこの作品に関しては前川さんの「狭き門より入れ」が原作だと
聞いていたので、いつかは観てみたいな・・と思っていました。
「狭き門より入れ」を劇場で観た時には「すげー作品だ・・・」って
興奮したし、記憶に残る作品を問われたら、すぐに名前が挙げられる作品です。
「狭き門より入れ」には猿之助さん(当時は亀次郎さん)も「葉刈」役で
ご出演になっていましたからね、前川さんとはその頃からのお付き合いでしょう。



 

原作が「狭き門より入れ」と明記されているので当然ですが
「狭き門より入れ」まんま、でした(笑)。若干設定が違いますけどね。
原作の方では、コンビニに勤めているのは、実の弟なのですが、この作品は
弥次喜多ですから「友人」という事になっています。
一応「歌舞伎」なので「ゲート」じゃなくて「門」って言ったらいいのに・・
と思わなくはないのですが(笑)、まあ、あまりそこまで些末な事は気にならない。

「気にならない」のは何より脚本が素晴らしい(前川さん推しなので)ことが
一番に挙げられると思いますが、役者さんたちが素晴らしい事もある。
(若手二人に関してはもう少し頑張ろうか・・と思うけれども。)
何なら葉刈五郎とか彼方岸子は、こっちの方が不気味さがあって
原作とは違う味があって、ゾクッとしました。
弥次喜多シリーズなので笑わせる所もありつつ、エンドロールでは何か
壮大な映画を観終わったような感じにもなる。

またこの作品のキーになるセリフなどは幾つもあると思うのですが
歌舞伎にしても全く気にならない、時代を問わない内容なんだろうな・・と
思ったりもしました。
映像処理などもあるので、これは配信ならでは・・の作品ですね。
そういう意味では、コロナ禍ならではの作品ともいえると思うので
観られてよかったな、と思います。

そしてこの作品に描かれている未知のウイルス感染のパンデミック
だったり、緊急事態宣言が、舞台で観た2009年にはまだ想像の域を
出なかったというか「そういう事もあるかもね」レベルだったのに
今は普通に日常にある事になってしまっている・・・っていう事に
怖さも感じますね・・・。


これ、原作の観劇の感想、当時としてはめっちゃ頑張って書いたので
リンクしておきます。今読み返して気づきましたが、ちょうど「新型インフルエンザ」
が話題になっていた頃なんですね、この作品の上演されていた頃。
何だか今とリンクすることが多くて、怖いぐらいです。