大阪ではまだ土日の公演が叶わないという状態だそうで、公演中止が
幾つもあるようですが、この作品は配信をしてくれるとのこと。
このご時世で遠征してまでは・・・と思うのですが、配信があるなら
観てみたいな、という事で。

M!「モーツァルト」梅田芸術劇場 6月5日ソワレ配信
脚本:ミヒャエル・クンツェ
音楽/編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
演出:小池修一郎
出演:山崎育三郎、木下晴香、和音美桜、香寿たつき、山口祐一郎、市村正親、阿知波悟美
【あらすじ】
幼いアマデウス・ヴォルフガング・モーツァルトは、 姉ナンネールと共に、貴族の前で演奏し、輝かしい成功を収めていた。しかし、ヴォルフガングは成長するにつれ、貴族たちの興味は薄れてしまう。ヴォルフガングの肉体は成長し、世俗的になっていく一方、彼の才能(アマデ)だけは、子どもの姿のまま音楽を書き続ける。モーツァルト父子を雇っていたコロレド大司教と、ケンカしたヴォルフガングは、ザルツブルクを飛び出しマンハイムで、ヴェーバー一家と出会いヴォルフガングはコンスタンツェと結婚する。恋愛、遊び、借金に追われる日々。そして、見知らぬ男がやって来て、ヴォルフガングにレクイエムの作曲を依頼するのだったが・・・。



どちらのヴォルフガング版にするか(あるいは両方観るか)少し悩んだし、
古川君のヴォルフガングは観たことが無かったので挑戦したい気持ちも
強かったのだけど「平日観るのは厳しい」という事と私はやっぱり、
香寿さんのヴァルトシュテッテン男爵夫人の歌が好きなので
(もう理屈じゃなく、あの声と、彼女の「空から降る金」が好きなのです)
育三郎Ver.という事で。





自分が最後に観たのは、2015年の井上芳雄氏のラストヴォルフガングの公演。
(その時は井上&山崎両パターン観た)
久しぶりに観たらセットや衣装が変わってた。
18年に新演出になっていたそうで。曲も増えてました。この曲があったほうが
晩年のヴォルフガングの作曲に対する想いがよく伝わりますね。

育三郎君を舞台で拝見するのは超久しぶり。
ドラマやバラエティでお忙しいようで、なんか遠くに行っちゃったねーと
思っていたし、何だか変わっちゃったねぇ、と思う部分もあったけど、
舞台で観ると以前と同じでやっぱりこの人は舞台で活きるねぇ・・と。
(厳密にいえば以前よりもずっと歌も演技もパワーアップしていたけど)
父親が亡くなったという知らせの後の、抜け殻になってしまったような演技は
メイクを変えたわけではない(出ずっぱりだからメイクは直せないはず)のに
まさに「顔色を無くす」という表情で目が離せなかったー。
これはアップで観られたからこそ、堪能できたのかな。
カーテンコルで演出家の小池先生もおっしゃっていたけど、鬼気迫る演技でした。
周りに追い詰められ、自分の才能(アマデ)に追い詰められ、自分自身でも
自分を追い込み、この人はただ心の安寧を求めていたんだろうな・・と思っている所に
「自由になりたい」というフレーズで幕。そんなヴォルフガングが痛々しく、
彼の人生が非常に納得感をもって伝わってきましたよ。

でも、コンスタンツェに対して「帰れ!」と怒鳴るのはどうかと思うよ(笑)。
以前は絞り出すように「・・・・帰ってくれ。」っていう感じだったのにさー。

今となってはミュージカル俳優というより、タレント感が強くなってきて
(それが悪いという訳ではないけど)ミュージカルも有名なグランドミュージカル
にしか出演しなくなっちゃったけど、もっといろんなタイプの作品(それこそ
ストレートプレイとかも含めてね)で拝見したいものですけどね。

ナンネールが西洋顔だったので「誰、これ」って思ってしまったけど、
和音美桜さんでしたね。いやー、やっぱりこの方のお歌は素敵。
儚さもあって、いいですね。
(非常にファンティーヌタイプな報われない役を演じたらハマるタイプの方と思う)

コンスタンツェは木下さん。元々木下さんは歌も良かったですけど、
歌にパワフルさも増してきましたね。
ラストシーン、ヴォルフガング以外のキャスト歌うシーンを見ると、その時の
コンスタンツェの個性が現れると私は思っているのだけど、淡々と歌っている
ような様子が木下コンス「らしい」気がする。
若くて、ちょっとイキってて、旦那が自分の事を全く顧みてくれない事や、
結婚のために家族からも孤立した事で、それを悔やんではいないものの、
どうにもならない孤立感や自分の想いを持て余している若い子、っていう感じかな
ソニンには湧き立つ女の情念みたいなものを感じたし、平野さんは体全体で
体当たりしてくるようなものを感じたけど、またちょっと違っていて
「若いが故」みたいな印象もあって、その違いが面白いなぁと。

そして東宝のグランドミュージカルの中でも同じキャストが同じ役を
演じ続ける人が多いという作品も珍しいんじゃないのか?
市村正親さん、阿知波悟美さん、山口祐一郎さんは2002年の初演からずーっと同じ。
香寿たつきさんは初演以外はずっとヴァルトシュテッテン男爵夫人だし。
他の作品だとレミゼの森公美子さんとミス・サイゴンの市村正親さんはすぐ
思いつくけどね。ま、私はあまりミュージカルに詳しくないので不正確かもだけど。

自室でゴロゴロしながら観ていると、配信はウトウトしちゃうこともあるんだけど
最後まですごい集中力で観られた。
いつになるか分からないけど、次に名古屋公演があったら観劇を前向きに
考えてみようかな、と思いましたわ。

それにしても、やっぱり拍手の無いカーテンコールは観ていて辛いな・・・。

カーテンコールで演出家の小池さんが「1万人以上が視聴していた」と
おっしゃってましたね。確かにその時は「おお、すげぇ」と思いましが
以前、三谷さんが新聞のコラムで配信でペイしようと思うと10万人ぐらいの
視聴が必要・・とおっしゃっていたような記憶があります。
だとすると、配信で黒字にするのは途方もない視聴者数が必要なんですよね。
この公演は配信のためにセットを建て込んだ訳ではないし、KDDIという
通信事業者がスポンサーだった事もあるので、損益分岐点はもっと低いとは
思いますし、公演を中止するよりは遥かにいいと思いますが、配信という方法を
ビジネス的に成り立たせるには、なかなか難しいものなんでしょうね・・。