蜷川さんの命日からスタートしたこの作品で、とうとうこのシリーズも
最後なんですね。(「ジョン王」はいつか観られると信じてる)

終わりよければすべてよし「終わりよければすべてよし」
彩の国さいたま芸術劇場B列(最前列)
13:00開演、15:40終演
作:W.シェイクスピア  演出:吉田鋼太郎
出演:藤原竜也、石原さとみ、溝端淳平、正名僕蔵、山谷花純、河内大和、宮本裕子、横田栄司、吉田鋼太郎、廣田高志、原慎一郎、佐々木誠、橋本好弘、鈴木彰紀、堀源起、齋藤慎平、山田美波、坂田周子、沢海陽子

【あらすじ】
舞台はフランス。若き伯爵バートラムの母ルシヨン伯爵夫人の庇護を受ける美しい孤児ヘレンはバートラムに想いを寄せているが、身分違いで打ち明けられない。ヘレンは優れた医師の父から受け継いだ秘伝の処方箋で瀕死の国王を治療し、見返りに夫を選ぶ権利を与えられる。ヘレンはバートラムを指名するが、バートラムは貧乏医師の娘とは結婚しないと断固拒否、しかし国王に𠮟責されしぶしぶ承諾する。やむを得ず結婚したもののヘレンと初夜を共にする気のないバートラムは「自分の身に着けている指輪を手に入れ、自分の子を宿さなくては夫婦にならない」と手紙で宣言し、戦役へ赴く。ヘレンは巡礼の旅でキャピレット未亡人の家に身を寄せ、当地でバートラムが大きな戦功を上げたこと、そしてバートラムが未亡人の娘ダイアナに求愛していることを知る。ヘレンはダイアナとキャピレット未亡人に協力してもらい、ある計画を実行に移す…。




私自身はこのシリーズは途中からの参加組で、2006年以降しか
観ていませんが、それでも15年経っている訳ですからね。
豊橋でも公演がありますが、これはやはりさい芸で観ておきたい・・
と思い、愛知公演があるにも関わらず、敢えてさい芸で観るために
与野本町にやってきたのでした。
このシリーズが終わったら、この劇場には来る機会がぐっと減る
だろうしな・・・とも思いますし。
(で、電車の乗り換えを間違えるという過ちを犯すバカな私・・・)






この作品、シェイクスピア作品でも上演機会が極めて少ないとの事。
以前、鵜山さんの講演的なものに参加した時、残りの3作の中で
(その時点で「ジョン王」「ヘンリー八世」「終わりよければすべてよし」
の3作が上演待ちの状態だった)演出したい作品はあるか?と問われて

「ない。全部やりたくない」

と答えていらっしゃいました。
蜷川さんも「やりたくない作品が残った」みたいなことを生前話して
いらっしゃったのを、ふんわり記憶しております。
えー、一体どんな作品?と思って当日臨んだのですが、実際に舞台を観ても
「これは・・・」と思う突っ込みどころ満載の作品(笑)。こりゃなかなか
上演されんわな・・と納得しましたが、エンタメとして楽しく拝見しました。

幕が開くと、舞台は八百屋になっており、床一面に真っ赤な花が揺れています。
(これ、ヒガンバナだそうです、ぱっと見では分からなかった)
何て言うのかな、オープニングなのに、この画面だけでエンディングのような
そんな気持ちになっちゃいました。
まあ、これは私が「最後だ」と思っていたので、思い込みもかも、ですが(笑)。

ヘレンを演じたのは石原さとみさん。
ショートヘアになっていたのが驚いたけど、可愛らしかったですよ。
髪色も含めて衣装にも合ってました。
フランス王を説得する所など、体当たり感があって良かったし、だからこそ
この子の後ろ盾になってやろう、とフランス王を思わせるに足るというか。

ただね、お衣装も可愛いし、お綺麗だから「貧しい身の上」と言われても
どうもピンと来ないのですよ。現代では「医者の娘」と「貧乏」という単語は
なかなかリンクさせづらい・・と言う事もありますし。

だから、バートラムが何故にあそこまでヘレンを忌避するのか。
「身分が〜」みたいな事を言ってますけど、上記の理由でピンと来ないし。
ゆえに、バートラムのクズ男感、MAX(笑)。
ヘレンの求婚を迷惑がるのも「どうよ」と思うけども、結婚を受け入れたにも
関わらず、ヘレンに無理難題を吹っかけて、家を出ちゃったり、別の女を
口説いたり、恐らく私が過去に観た竜也君の役の中でもクズ度は3本の指に入るはず。
まあ、そんな役を藤原竜也君が演じると、ちょっと可愛らしくなっちゃうというのも
ズルイよねぇ・・と思います(笑)。

じゃあ、ヘレンが可哀そうか・・と言うと、それでもない、というか
ちょっと引いた(苦笑)。フランス王の仲立ちで結婚するまでは
「本当にバートラムが好きだったんだねぇ」と悪い印象ではなかったんですが。
自分が居るからバートラムが帰ってこない、戦争に出かけさせたのが自分のせい
なのであれば自らが身を引く・・と言って旅立ったのに、ダイアナと
入れ替わって自分がバートラムと寝るって、逆に怖いわ。
それを狙ってバートラムを追いかけてきたんだっけ?
あそこまでコケにされて、それでもすがるメンタリティが理解出来んし
最後にバートラムに「許してくれ」って言われて許すかなぁ・・・。

結局はヘレンとバートラムは結ばれて、めでたしめでたし・・
(終わりよければすべてよし)という事になるんだけど、矛盾だらけというか、
ご都合主義もいい加減にしてくださいよ、っていう・・・ね(笑)。
でも、ぶっ飛びすぎていて逆に楽しめたよ。

でも、宮本裕子さんが気品がありつつ、心遣いのできる女性でとても良かったし、
ヘレンとルシヨン伯爵夫人の関係性がとても心温まりました。
(伯爵夫人と話す時に、みるみる表情が変わっていくヘレンが良かったなぁ・・)
横田さんが演じるバローレスも道化として魅力的でした。
河内さんや溝端淳平さんとかも、贅沢な使い方ですよね。

カーテンコールには蜷川さんの写真が・・・。
まあ、こういう展開になるよね、と予想はしていましたけども、実際に
写真を見たらぶわっと涙が出てきてしまいました・・・。
色々あったけど、とりあえず第37弾まで到達出来て、本当に良かったです。
あとは「ジョン王」ですよね、いつまでも待ってます。