遠征2本目はこちら。私としては単に推しが出るので・・・と思って
行く事を決めた作品ではありますが、井上芳雄氏も出るし、宝塚出身の
お2人もいらしゃるし・・・で、チケットあっという間に完売のようで。
その中で私は珍しく前方席が回ってきました。よく分からん。

ガイズ&ドールズ
「ガイズ&ドールズ」帝国劇場 D列
18:00開演、21:00終演
脚本:ジョー・スワリング、エイブ・バロウズ  演出:マイケル・アーデン
出演:井上芳雄、明日海りお、浦井健治、望海風斗、田代万里生、竹内將人、木内健人、友石竜也、瀬下尚人、未沙のえる、林アキラ、石井一孝 他
【あらすじ】
禁酒法時代のニューヨーク。スカイ(井上芳雄)と呼ばれる超大物ギャンブラーがいた。彼の仲間のネイサン(浦井健治)は賭場代を得ようとスカイに賭けを申し込む。ネイサンは「指名した女を落とせるか賭けよう」といい指名した女性は、清純で超堅物な救世軍の軍曹・サラ(明日海りお)だった。サラの伝道所が閑古鳥で困窮しているところに、自分と一緒にハバナへ食事に出かければ、罪深い連中を伝道所に連れて行くと持ち掛けるスカイ。教団を救うため、サラはその誘いを受ける。ハバナで過ごすうちに、スカイとサラは次第に惹かれ合っていく。だが、高揚した気分で伝道所へ戻ると、サラの留守をいいことにネイサンが賭博を開催していた。ネイサンがスカイの仲間だと知ったサラは、スカイが自分を連れ出して仲間に賭博場を提供していたと誤解。彼に裏切られたと思い込み…。正反対のスカイとサラ、14年間も婚約中のネイサンとアデレイド(望海風斗)。2組のカップルの恋の行方は?




宝塚でも上演されたことがある作品で、他のキャストでも上演歴が
あるらしい。ただ今回は演出のマイケル・アーデンによる
新しい演出らしい・・という事ぐらいだけ把握して、いざ観劇。




真っ赤なカーテン上の幕が下りている舞台。
舞台のやや下手側には「マンホール注意」の案内とパイロンが置かれています。

そして幕がが引かれるとそこは紗幕が降りていて、「東宝」の社名と
メインキャストやクリエイティブスタッフたちの名前が次々と映し出されます。
フォントの感じや、外国人の名前も全てカタカナ書きにしていたり、
フィルムが回る音などから、昔の映画が始まるんだ・・と言った雰囲気。
そんな紗幕の裏では、NYの街に住む人たちがいて、歩いたり、話したり・・と
「ある日のNY」みたいな雰囲気の背景になっている感じ。

この作品、そもそも初演はかなり昔という事もありますし、舞台が
禁酒法の時代なので、女性観みたいなものが2周りぐらい古かったりします。
「結婚には血液検査が必要」なんて、昔のアメリカの文化とかが分かって
いるともっと楽しめるかな、と思う部分もあったりする。

そもそもキリスト教徒じゃないので「救世軍」の事も知らない人が多いと思うし
(私も良く知らなかった)救世軍の士官は士官同士としか結婚できない
という定めがあると知っていれば、最後にスカイが救世軍に入ったのも
2人が結婚できたのも納得・・なんだけどね。

一歩間違うと「古臭い」作品になりかねないと思うのだけど、演出が
なかなか冴えているんですよ。
まずオープニングの紗幕の使い方もだし(最後も紗幕に「THE END」と
映し出されて、サラとスカイがキスをし、ネイサンとアデレイドが
車に乗って去っていく・・というのも、非常に映画っぽい)
何より演出がとてもシームレス。

盆やせりを使って、1階・地下なんかが分かりやすくなっていたり
(何だか、小学生の頃自由研究でやった、ビンの中のアリの巣をみてる
みたいな気になったけど(笑))、特に冴えてるな・・と思ったのが
スカイとサラがハバナに行くシーン。タラップを上がったら、紗幕に
プロペラが映し出されて飛行機に乗っているシーンになったり、
帰りのタラップを上ったら、そこが地下鉄の出入り口になっている・・
なんて、「おお、そうきたか」という感じでしたもん。
街の人それぞれにきっとストーリーがあるんだろうな、という感じが
観ていてわかるので、アンサンブルの方達からも目が離せない。

あとは、ダンスが楽しかった。
一人一人のダンスのクオリティが高いのはもちろんだけど、フォーメーション
がカッコいいというか。特に地下道でクラップゲームをしている皆の
踊りがかっこよかったなぁ・・と思います。
HOTBOXでのショーも楽しかった!
映画「バーレスク」を思い出しちゃったよね、特に2幕のショーは。

ストーリーそのものは単純。
ただ、公式HPにあるあらすじの中で「スカイが自分を連れ出して
仲間に賭博場を提供していたと誤解。彼に裏切られたと思い込み…。」と
あるんだけど、ここに関してはそういう印象は全く受けなかったんですよね。
むしろ「そこ、スカイがグルになってるって疑わないの?」と思ったぐらい。
あとは、一回ハバナに行っただけでそこまで「貴方しかいない」まで
好きになれるサラってすごいね・・と思ったかな(笑)。
ずーっとネイサンを追いかけて、いい面も悪い面も知ったうえで「愛してる」
って言うアデレイドとは、ちょっと違うと思ったけどね。

キレッキレのストーリーって訳じゃないので、歌と踊りを楽しんで
「楽しかったね」って言いながら帰る・・と言う作品かな。
たまにはこういう作品もいいよね。
内容としては“古臭い”とも言えるんだけど、“クラシカル”になってる
っていうのは演出によるものではないかな。

ただ、キャストが全部変わったとして、また15,000円払って観に行くか
と聞かれると、恐らく行かない。(ミュージカルファンの方はどうなのかな)
そういう意味では、キャストの魅力が大きな作品だったとも思います。
そのキャストの感想については、2回目の観劇のエントリーにて。