テネシー・ウィリアムズは「欲望という名の電車」が一番好きですが
何とも言えない閉そく感があるので、観るのはなかなかしんどい。
今回も「どうしても観たい!」というキャストでもないし、少々
悩みましたが、せっかく名古屋公演があるのだし・・という事で。
何を考えたか、地元公演なのにマチソワ。豊橋往復も座りっぱなしだし
腰が痛いよ・・・。

ガラスの動物園「ガラスの動物園」名古屋市民会館 い列
18:00開演、20:35終演
脚本:テネシー・ウィリアムズ  演出:上村聡史
出演:岡田将生、倉科カナ、竪山隼太、麻実れい
【あらすじ】
1930年代のアメリカ・セントルイス。ウィングフィールド一家が暮らすアパートの一室。母・アマンダ(麻実れい)は、過去の華やかな日々にしがみつき、子どもたちの将来について現実離れした夢を抱いている。息子のトム(岡田将生)は倉庫での単調な仕事と、口うるさく指図するアマンダに対して嫌気がさしており、何とかして閉塞感のある日常から抜け出そうと考えている。トムの姉・ローラ(倉科カナ)は、極度に内気で、アマンダに通わされているビジネススクールもうまくいかず、ガラス細工の動物たちが唯一の心の拠り所である。ある日、アマンダの言いつけで、トムは職場の同僚・ジム(竪山隼太)をローラと出会わせるために夕食に招く。ジムはハイスクール時代にローラが淡い恋心を抱いていた相手だった。ローラは久しぶりにジムと話し、再び彼に心惹かれていく。こうして一家には光が差し込んだかのように思われたのだが――。



この戯曲を3日間も名古屋でやって大丈夫?と思ったのは杞憂で
2階までしっかりお客が入ってました。岡田君狙いかな?
今回は「い列」で最前列かな?と思っていたら、上演開始直前に
4人だけが「あ列」に着席。(しかも私の前)
きっと「大人の事情」で購入した方たちなのでしょうけれども、
「あ列」のセンターブロックがこの人たちだけっていうのも、
何だかすごい目立ってましたけどね。
(そのうち1名は体調不良か1幕の途中で席を立って帰ってしまった)



 
「ガラスの動物園」は2012年に上演されたシスカンパニー版を観ています。
その時のアマンダは立石涼子さん、ローラが深津絵里さん、トムが瑛太さん。
演出によるものもあるのでしょうが、役者さんが違うと、印象も大きく
変わるよなぁ・・・という事を実感します。

とにかく前回観た時は、深津絵里さん演じるローラの印象が強かった・・。
正直、トムやアマンダを誰がやっていたのか、自分の過去のブログを見ないと
思い出せないぐらいだったので、すごい差です。
恐らく今回の芝居だと、アマンダを演じた麻美れいさんが忘れられなくなる
だろうな・・と思いました。

前回の自分のブログを見て改めて思い出したのですが、この作品は
テネシー・ウィリアムズの自叙伝的な作品。
作品全体に漂う、ヒリヒリというかズキズキするような感覚はそこからくる
ものなのかもしれないな・・と思います。
トムの回想・・と言うような形で、舞台が進んでいきますので、「語り」の
部分と、トムが語る「過去」の中の自分自身と2役を演じている・・という
感じになりますね。
どちらを演じているのか分からなくなる・・と言うような事はありませんが
「明確に分かる!」という感じでもないというか(笑)。
ただ、自分の将来に対して悲観しつつも「まだ何かができるのではないか」
と思う部分と「この生活から抜け出せない」という絶望に挟まれて
苦悩する青年・・という感じはめっちゃ出ていましたね。
この時のトムは何歳だったかな、姉のローラが24歳だから、20歳前後でしょ。
だとすると、あの苦悩の仕方は少々幼い気がしなくもないですけど。
岡田さん、何度拝見しても綺麗なお顔ですね(笑)。

そして極度の「はにかみや」のローラ。
初演の時にも恐らく思ったのでしょうが、もうこれ、明確に医療が介入するべき
レベルであって「はにかみや」とか言ってる状態ではないでしょ。
ガラスの動物たちをゆ〜っくり手入れしていたりしている様子は、ちょっと
怖いぐらいのものを感じたんですけど。
パニック障害なのか、対人恐怖症なのか、医師じゃないので分からないけど
そんなローラに無理やり男性を紹介しようとするのがもう、痛々しくて・・。
そして、倉科さんが演じたローラは儚くて、もろくて、ガラス細工のようだけど
24歳には見えない。10代半ばぐらいなんじゃないの?精神的にもビジュアル的にも。
(誰かに似てる・・と思ったら、福原愛ちゃんだ!)
リアル倉科さんが34歳だという事を考えるとすごいんだけどね(笑)。
ただ、「とても一人で生きていけそうにない」感じは150%出ていたので、
アマンダが気を揉むのも、納得感あります。
倉科さん、ジムが来てからはほぼ泣きっぱなしだったんじゃないかな・・。

そして、圧倒的な存在感を出していたのがアマンダ(麻美れい)。
そりゃ、麻美さんですから存在感あって当たり前なんですけど(笑)
「こういうのを毒親って言うんだ」というのが、めっちゃ納得できました。
言ってることは、基本的にめちゃくちゃだもの。
しかし、麻美さんがあの黄色のドレス着てきた時には驚いたわ。
何て似合わない・・・。(あれをよく着るのをOKしましたね、という
女優魂に感服しました)
ジムがやって来る時に部屋中に(部屋の外の階段の手すりにも)飾られた
花は「水仙」でしたね。“暑い”と言っている時期に咲く花じゃないと思いますが
アマンダの服装も「水仙色」とも言えるイエロー。
なんでこんなに水仙推しなんだろう?と思って花言葉を調べた所、
「自己愛」「うぬぼれ」なんだとか。
演出がそこを意識しているかどうかは分かりませんが、何か納得。

ジムもいい人だったよね。
でも、いい人だし、向上心もある(実際に夜学に通ってるし)人なのに
なのに、トムと同じ、倉庫での作業の仕事をしてるのねぇ・・というのが
ちょっとバランス悪く感じたというか、いい人に描きすぎている気がするけど
それもトムの回想だから・・って事かしら。
そう考えたら、アマンダもローラもトムの回想であって、ちょっと過剰に
描かれている・・という事なのかもしれないですね。


東京でマチソワする事は珍しくなく、ふつうにこなせているのに
何故地元でマチソワすると、こんなに疲れるのかしら(笑)。
まあ、1本目と2本目の間もずっと座って電車移動していたからかもしれないし
お茶の1杯も飲む余裕が無かったからかもしれませんけども(笑)。