もともとノーマークの作品でしたが、予告をみてから
興味が出てきた1本です。

モロッコ、彼女たちの朝「モロッコ、彼女たちの朝」
監督:マルヤム・トゥザニ
出演:ルブナ・アザバル、ニスリン・エラディ
【あらすじ】
臨月のお腹を抱えてカサブランカの路地をさまようサミア。イスラーム社会では未婚の母はタブーとされ、美容師の仕事も住居も失ってしまった。ある日、彼女は小さなパン屋を営むアブラと出会い、彼女の家に招き入れられる。アブラは夫を事故で亡くし、幼い娘との生活を守るため心を閉ざして働き続けていた。パン作りが得意でおしゃれなサミアの存在は、孤独だった母子の日々に光を灯す。《モロッコ・フランス・ベルギー合作》


私は今日も休みでしたが、普通に働いている人も居る金曜日。
ミリオン座は思ったよりは人が入っていましたが、顔ぶれは
平日モードかなーという感じでした。
(隣のご老人がガサガサ食べるわ、携帯がブーブー震えるわ・・・)




 
モロッコにおける女性というものがよく分かっていなかったのですが
サクッと調べてみた所、2014年時点でモロッコの女性の識字率は57.9%
(日本は99%、世界平均が85.9%)、女性就業者の割合は23.2%(2018年)
グローバル・ジェンダーギャップ指数では、149カ国中137位。(2018年時点、
日本は110位)。

モロッコはイスラム圏なので、何となく理解出来たりする部分はありますが
この作品の中でも「女性は馬鹿にされている」「女性の権利が・・」
という話もありましたが、そいう中での未婚女性の妊娠ですから
(妊娠中絶は禁止されているそうだし)サミア自身の思いも、
受け入れたアブラの決意も、日本に居る私などでは想像にも及ばない
ものなんだろうな、と思います。
そもそもこの作品の中に男性の視点って、殆ど無いんですよね。

そんな中でシングルマザーとして生きるアブラの頑なさ(男性に隙を
見せない、とか、子供にしっかり教育を受けさせたいとか)が
サミアを住まわせて一緒に仕事をする事によって、少しずつほどけていく
のが微笑ましいし、それがアイメイクにも表れているんだよね。
(しかしあのアイライナー怖いな、目を刺しちゃいそうで)
メイクするというのは、人からどう見られるか、という事を気にし始めた
という事だからね。
そんな様子は、観ている私にも少しホッコリした気持ちにさせてもらえます。

そして出産してからのサミアの痛々しいことと言ったら。
「生まれちゃった」っていう感じかなぁ。
お腹の中に居れば、その時は生まれた後の事を考えずに済んだのに
もう決断が避けられない状態だものね。
母性を拒否していた(別れが辛くなるから)サミアが徐々に
母親になっていく様子が見応えありましたね。
妊娠そのものはサミアが望んだ事ではないかもしれないけれど、
最後の彼女の決断は、彼女の納得のいくものであってほしいな・・と。
でも、何でも自分一人でやっていこうとするのは、どうかと思うよ(笑)。

そうそう、映像が何となくフェルメールの絵を連想させるなー
と言うのが印象的だった作品です。