コーヒーショップで少しお茶をして、向かったのが新国立劇場。
椅子の座り心地が悪いとかはあるけれど、都内ではこれだけ広い空間の
ホワイエのある劇場ってないので、来るだけで別格感があって
やっぱり好きな劇場です。

キングアーサー「キングサーサー」新国立劇場中劇場 11列
18:00開演、21:00終演
音楽・脚本・歌詞:ドーヴ・アチア
日本版台本・演出:オ・ルピナ
出演:浦井健治、加藤和樹、 、平間壮一 、宮澤佐江、小林亮太、東山光明、石川禅、安蘭けい ほか
【あらすじ】
その昔、英国の偉大なる王、ユーサー王がこの世を去り、王を失った英国にはサクソン族が侵入し危機が迫っていた。魔術師マーリンは混沌としたした時代に終止符を打つことができる新の王を王座に就かせるべく動き出す。
自らが王の血筋であることを知らずに育ったアーサー。騎士決闘場に義兄ケイの従者として赴いたアーサーはマーリンによって導かれ、伝説の剣エクスカリバーを抜くことになる。真の王として、平和と幸せを夢見て立ち上がるアーサー。一方で、次なる王に就く野望を抱いていた最強の騎士メレアガンは、目の前でアーサーに剣を抜かれたことで、王の座を奪われ、さらには、婚約者であるグィネヴィアの心までも奪われてしまう。希望とプライド、人生の光を奪われたメレアガンは邪魔者アーサーを地獄へ突き落し再び自らの人生を取り戻すことを心に誓う。さらには、異父姉モルガンと若き騎士ランスロットの登場でアーサーは新たな運命と立ち向かうことになる。




ホリプロが宣伝にめっちゃ力を入れているこの作品。
私は「アーサー王伝説」の事はよく知らないので大丈夫かなあ
なんて思いながら劇場へ。
ロビー開場の時点で劇場に到着したところ、物販の行列が
(チケットのモギリの近く)突き当りのカフェの所まで到達して
折り返してちょうど2重になるぐらいになっていてビックリ・・。
私もそうだけど、キャストのファンがたくさん来ているんだろうな・・。


キャストボードはカフェコーナーの近く。
キャストボード
浦井君狙いの私としては、あまりキャストの組み合わせに
強い思い入れがある訳ではなく、メレアガンの二人もグィネヴィアの二人も
同じぐらい魅力的で決めがたいし、太田さんに関してはよく存じ上げないので
ランスロットも決めかねるし、日程だけで決めた、という感じです(笑)。





 
客席をマーリンが歩くシーンで幕開き、マスク無し。(セリフも無いけど)
ああ、こういうシーンってどんだけぶりなんだろう・・と思っちゃう。
それにしても石川禅さん、何かを秘めたような雰囲気醸し出しますね。
そもそもマーリンも自分の罪を許して欲しくて、アーサーを王にした
というだけで、善意の人なのか?と個人的に疑って観ていた感じ。
アーサーは全幅の信頼を置いているようだったし、終盤には悪意がある
人では無さそうだな、と思うに至ったけど、よく分からない(よく言えば
神秘的)な所もありつつ、ケイとのお笑いパートをこなしている方でした。

1幕はマーリンがアーサーを見つけ、アーサーが王になっていき・・と、
ものすごい勢いで進んでいきます。
エクスカリバーを引き抜くのも割とあっという間だし、グィネヴィアと
恋に落ちるのもあっという間。まあミュージカルだし、尺もあるし
仕方ないのかなあ・・と思うものの、どうしても薄っぺらく感じてしまう。
それにしても、闘って勝ち残ったらエクスカリバーに触れるんだけど
剣を引き抜けなかったら、王として認められないんでしょう?
だったら、闘う必要ある?シンデラみたいに、片っぱしから引き抜かせて
引き抜けた人が王様、ってしておけばよくない?
そこのコンセンサスが取れていないから、メレアガンも納得いかない
ってことだよね。この人もどうかと思うけど、彼も被害者といえば被害者
でしょう。今まで尽くして来たから不満に思うよねぇ・・と。
加藤和樹さん、高音の多い楽曲で大変そうでしたが、影のある役は
とてもお似合いだったりしますので、配役としては申し分なしです。

