最近急に仕事が忙しくなり、定時で仕事を終わるのも難しいのに
17時開演のため、ギリギリ頑張って16時30分には職場を出ないと
いけないので、もう本当に大変・・・・。

森 フォレ「森 フォレ」名古屋市民会館 い列(最前列)
17:00開演、20:50終演
脚本:ワジディ・ムワワド   演出:上村聡史
出演:成河、瀧本美織、栗田桃子、前田亜季、岡本玲、松岡依都美、亀田佳明、小柳友、大鷹明良、岡本健一、麻実れい
【あらすじ】
1989年11月ベルリンの壁崩壊直後、モントリオールに住むエメ(栗田桃子)にてんかんの発作が起き、知るはずもない第一次世界大戦中のフランス兵・リュシアン(亀田佳明)の名前を口にする。その原因として考えられるのは、妊娠中のエメの脳に生じた悪性腫瘍。エメが生き延びる為には、堕胎を選択するしかなかったが、彼女は娘ルーを産んだ。その後エメは意識不明の状態に陥り、15年後に息をひきとった。
20歳に成長した娘ルー(瀧本美織)は、偶然にも母エメと同じ形をした第二次世界大戦時の被害者の頭蓋骨を所持するというフランスの古生物学者ダグラス(成河)の来訪により、母の死の真相を、父バチスト(岡本健一)から聞くことになる。「母エメは双子を妊娠したが、男児の方が、エメの子宮から脳へと移り住み、まるで、その男児が悪性腫瘍を引き起こしたようだ」と。
ダクラスの説得により、ルーは母を捨てた祖母リュス(麻実れい)に会いに行き、リュスの母が第二次世界大戦をレジスタンスとして生きたリュディヴィーヌ(松岡依都美)であるということを知る。ルーとダグラスは偶然に導かれながら、自らのルーツを探るために、フランスへと旅立って行く……。




わー、いかにも世田谷パブリックの企画だなぁ・・という感じの芝居でしたが
こういうタイプの舞台が名古屋で観られるとは思わなかったので軽く驚きました。
遠征せずに済むのは本当にありがたい。
ただ、開演時間の早さもあり、客席はちょっと寂しかったな(涙)。

このシリーズ、前作の「岸 リトラル」は観ていますが(感想書けてなかった!)
その際のキャストの多くがこの公演にも出演されていて、シリーズ感ありますね。
(お話としての連続性はありませんが)


 


この作品は何代にもわたる「血」をめぐる話になるため、同じ人が
何役も演じていくのが、分かりやすい・・と思う時と、分かりづらい・・
と思う時が混在しておりました。(基本、まず一度はこんがらがる)
が、こんがらがるのは序盤だけで、その後は比較的スムーズだったかな。
『8世代2大陸にまたがる壮大な一大叙事詩』だそうですが、感想としては
「そうか、8世代もありましたっけ・・・」という感じです。
それ程、後半になればなるほどドライブがかかっていった・・と言う気がします。

自分を生むために母親は自らの病気治療を延期し、結果的には
出産が母の命を縮めてしまい、母親とは交流らしい交流を持てずに育った
ルー(瀧本美織)とダグラス(成河)による自分のルーツ探しのお話です。
(といっても、母系のルーツ探しのみ)
父親はルーと向き合おうと努力はしているようだけども、ルーはもう
全てを拒絶しているような、他社を寄せ付けないような刺々しい雰囲気。
瀧本美織さんは舞台では恐らく初見だと思いますが、こんな人でしたっけ!?
というのが、まず最初の印象です。
ビジュアルもパンクだし、短期ですぐに相手に掴みかかるようなヤンキー気質。
まあ、もともとがお綺麗な方だという事もありますが、パンクなメイクも
映えて、すごくいい意味でインパクトがありました。
ヤンキーなんだけど、凄く寂しさを抱えているのも伝わってきましたね。

しかしこのルーのルーツがエグいんですわ・・。
ベルリンの壁崩壊とか、強制収容所とか、第一次・第二次世界大戦などの
時代の大きな流れにも影響されつつ進んでいくんですが、ルーは大戦時に
ナチスドイツに協力をしたケレール家の末裔ではないか・・と言う事が分かり
その事に苦悩するわけですね。

結局は曾祖母だと思っていた、ケレール家の血を引くリュディヴィーヌ
でその血は途絶えていた(リュディヴィーヌがそういう障害をもって
生まれてきたのは、もしかすると、その上の世代の忌まわしい生活の産物
なのかもしれませんが)のですけど、自分のルーツを知って過去と向き合う
事の辛さを感じつつも、真実を知って解放される・・という感じでしょうか。
あんなに周りに刺々しかったルーが、父親に電話で「ありがとう」と言えたり
素直にダグラスに弱みを見せられるようになっていきましたからね。

後は、実はリュスは自分の娘だと分かっていつつ、自分の身代わりに
命を落としたリュディヴィーヌを母親だと伝えに来たシーンのサラ(前田亜季)
が切なくて、あのシーンにはぐっと来ましたよ、特に2度目。

しかし「エレーヌの肌」の所はもう・・・何て言ったらいいか。
アルデンヌの森での出来事は、忌々しいというか、エグイというか
なかなか見ているだけでもしんどかったです。お前ら動物か?!って言う感じ。
ただ、男どもの本能ぶりもたいがいですけど、そのキッカケを作ったのは
アルベールとその父アレクサンドルの不仲を利用した、オデットのウソですから
一番ひどいのはオデット(女)って事なのかもしれない。

しかし・・・戯曲の内容については、どうしても不快感が残ります。
最後、リュディヴィーヌがサラを助けるために説得をするのですが
「私は子供が産めないから、子供が産めるあなたを助ける」というような
主旨で話されていて、これがどうなんだろう?と。
私は子供を産んでいないから、そう受け取ってしまうのはひがみなのかも
しれないんですけど・・・「血」の話だから仕方ないかもしれないけど・・・
(ていうか、ルーはリュディヴィーヌの子供じゃないから既に血は
繋がってないけどね)そういう価値観ですか?と言う違和感がどうしてもあって。
何名か他の方の感想も拝読したのですが、女性は概ね同じところに違和感を
感じている方が多い様子。なので、これは男女で受ける印象が違うのかもしれない。

とはいえ、演劇作品としては非常に見応えのあるもので、長尺でも飽きませんでした。
時代が行ったり来たりして、徐々に真相が分かってくるようなところは
平面的だったお話がどんどん立体的に立ち上がってくるようで、まさに
演劇の面白さを十分堪能させて頂けるような作品であり、演出であり、
役者さんの演技だったと思います。
本当に役者さんも皆さん、芸達者な方ばかりですからね。
成河さんは今回は抑えた演技が光っていたな、とも思いますし。

なので、やはり観れてよかったと思います。
大慌てで劇場にやって来て汗だくでしたが、帰りの足は軽かったです(笑)。