初台に移動して、2本目。
新国立劇場は久しぶりじゃないかなー。やっぱり好きだな、ここ。
緊急事態宣言の影響で開演時間が早まった回でした。

キネマの天地「キネマの天地」新国立劇場小劇場 B2列
18:00開演、20:30終演
脚本:井上ひさし  演出:小川絵梨子
出演:高橋惠子、鈴木杏、趣里、那須佐代子、佐藤誓、章平、千葉哲也
【あらすじ】
昭和10年、築地東京劇場。
娘役で人気沸騰の準幹部女優・田中小春、続いてヴァンプ役で人気の幹部女優・滝沢菊江、お母さん物で有名な大幹部待遇の徳川駒子、最後に大幹部女優のトップスター立花かず子が登場する。いずれも蒲田撮影所所属の、日本映画界を代表する大スター。超大作の松竹蒲田特作豪華版・喜劇映画『諏訪峠』の打合せに呼ばれてきた四人は、自らを誇示し、鞘当てし合いながら、上演中に突然死した女優の松井チエ子のことを思い出す。そこへ、松井の夫でもある映画監督小倉虎吉郎が、『諏訪峠』の代わりに、松井の一周忌記念興行として『豚草物語』の再演を持ち出した。松井殺しの犯人探しが目的の監督は、万年下積み役者の尾上竹之助を刑事役として雇い、稽古中の4人を見張らせる。果たして、この4人の中に犯人はいるのか......。



一旦は見送ろうと思った作品なんですが、アトレ会員で2000円分の
クーポンが使えたという事と、チケ取りに出遅れたにも関わらず
思ったよりも良い席が残っていたので、観に来ることにしました。
4人分あります
小劇場入り口の池の所にある垂れ幕は、女優役4名分という事で
デザインが全部違ったんですよ。
風が収まっている瞬間を狙って撮るのが大変だった(笑)。









この作品、以前サザンシアターで観た事があったはずですが、
演劇愛に溢れた作品だった・・という事以外、見事に内容を忘れており、
また新鮮な気持ちで楽しむことができました(お得!)。
ちなみに前回の主要キャスト(女性)は
麻実れい、三田和代、秋山菜津子、大和田美帆の4名。誰が誰役か・・と
書かなくてもすぐわかるのが凄いけど、前回も魅力的な顔ぶれでした。

時代は昭和初期。
ようやく女優という職業が世の中に認められはじめ、人々の娯楽として
映画の人気があったと思われる頃。
スポットライトや照明設備、撮影道具と思われる物がある事からここは
撮影所なんだろうな・・・と思っている所に、女優が次々と4人入ってくる。
入ってくる順番(スタジオ入りする時間)は経験が浅い順・・というのも
フムフムという感じ。

最初に入ってきたのは田中小春(趣里)。劇場の売り子をしていた所を監督の
目に留まり女優デビューしヒット。「自分がアップになった」カット数に拘る。
次に入って来たのは滝沢菊江(鈴木杏)。舞台出身(といっても研究生)で
アクションが出来る事が自慢。男遊びは派手らしい。
次は着物姿で現れた徳川駒子(那須佐代子)。「お母さんシリーズ」が有名。
最後は立花かず子(高橋惠子)。往年の大女優でセリフ数に拘りがある。

1幕では、次に予定されている超大作への出演のために、「ブタクサ物語」
という舞台作品(本当はあまり出たくない)の本読みのシーンまで。

みんな帽子を被っているのは当時のファッションなのかな。
もうね、笑っちゃうほど自己肯定感の強い女性の集まりで、相手が先輩だと
一応相手をを立てる姿勢を見せながらも、嫌味にディスりマウント取りあう。
・・・と、文字にすると「なんて嫌な感じ」って思えちゃうんだけど、その
マウント取っている様子が必死過ぎるほど必死で、感情にストレートだし、
単純に上昇志向が高すぎるほど高い、っていうのが滑稽でもあるから、
陰湿という感じではないのよね。(むしろ愛しく思えちゃう)
基本的に皆さん、演技がお上手な女優さんばかりですから、敢えて「下手に」
演じているのが、いい感じでわざとらしくて、もうクスクス笑えちゃう。

それが2幕になると急にその場は「殺人犯探し」になってきちゃう。
あれ〜、この作品、こんなヘビーな内容だったっけ?全然そんな記憶が
無いんだけど・・・。
この4人が女優が舞台上で亡くなった女優(監督の奥さん)を殺害する
動機や状況証拠があると順に糾弾していくんだけど、それぞれの女優が
論破していっちゃう。「あの時殺してやる」って言ってたじゃないか・・と
言われれば、如何に女優が「殺してやる」なんてセリフを日常的に使うか、
というような感じでね。そしてそれに同意する残りの3女優・・の繰り返し。

あれ、これ、ヘビーな話だったっけ?と思ったけど、このやり取りで
うん、やっぱり喜劇だよね、というのが徐々に確信に変わっていく。
女優達に共通した苦労や、努力などが言語化され、そして皆の境遇が同じだ
という事が分かって団結力が強まっていくのと共に、刑事役(を演じていた)
俳優とのやり取りの中で「実は自分達は演じる事が好きだし、演じられる
という事が何よりも大切な事だったんだ」という事を再発見していく。

この刑事役を演じていた売れない俳優、尾上竹之助のセリフがねぇ・・
いいセリフが多いんですよ。前回も同じような事を思ったなぁ・・
という事も思い出してきました。

「すべてのすぐれた芸術は、みな人間への賛歌」
コロナ禍でエンタメを主催するほうも、観るほうも苦境に立たされている
今だからこそ、より心に刺さるセリフでした。
うん、心がホッコリしたよ、観に行ってよかった♪


ただ・・・ちょうど今、映画で「キネマの神様(原田マハ原作)」を
上演しているから、混乱しちゃうんだよね、タイトルが。
この「キネマの天地」も映画版もあるから余計に混乱するのか
実際に間違えている記事もあったしね(爆)。

新国立のくまさん
次の「反応工程」はスケジュールの問題で観られないので、次に
新国立に来られるのはいつになるのやら。。。
クマさん、またその時にね!