と、この辺りで既になんかツッコミながら観てた私(笑)。

ただ、一番ツッコミどころだったのが、グィネヴィアでしょ。
あんなに一途に愛し合っていたのかと思いきや、結婚式の前に心変わり。
アーサーを「愛してる」って言ってたのに「恩義を感じる」になってて
「それ、もう愛してないって事と同義ですね、速っ。」と。
きっとアーサーがモルガンとの事でいっぱいいっぱいになって、構って
貰えない心の隙にランスロットが現れた・・って事なんだと思うし
描き方次第、という所もあると思わなくも無いんですけど。
宮澤佐江さん自身は全然悪くないんですけど、幼く見えるピュアな
ビジュアルの割には尻軽だねぇ・・っていう(笑)。ピュアだからこそなのか?
メレアガンもそうだけど、爆速すぎて、彼らの行動の裏側まで
描かれていないものだから、ツッコミどころになって終わっちゃう。

何か一人一ツッコミみたいになっちゃうんだけど、モルガンも
唐突感が否めない。彼女の苦しみや怒りはよく分かるんだけども、
その矛先は故ユーサー王であるべきであって、アーサーなのか?
アーサーだって被害者じゃないのか?
という違和感は強烈にありつつも、そこはマーリンが指摘してたし
最終的には、安蘭けいさんの迫力や歌唱力でねじ伏せた感あがりますね。
もう迫力ハンパないですから。
加藤和樹さんとの真っ黒コンビがお似合いだったから、二人が
くっついちゃいえばいいのに、と思ったりしましたよ(笑)。
この役は濱田めぐみさんなんかも似合いそうだなと思います。

もう、ツッコミどころは書き出したらキリが無い感じではありますけど、
私的なお目当てのアーサー王、浦井健治に関してはとっても良かったんです。
まずサッパリ切った髪形がいい(笑)。
そして、王になるまでの無邪気さと、王になった直後の不慣れな感じ
そして苦悩する姿を経て、成長していく・・と言う過程ね。
もう何度もイギリス王を演じているって事もあるかもしれませんが(笑)
その成長の過程も、苦悩の仕方の変容もちゃんと表せていたなと。
ただ、悪役のインパクトが強いので、王としてのオーラみたいなものは
ちょっと地味だったかもねーと思います。

最後、グィネヴィアを許すのか、許さないのか・・・。
恐らく国外追放って事なので、対外的には「許さなかった」という形に
なっていそうだけど、アーサーとしては「自分も悪い」と、結局一度も
彼女を問い詰めたりする事は無かったし、「解放」してあげたのだから、
「赦した」のだろうな。それはモルガンに対しても、だけども。
憎しみは憎しみを生む、という事に倦んでいたのではないかな、
単に嘆くよりも難しい事でもあるので、そこにアーサーの成長もみられた
という気がしました。

ランスロットは一番の爽やかキャラのまま死んでいったけど、昔なら
ここが浦井君のポジションになったんじゃないかなあ。
今回は平間さんで拝見しましたが(トークショーでもご本人おっしゃってたが)
歌が以前よりすごく余裕を感じるものになっていて良かったです。

私はミュージカルに詳しくないので、これがフレンチロックミュージカルの
特徴なのか、韓国ミュージカルの特徴なのかは分かりませんが、
アクロバットも多用されていて、多分にショウアップされた舞台です。
劇場左右の壁面までプロジェクションマッピングで使っていたりするので
「おお」と思う所も少なからずあります。
なので、浦井健治を観に行っており、ダンス含めて見応えがあったので
単純にショーを観ているような感覚で楽しめたという感じでしょうか。
円卓もケルトノットが描かれ、それ以外にもケルト模様が使われていて
イギリスらしさ(「イギリス」って表現は微妙だと思うけど)を
出していましたね。(あの円卓、手で持つんだ・・という演出に
ちょっと驚いたりもしたんだけども)

アーサー王伝説を元に色々な作品があるようだし、厳密に「これが原作」
というものが無いらしいので、色々な余地のある作品なんだろうな、
と思います。脚本としては正直、あまり好みではなかったけれど
やっぱりあの浦井君はもう1回ぐらい観ておきたいな、と思いますので
刈谷にて、また観られる事を楽しみに待ちたいと思います。

ちなみにこの日、アフタートークがありました、知らなかったけど。
もう終わってすぐと言っていい程、平間さんと東山さんが登壇されて
少し遅れて宮澤さん。普通もう少し時間がかかるものだけども、
ソワレという事だからかな。トークショーそのものは10分強程度で
それ程深い話や裏話が聞けた感じではなかったけど、期待していなかった
ので、ラッキー!という感じではありました。
ただ、アフタートークが終わったのが、21時20分過ぎ。
22時03分東京駅発のひかり号が名古屋への最終新幹線だったので、
ちょっと慌てて会場を後にしたのでした〜。

初日から数公演が中止になってしまったので、予定通り観られただけでも
感謝でございます。

 開演前(撮影可)
会場内撮影OKだったのでパチリ。これが開演前。

休憩中
これが休憩中。デザインンというか、形と色がちょっと違うのね。