私は昨年の2月、東京公演を観劇したのですが、マチネを観た
さい芸からの移動に時間がかかり、オープニングが観られなかったんです。
「大阪公演でちゃんと観よう」と思っていたのに・・・、大阪公演は東京より
前方席でだったので、楽しみにしていたのに・・・その後すぐに
緊急事態宣言が発出され、公演が打ち切られてしまいました(涙)。
で、払い戻された大阪公演のチケット代でBlu-rayを予約したんです。

天保ブルーレイ絢爛豪華 祝祭音楽劇「天保十二年のシェイクスピア」
収録日:2020年2月28日(金)
作:井上ひさし   演出:藤田俊太郎
出演:高橋一生、浦井健治、唯月ふうか、辻萬長、樹里咲穂、土井ケイト、阿部裕、玉置孝匡、章平、木内健人、熊谷彩春、梅沢昌代、木場勝己、他






この公演に関して、ちょっとプライベートで気分の良くない事があり
(今から思えば大した事ではないんだと思いますけどね)
公演の感想も書く気持ちになれないまま、今に至ります。
12月に製品が届いても、どうしても「再生しよう」と言う気持ちになれずに、
気づいたらもう5月ですよ・・・。

ただ、ぐーたらGWだったので、ようやく再生してみましょうか・・
と言う気持ちになれました。







 
東京公演は、2020年2月8日〜29日。
私が観劇したのが、2020年2月22日(土)。
その数日後、緊急事態宣言が発出され、2月28日以降、残り3公演(東京公演)
を残して幕が降りました。この作品が、その「2月28日」に無観客状態で
収録された作品だ、という事は明記されていますし、分かっていました。

ただ・・・・。

客が誰一人入っていない日生劇場の、客席に向かって木場さんが前口上を
述べられた時。とてつもない違和感で、観ていられない気持ちになりました。
もしかしたら私、無意識にこういうシーンが観たくないと思っていて
再生ボタンが押せなかったのかもしれません。

もちろん芝居が始まれば、客席の事は忘れてしまう程没入出来ましたが
(そもそも、基本的に客席をいつも映している訳ではないし)
「どうやるんだろう」と思っていた客席降りや、客いじりのシーンも
誰もいない客席に降りて行って、観劇時と同じように演技をされていました。
(ここだけ演出を変えるのかと思っていたんですけどね。客いじりは当然無かったです。)

役者さんはゲネプロ等で、お客が入っていない状態で演技をする事は珍しい
事ではないかもしれないけど、演出家やスタッフすら客席に居ないなんて
やっぱりやりづらいだろうな・・と思うし。
でも、全くそんなことを感じさせられない演技に圧倒されました。
役者さんって、すげー。

そして、エンディング。

ステージを降りて通路を通り抜けていく役者さん達。
でも客席には誰もいなくて、またここで堪らない気持ちになってきます。
自分は、お客さんが一杯入った客席の間を笑顔で通り抜けていった様子を
日生劇場で上から(GCだったので)眺めていたんだよな・・・。
本来ならいっぱいの拍手で迎えられるはずのカテコも、ノーリアクション。
そんな誰もいない客席に向けて行う三方礼を観ていたら泣けてきちゃいました。
この時、皆さん、どんな気持ちだったんだろう・・と思うと・・・。
最後はキャストだけではなくスタッフさんも全員が揃ってお辞儀をしてくれて
お互いに讃えあうように拍手をされている様子にまた、涙。
なんか・・・この芝居を成仏させているような、そんな印象でした。

浦井君も「客席で日に日にマスクをしている人が増えていって」
「売り切れているはずなのに、客席に空席が増えていく」様子を見て
ただ事ではないと思った・・と言う話をされていたな・・なんて思い出し・・。
このブルーレイは、色んな意味で2020年という異常な年の記録、と言う意味でも
貴重な作品になったんじゃないかな、と思います。


私は観劇オタクですが、演劇だけが特別だとも、演劇だけが優先的に守るべき
ものだとも、思ったりしていません。(恐らく殆どの観劇オタクも同じだと思う)
コロナの感染拡大直後は、演劇関係者の発信がバッシングされることが多くて
心が痛みましたが、この高橋一生さんの千秋楽のご挨拶が、精一杯のコメント
だったんだろうな・・と、3度目の緊急事態宣言発出を目の前にして(愛知はね)
改めてしみじみ読み返してみたりもしました。



それにしても、やっぱりメディアはBlu-rayがいいと思うよ。
もう、他の作品もBlu-rayで発売しようよ、東宝さん。