この情報がオープンになった時、キャストの豪華さに「!」となったものの
リーディングと知って「・・・」となった私です。
ちょうど遠征時期に被っていたので、(チケット取れるかどうかは別として)
挑戦する?と思わないでもなかったのですが、やっぱり気が向かなくて。

バイオームスペクタクルリーディング「バイオーム」
作:上田久美子  演出:一色隆司
出演:中村勘九郎、花總まり、古川雄大、野添義弘、安藤聖、成河、麻実れい
【あらすじ】
その家の男の子はいつも夜の庭に抜け出し、大きなクロマツの下で待っていた。フクロウの声を聴くために…。男の子ルイの父に家族を顧みるいとまはなく、心のバランスを欠いた母は怪しげなセラピーに逃避して、息子の問題行動の奥深くにある何かには気づかない。政治家一族の家長としてルイを抑圧する祖父、いわくありげな老家政婦、その息子の庭師。力を持つことに腐心する人間たちの様々な思惑がうずまく庭で、古いクロマツの樹下に、ルイは聴く。悩み続ける人間たちの恐ろしい声と、それを見下ろす木々や鳥の、もう一つの話し声を…。



あと、プレスリリースで
「VR/ARなどのテクノロジーを駆使し、俳優とバーチャルテクノロジーの
間に作り出される関係性を重視しながら、五感で体感していく
サイトスペシフィック演劇へと進化する。」
っていう、分かるような、分からないような説明文が載っていたのですが、
VRとかARとか使う訳?と思ったんですよね。
私、三半規管が弱いので、VRとかARとかだと無理かも・・と思った、
というのも、見送った理由の一つ。






その後、多少気にはなっていたのですが、この作品を観た演劇ライター
の方のブログを読んだら、めったにない程散々な言われようだった事もあり
(「昼ドラ的な陳腐な愛憎劇に収まってしまった」だったからな(笑))
それきり完全に忘れてしまっておりました。

ただ、その後で「面白かった」とおっしゃっていたフォロワーさんも
いらっしゃったので、配信で観られるならば、自分で確認してみますかーと。
ちょうど遠征の帰りは、新幹線が「こだま」で3時間かかりますしたので、
道中に観るにはちょうどいい感じの長さですし。

で、実際に観た直後の感想としては、普通に面白かったと思いました。
この作品の期待値によって評価は分かれるのかもしれませんね。
何の期待もしてないし「陳腐な愛憎劇」って言われているのを見ている
ので、ガッカリもしないし(笑)。

バイオーム(生態系)と、家族の繋がりをリンクさせたお話で、
他の木たちのハブとなる黒松を演じた麻美さんと、政治家一家で
秘密を握り、その中心人物である使用人の麻美さんがリンクしているんですね。
演劇ライターさんがおっしゃっていたように、大きな風呂敷を広げすぎ
なのかもね・・と言う気はしないでもないですが、引き込まれて観ました。

それには、役者さん達がいい、って事もあると思うんですが、
特に花總まりさんが、化けた!って感じがしました。
宝塚を観ない私は、どうしてもエリザベートとかのお姫様役の印象が強く
こういうドロドロの現代劇で感情を爆発させる役って、イメージに無く、
折り目正しく演技する方、と思っていたので、その爆発力に驚いちゃいました。

勘九郎さんも子供にしか見えてこないし、ルイが「ケイは自分だ」って
言った時に「ああ・・・そういう事なのか」と納得をしました。
あと、古川君、何気に腕がマッチョになってないかい?
元々スレンダーというか、ひょろっとした方だったと思うんだけど
何だかガタイが良くなってた気がします。

演出の方は映像畑出身の方らしく、そういう事もあってか、映像が
多用されているのですが(ここが「スペクタクル」なのかな・・?)
映像で観てもとてもきれいでした。
実際に舞台をご覧になった方も、綺麗だっておっしゃっていたので、
これは生で観てこそ、だったんでしょうね。

この作家の上田久美子さんは、宝塚でも有名な方だったとか。
暫く海外に行かれるようですが、戻って来たから、今後どんな作品を
書かれるか気になりますし、是非観に行ってみたいとも思います。

しかし・・・「リーディング」の定義って何なんすかね。
1幕は台本を持って「読んで」いたんだけど、2幕はあれ、普通に
ストレートプレイじゃないの?(まあ、別にいいんだけども。)